MBS 毎日放送

2021年03月15日 19時00分 公開

「最高の親友で最高のライバル」リコー・メイン平 / 神戸製鋼・李承信

 試合後に清々しい1枚の写真が届いた。2021年3月14日。東京・駒沢で行われたリコー対神戸製鋼に、近い将来、日本ラグビー界を背負うであろう20歳の2人が出場した。「1年前はトップリーグの舞台で一緒に試合をしているなんて想像もしていなかったです。」高校時代から大の仲良しで互いに切磋琢磨してきた仲。そんな2人が描く未来予想図とは…。

一番の思い出は「初めて一緒にプレーした高校日本代表」
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 奈良・御所実高出身のメイン平。大阪・大阪朝鮮高出身の李承信。2人が初めて出会ったのは、高校1年時の近畿選抜の合宿。近畿から実力者が集まる練習会で意気投合し、その後も世代別の合宿などで一緒に練習を重ね、実家へ遊びに行くほど仲が深まっていったという。高校3年時には高校日本代表で一緒に海外遠征も経験した。そんな2人にお互いの印象と一番の思い出を聞いてみると、少し照れながら話してくれた。

「初めて会った時に僕から話かけにいったんですけど、とてもシャイでした!でもラグビーになると、キックも両足で蹴れてパスも正確。ステップも細かくてディフェンスもできる。器用な選手だと思いました。また、親友として高校日本代表で一緒にプレー出来たことは本当に嬉しかったです。」(メイン平)

「第一印象はかっこいいと思いました!フレンドリーで話しやすかったです。一番の思い出は、やっぱり高校日本代表で一緒にプレーしたこと。発言は多くないですが、良いランで爪痕を残していたので本当にすごいと思いました。」(李承信)

 そして高校卒業後の2019年。メイン平はニュージーランドへ挑戦。李承信は帝京大に進学。1年目からそれぞれの舞台で大活躍を見せる。しかし、2020年は順風満帆にいかなかったという。激動の1年に迫った。

「ラグビーはもうやめようかなと思う時期もありました」
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 海外挑戦をしたメイン平は、レベルの高い環境で体の大きな選手とやり合うことで自身の成長を感じていたが、去年は新型コロナウイルスの影響でシーズンが中止になった。

「実力をつけたい。成績を残したいと思って海を渡ったのに、ラグビーが急に出来なくなり正直、成長できていないなと感じていました。」(メイン平)

 一方の李承信も帝京大でプレーしていたが、海外挑戦をしてみたいという気持ちが高まり退学を決断。メイン平に相談をして海外のチームを探していたというが、新型コロナウイルスの影響で渡航することすら出来なくなってしまった。

「神戸製鋼に決まる前、承信から相談もありニュージーランドに誘っていたのですが、コロナの影響で一緒にプレーできませんでした。あの時は相当ストレスを感じていたと思います。」(メイン平)

「高校代表やジュニアジャパンを経験して、早い段階で海外に挑戦したいという思いが強くなりました。しかし、渡航ができなくなり半年間は、実家近くのビーチなどで一人で走り込みをしたりトレーニングを続ける毎日。先が真っ暗で、ラグビーをやめようかなと真剣に悩んでいました。」(李承信)

「将来は日本代表で一緒に戦いたい」
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 コロナ禍で苦悩の時期を過ごしていた2人に救いの手を差し伸べたのが、トップリーグのリコーと神戸製鋼。2人は最高の環境でプレーできることに胸を躍らせた。

「リコーの監督とリクルーターがニュージーランドに来た時に、自分の試合を見て頂いて、そのご縁もありチームにお世話になることになりました。20歳でトップリーグに挑戦できると思っていなかったですが、今は年齢のことは意識していません。レベルは高いが十分やっていけると思っていますし、自分の強みを出していきたいです。」(メイン平)

「神戸製鋼の福本GMがスクール時代のコーチで久しぶりにお話したときに、1人で練習している状況を知って、去年9月から神戸の施設を使わせて頂けることになりました。そこから入団させて頂くことになったのですが、今は毎日が充実しています。1回1回の練習がセレクションですし、パーカーやクルーデンなどワールドクラスの選手と練習できる環境にモチベーションも変わりました。」(李承信)

 試合が終わると「お疲れ様!」と連絡をとりあい、互いを鼓舞しながら日本最高峰のリーグで刺激的な毎日を過ごしている。3月14日には対戦相手として同じグラウンドで一緒にプレー。その姿は堂々としていて頼もしく見えた。

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「トップリーグで同じグラウンドに立てて、素直に嬉しかったですしこの日を待っていた!という感じでしたね。ライバルとして常に意識しているし、いずれは日本代表で一緒にプレーしたいと思っています。」(メイン平)

「つい1年前まで遠くでプレーしていた2人がトップリーグの舞台で一緒に試合をしていることが不思議でした。でも、とても嬉しかったです。僕が途中出場でグラウンドに入った時にスンシン!と名前を呼ばれたのはすごく嫌でしたけど...トップリーグで経験をたくさん積んで、一緒に代表で試合ができたらいいなと思います。」(李承信)

最高の親友で最高のライバル。2人が今後どんな活躍を見せるのか。ますます期待が高まるばかりだ。

文:進藤佑基
写真提供:リコーブラックラムズ・神戸製鋼コベルコスティーラーズ

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