公式YouTube開設。「子供に夢を」7人制ラグビー代表 藤田慶和

MBSラグビーダイアリー

2020/04/24 19:00

新型コロナウイルスの影響でプロ・アマ問わずスポーツが出来ない状況が続く中、アスリートの多くがSNSでファンにメッセージを発信している。7人制ラグビー日本代表の藤田慶和もその一人。4月18日には、公式YouTubeも開設した。SNSを通じてファンに伝えたいこととは?その裏には藤田のある信念があった。

「子供に夢や希望を与えたい」アスリートの今だからできること

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2020年4月3日朝9時。藤田が突然、Twitterにある動画を投稿した。「#エアロビチャレンジ」。父から借りた往年のラグビージャージーを着て、頭にはテーピング。真顔で音楽に合わせて踊る姿に笑ったファンも多いのではないだろうか?撮影中は家族が笑ってしまったり、本人も笑ってしまったり。実は15回以上も撮り直したのだとか。

藤田が今取り組んでいるファンに向けた発信は、ブログ・Twitter・Instagram・TikTokなど多岐にわたる。最近は個人のYouTubeチャンネルも開設した。現役アスリートが計画的にSNSを駆使して、発信し続ける理由とは?

「常にアスリート人生を送る上で考えているのは、子供に夢を与えられる存在でありたいということ。セブンズを広めたいという思いもありますが、少しでも自分の姿を見て刺激を受けてくれる子供たちがいれば嬉しいです。」

「子供に夢を。」これが藤田のアスリート人生を送る上での信念だ。自身も幼い頃、海外のスーパーラグビーに憧れてラグビーに没頭していたという。ダイナミックな藤田のプレースタイルも幼い頃の影響が大きいのかもしれない。そこで、プロ選手になった今は積極的に子供たちと関わる活動を続けてきた。

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例えば2019年11月。東福岡高校で同級生だった木村貴大と組んで、「夢へのトライ」通称「夢トラ」という中学生50名を対象にしたチャリティーイベントを千葉で開催。ラグビーボールを使って一緒に汗を流し、イベント終了後にはサイン色紙もプレゼントした。

「アスリートとして価値ある社会貢献をしようという目的で、台風19号の募金活動も兼ねてラグビーイベントを開催したいと。自分も代表合宿がある中で、スポンサーや同級生に声をかけて手伝ってもらって行いました。この活動は今後も全国各地で行いたいと計画しています。子供の姿を見ると、自分もラグビーで変な姿を見せられないとスイッチが入るんですよね。」

引退後ではなく現役アスリートの今だからこそ、子供たちに伝わることがあると考えて練習以外の時間を費やしている。

「リオオリンピックが一番の挫折。自分の頑張る姿を見てもらいたい。」

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超高校級のプレーから「怪物」と呼ばれ、全国大会3連覇を成し遂げた東福岡時代。史上最年少で日本代表にも入り、2015年にはワールドカップにも出場した。順風満帆にエリート街道を歩んできた藤田だが、2016年に一番の挫折を経験する。それはリオオリンピックのメンバーから落選。補欠としてブラジルに向かったが、試合に出場することはできなかった。

「補欠でブラジルに向かったが選手村には入れない。練習も一緒にできない。スタンドで試合観戦をしましたが辛かったですね。日本代表がベスト4の好成績でしたが、試合後に撮った写真は素直に喜べず、真顔で映っていると思います。」

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しかし、この悔しさが藤田を大きく成長させた。東京2020に向けて、世界で戦うための体作りを佐藤義人トレーナーに依頼した。佐藤は2015年ワールドカップに日本代表のトレーナーとして帯同。日本のスターとなった15人制日本代表の稲垣啓太や堀江翔太らのトレーニングやリハビリも見てきた「ゴッドハンド」だ。群馬県に住んでいる藤田だが、オフがあるとわざわざ京都府木津川市にある治療院を訪れる。坂道やビーチを走ったり、重りを持ってトランポリンを跳んだりと佐藤流のトレーニングを続けている。

「佐藤さんに言われたのは、高校時代の走り方が理想。癖がなくて良い走りをしていたと。高校と今では当然相手のレベルは違いますが、持ち味のダイナミックなランが大舞台で出せるように取り組んでいます。めちゃめちゃきついですよ。」

普段ファンが見ることが出来ないトレーニングの様子もYouTubeにアップする予定だという。

「自分のプレースタイルは、才能だけでやっていると思う人も多いと思います。でも、実際はそうではないと思っています。自分で言うのも変ですが、東京2020へコツコツと努力している姿を見てもらって、夢を追いかける子供に刺激を与えたい。」

東京2020オリンピックの1年延期に「2日間は心の整理が出来なかった」というが、すでに藤田は前を向いている。信念を貫きながら2021年に突き進み、大舞台で大輪の花を咲かせる姿を楽しみにしたいと思う。

文:進藤佑基

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