ジュニア・ジャパンで感じた課題と手応え。目指すは日本代表 河瀬諒介

MBSラグビーダイアリー

2020/04/03 19:00

2020年3月14日。大学生を中心にチーム編成されたジュニア・ジャパンは、フィジーで開催された「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2020」で大会初優勝。
優勝決定戦となったフィジー・ウォリアーズ戦にスタメン出場した河瀬諒介(20)は「世界を意識して、日々の練習に取り組みます」と更なる飛躍を誓った。

大会初制覇で日本ラグビーに新たな歴史。しかし、世界との差も痛感した今大会
20200401140729-774b9a7179a18a1c6647b64552af00c334a42e56.jpg

「優勝できたことは自分のラグビー人生でもプラスに働くと思います。」優勝カップを掲げた瞬間、日本を背負って戦う重圧から解放されて喜びが爆発した。

高校時代は大阪の東海大仰星で日本一。早稲田大学に進学した2年目の昨季も大学選手権を制し日本一に導いた世代屈指のフルバック。「去年からフィジカルを鍛えてきたので、自信を持って大会に臨みました。」自分の実力がどのぐらい通用するのか。ワクワクしながらジュニア・ジャパンの試合に臨んだ。

しかし、大会5連覇を誇るフィジー・ウォリアーズとの対戦で感じたのは世界の壁。「(1対1の場面で)日本人の間合いで勝負を仕掛けると上手く行きませんでした。ハンドオフで普段は抜けるところもフィジーは手足が長くて捕まってしまう。苦労した部分です。」将来の目標を「トップリーグで試合に出場し、日本代表でプレーすること」と定めている河瀬にとって外国人選手は必ず打ち勝っていかなければいけない相手。日本では感じることができない課題が見つかった大会だった。

「リザーブを狙うな。スタメンを狙う気持ちがないとメンバーには入れない」
20200401141103-c3bc4b2912b418b655de52546dc716178c1f0790.jpg

高校、大学で日本一。そして、各世代の日本代表に選ばれてきた河瀬に意地悪な質問をぶつけてみた。「これまでのラグビー人生、順風満帆に行き過ぎでは?」
すると返ってきた答えは「指導者、仲間に恵まれました。しかし、自分の中では悔しい瞬間が何度もあったんです。」自身のターニングポイントとなった経験を話してくれた。

まず挙げたのは高校1年のころ。当時、プレーは上級生にも通用していると感じていた河瀬は、リザーブで全国大会の登録メンバーに入って花園でプレーすることを夢見ていた。「正直、メンバー入りも大丈夫だろう」と思っていたという。しかし、結果はメンバー外。「スタメンを狙う気持ちがないとメンバーには入れない。」メンバー発表後、東海大仰星・湯浅監督の自分を見透かすような厳しい言葉で過信していたことに気が付いた。「大学に入ってからも常に僕が15番を着るんだと強い意志を持ってやってきました。」この経験が、自分と向き合い妥協することなくひたむきに毎日の練習に取り組む今の河瀬に繋がっている。ラグビー人生で自分に奢ることはやめたという。

そして、次に挙げたのが大学1年のころ。当時、類まれなランを武器にスタメンに大抜擢された河瀬だったが体重は80キロ以下。高校では通用したが、大学ではフィジカルで負ける場面が目立ち得意のランも通用しなかった。そこで、悔しさをバネに取り組んだ食事とウエイトトレーニング。「1年目は本当にしんどかったです。」今では、高校時代から見違えるほど下半身もがっちりとしていて、体重も88キロまで増加。「今は心の余裕を持ちながらラグビーを楽しめています」と着実に進化を見せてきた。
20200402174148-45214d9814cd3592cfdf9e530cceb9e85bb33448.jpg

将来の日本代表入りについて「今までは世代の代表なので、自分と近い年齢の選手とだけプレーしてきました。しかし、日本代表でプレーするとなると他世代・他人種との勝負になる。そこは正直まだ不安です。早稲田大学でも新戦力が入ってきて、今年も15番を付けられるか不安なんです」と意外な本音も話してくれたが、失敗や悔しさを着実に力に変えてきた河瀬なら、今大会の経験もプラスに変えていくのだろう。新型コロナウイルスの影響で関東大学春季大会は中止となったが、この状況が収束したときにグラウンドを駆け回るパワーアップした姿を見てみたい。

【文:進藤佑基】

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook