「最後は常翔vs仰星で試合をしたいな」2人が交わした約束

MBSラグビーダイアリー

2018/11/24 14:00

昨年度の全国高校ラグビー大会優勝校・東海大大阪仰星でウイングを務める安井拓馬。全国大会の切符がかかった大阪地区予選決勝で対面となったのは、中学時代からの親友・常翔学園の山川一瑳だった。中学時代から尊敬していた山川との対戦に並々ならぬ思いで臨んだが結果は敗戦。全国大会優勝の夢は親友に託す。

憧れの舞台「花園」をかけた絶対に負けられない戦い

試合終了を告げるホイッスルが鳴り響くグラウンド。「これは現実なのか?」ただただ歓喜の輪を見つめることしかできなかった。

2018年11月18日。全国大会の出場権をかけた大阪地区予選決勝が東大阪市花園ラグビー場で行われ、常翔学園と東海大大阪仰星が対戦した。ともに過去5回の優勝を誇る強豪校で、東海大大阪仰星は昨年度の優勝校。ラグビーファンならワクワクする対戦カードだ。その試合で東海大大阪仰星の14番を務めたのが安井拓馬。身長177センチ・体重75kgと決して大きくはないが、最大の魅力は俊敏なステップで相手を抜き去るプレー。チームのトライゲッターである

安井が楕円球に出会ったのは中学1年時。京都市立藤森中学校で始めた。「小学6年でラグビーを始めた山川は強くて上手だと思いました。プレーを見て学んでいました。(安井)」その時に同じチームにいたのが山川一瑳(現・常翔学園)。188センチの高身長に足の速さも兼ね備える大型ウイング。当時からラグビー技術が高かった山川は、初心者の安井にとって尊敬する存在だった。「少しでも近づきたい」その一心で練習に取り組んだ。すると中学3年時には安井がフルバック、山川がウイングでレギュラーを掴む。さらに、揃っての京都府選抜入りも果たすほどに成長。ポジション柄コミュニケーションをとる機会も多く、服や音楽の趣味が合う2人はプライベートでも信頼しあう関係になっていた。しかし、高校は別々のラグビー強豪校へ進むことに。

「高校ラグビーの最後は、常翔対仰星で試合をしたいな」

2人の中でかすかに残る中学3年時の記憶。それでもはっきりと約束を交わしたことは覚えている。負ければどちらかの高校ラグビー生活は終わり。2人のプライドをかけた舞台が11月18日の花園で実現した。

「ラグビーを始めた時は尊敬する存在であったが、仰星で自分も3年間頑張ってきました。同じポジションで負けられないし、山川を越えた姿を見せたいです。(安井)」羨望の眼差しで見ていたあの頃から成長した自分をプレーで表現したい。昨年度の全国大会で出場時間がわずか2分だった安井は、悔しさを晴らすためにも大阪地区予選決勝を勝ち抜くと意気込んでいた。

「同じウイングとして負けたくないです。決勝で安井と試合を出来るのは嬉しいが勝負だから負けられません。(山川)」親友との対戦に闘志を燃やす。

迎えた決勝戦。安井は対面の山川へ果敢にタックルにいくなど体を張り続けたが、前半を7対14でリードされて終えると後半17分に交代。チームも7対54で花園出場を逃した。そして試合終了後、受け入れたくない現実に茫然としていた安井に声をかけたのは山川だった。

「俺、お前の分まで全国大会で頑張るから」

グラウンド上で交わした2つ目の約束。熱く交わした握手には、親友に全国制覇の夢を託したというメッセージが込められている。

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