「2023年ラグビーW杯の舞台に立つ」未来のJAPAN候補・伊藤大祐

MBSラグビーダイアリー

2020/04/12 12:00

2020年1月7日。降りしきる雨の中行われた第99回全国高校ラグビー大会の決勝。桐蔭学園(神奈川)のキャプテン・伊藤大祐が御所実業(奈良)相手に大活躍をみせ、23対14で勝利。史上初の単独優勝に導いた。そして次なる目標は「早稲田大学で1年目から活躍して2023年のラグビーワールドカップを目指したい。」将来のJAPAN候補と呼ばれる逸材に迫った。

「一日一日を大切に」高校3年で始めたラグビーノートが活きた花園の決勝戦

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前半、御所実業のトライで沸く花園のスタンド。これで0対14。しかし、桐蔭学園のキャプテン・伊藤大祐は冷静だった。「次のキックオフは手前に蹴ろう」と仲間に伝えた。

世代屈指の司令塔と呼ばれ、スター性を秘めた独特の雰囲気を持つ伊藤。キック・パス・ラン。広い視野から瞬時に状況判断をし、華麗かつ的確なプレーを選択できることが最大の強みだ。花園でも何度も観客を沸かせるプレーを見せた。その伊藤が決勝戦の劣勢な場面でも冷静だった理由。それは最終学年から取り組んだラグビーノートにあった。

「実は試合前日のミーティングで、前半に負けている想定をしていました。その時の対処法として、次のキックオフを手前に蹴ろうとノートに書き込んでいたのを思い出しました。」

高校1年時、2年時と花園で2度も大阪桐蔭に敗れた。その時に感じた事は準備の大切さ。「技術的にも精神的にも全て劣っていたし、1年・1カ月・1週間・1日。目標に向かって逆算して最高の準備をしなければ勝てないと感じました。」1日も無駄にしないようにと始めたのがラグビーノートを付けることだった。練習やミーティングの内容を書き込み、1日の振り返りをすることで技術やラグビー知識を高めてきた。

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決勝戦。ノートに書いた通り、キックオフを手前に蹴った。そして、そのボールを獲得すると御所実業がたまらずペナルティー。ペナルティーゴールを決めると流れは完全に桐蔭学園に。まさにゲームのターニングポイントだった。「リスクマネージメントをキャプテンとしてできた瞬間でした。良い準備が出た場面だと思います。3年でスピード・スキル・体力。すべての面でレベルアップできたことが、最終的にプレーの精神的余裕に繋がりました。」

ノートを書くことで自分に必要なスキルを明確化。改善を繰り返しながら練習をすることでレベルアップを計り、技術が向上することで自分自身に自信がつく。すると精神的な余裕が生まれ、プレーが洗練される。ノートを試合中に振り返る余裕まで生まれていた。ノートを書くことは、高校スポーツで当たり前のことかもしれないが、このサイクルを実践できる選手は少ないのかもしれない。

2019年のラグビーW杯を見て、より強く意識した2023年W杯
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そして次のステージに選んだのは、昨季大学選手権で11年ぶりに優勝した早稲田大学。海外へラグビー留学する選択肢もあったが、早稲田のバックス陣のスキルの高さや多彩な選択肢を持って高速展開するラグビーが、自分のスタイルにあっていると感じたから選択した。「先輩たちに追いつけ追い越せで1年目から試合出場ができるように、技術面も精神面もタフになることが目標です。」赤黒のジャージーで活躍することを夢見ている。
さらに、2019年ラグビーW杯でフランスやイングランドなど強豪国で20代前半の選手が活躍していた姿に刺激を受けた。「全ての個人レベルをあげて、大学でしっかりアピールしたい。大学2年・3年には、JAPANに選出されて2023年のW杯に出場したいです。」
新型コロナウイルスの影響で大学ラグビーのシーズンも不透明だが、伊藤大祐は着々と大舞台で輝く準備を始めている。
【文:進藤佑基】

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