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第1回(6月30日 月曜)
ある夏の日、鎌倉に住む後藤由紀子(ちはる)は夏祭りに向かった中学三年生の娘・なつき(高畑充希)の忘れ物を届けるため家を出た。だが、人ごみの中やっと見つけたなつきは男子高校生・佐々木和真(兼子舜)と共にいた。由紀子は、二人の先に立つ和真の父・佐々木浩介(前川泰之)の姿に呆然とする。なぜなら、浩介は由紀子の「初恋の彼」であり、6年前に「すべては思い出に変わった」はずだったからだ・・・。
――6年前。
由紀子は銀行員の夫・篤郎(尾美としのり)と小学生の娘・なつき(佐々木麻緒)とともに群馬県・桐生で暮らす専業主婦だった。夫の仕事の都合上転勤は多いが、同じ社宅に住み、何でも話し合える友達・深沢美智子(ふせえり)もでき、家族3人幸せな日々を過ごしていた。
ある日、下校途中のなつきは、いじめっ子から女の子を救った佐々木和真(深澤嵐)と出会う。和真は、なつきより一つ年上の小学校5年生。いじめっ子たちに立ち向かったことをきっかけに和真と仲良くなったなつきは、彼からガラスで出来た一片のジグソーパズルをプレゼントされた。そのジグソーパズルを家に持ちかえったなつきは、無邪気に見せる。だが、そのガラスのパズルは、由紀子がその昔、初恋の彼からプレゼントされた物と同じ物で…。 |
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第2回(7月1日 火曜)
なつきがいじめっ子たちに立ち向かった時に負った傷を"いじめ"によるものではないかと心配する篤郎に促され、由紀子は、なつきと一緒にいた和真の家を訪ねることに。しかし、出てきた男を見て由紀子は驚く。和真の父親は、由紀子の大学時代の彼・佐々木浩介だったからだ。
浩介は大里芳雄(北見敏之)が所長をしている宅配所で働きながら、そこの二階で暮らしていた。浩介に「子供たちのためにも、ここで初めて出会ったことにした方が面倒がなくていい」と言われた由紀子は、浩介が自分に素っ気無い態度をとる理由は今の妻への気遣いだと考え、いったんは納得する。しかし、学生時代にリュック一つで世界中を飛び回り、その後カメラマンになったと聞いていた浩介の今の境遇が、由紀子には気がかりでならなかった…。
由紀子は、浩介の妻が4年前に病気で亡くなっていたことを知る。由紀子の前では、妻が今もいるかのように振舞っていた浩介。「何のために浩介は自分に嘘をついたの?」、由紀子は腑に落ちなかった。 |
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第3回(7月2日 水曜)
ある日、篤郎やなつきと一緒に歩いていた由紀子は、和真を連れて妻のお墓参りに向かっていた浩介たちと道の上でばったりと出会う。二人の過去を知らない篤郎は屈託なく浩介に話しかけるが、妻が亡くなっていることを自分に黙っていた浩介の真意を由紀子ははかりかねた。
小学校の夏祭りの子供太鼓のために仲良く練習に励むなつきと和真。子供たちの交遊をきっかけに後藤家と佐々木家が会う機会が増えてくる。「母親の代わりとは言わないが、あの二人の面倒を見てやったらどうか」。篤郎にそう言われた由紀子は、仕事場にいる浩介の元を訪れるようになったが、浩介は過去を詮索しようとする由紀子を拒む。 |
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第4回(7月3日 木曜)
浩介に会うことを拒まれた由紀子。周囲に自分たちの過去を気付かせまいとする彼らの不自然な態度が、何も知らない子供たちの間に影を落としていく。一方、浩介が働いている集配所の所長の妻・大里富子(山田スミ子)は、由紀子と浩介の集配所でのやり取りを聞き、二人が昔からの知り合いであると疑い始めた。
和真はなつきを連れ、近くの丘へと向かう。和真が指したひときわ高い山には、桐生生まれの母親の骨がまかれていると言うのだ。和真は母が亡くなってから人づきあいが悪くなった父を思い、「後藤家の人たちとは親しくなれない」と告げる。和真の言葉になつきは悲しむ。なつきの心情を知った由紀子は、自分たちのことと子供たちは無関係であると浩介に伝えるのだが…。 |
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第5回(7月4日 金曜)
初恋の相手との再会にとまどう親たちをよそに、日増しに仲良くなるなつきと和真。由紀子は一向に打ち解けない浩介が気がかりでならない。「昔のあなたに戻って欲しい」と、由紀子は妻を亡くして以来、沈みがちな浩介を元気づけようと試みる。
由紀子はなつきと一緒に佐々木家に出向き、和真のために食事を作る。「お母さんがよく作ってくれた」というオムライスを涙ぐみながら食べる和真とは対照的に、遅れて家に帰ってきた浩介は怒りにふるえる。あげくは嫌がる由紀子を抱きしめ、「こうして欲しいのかと思った」と由紀子の心情を踏みにじる言葉を吐くのであった。 |