日本が誇る世界的スター俳優・渡辺謙が『日曜日の初耳学』に登場。林修を聞き役に、“戦友”真田広之とのエピソードや、自身の俳優としての歩みをじっくりと語った。さらに、娘で俳優の杏がVTRで出演し、貴重なテレビ親子共演が実現。“娘目線”からスターの意外な素顔を明かした。
■「毎年2人だけで忘年会を...」
"ケン・ワタナベ"の名を世界にとどろかせたのが、2003年の映画『ラストサムライ』。興行収入140億円という大ヒットを記録したこの作品で、渡辺はアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、ハリウッドスターの仲間入りを果たした。
もう一人、この作品を機にハリウッドに進出した俳優が、真田広之。そんな真田との交流を聞かれると、「『ラストサムライ』以降は毎年2人だけで忘年会をしてました。彼が僕のアパートに来て...もうそろそろ体を使うのはやめたほうがいいんじゃないか、とかボヤキ倒しながら『じゃあね、また来年』みたいな」と、驚きのエピソードも打ち明けた。
今年、真田は主演・プロデュースを務めた米テレビドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』でエミー賞18冠という快挙を成し遂げた。渡辺はこのことについても今回、テレビで初めて言及。「日本からも優秀なスタッフを連れていったり俳優を連れて行ったりしていたので、そうとういろんな配慮をしながら...。彼はもともとプロデュースの力があるので、そういう意味で(主演兼プロデューサーという立ち位置が)ハマったんじゃないかと思いますね」と"戦友"の活躍を称えた。
ハリウッドでうまくいくコツを問われると「僕の私的な感覚で言うと、まず自分がやってきたこと、信念、スタイルを曲げないこと。それと、それを全部ひっくり返してもいいくらいの鷹揚(おうよう)さ、鈍感力みたいな。この両方をバランスよく使える人がうまくいくんじゃないかな」と、自らもハリウッドに挑んできた経験者ならではの思いを語った。
■「スーツも持ってなかったんで、慌てて買いに行きました」
精悍な顔立ちと184センチの長身を武器に、早くから頭角を現した渡辺。26歳の時には、NHK連続テレビ小説『はね駒』でヒロインの夫役に抜擢。そしてその翌年、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』でドラマ初主演。渡辺は「朝ドラをやっているときに『来年大きい時代劇があるかもしれないから馬(乗馬)と殺陣だけ練習しておいて』って言われて、準備していたら後日『記者発表やるから行ってね。大河ドラマの主役だよ』って。スーツも持ってなかったんで、慌てて買いに行きました」と、当時を振り返った。
この『独眼竜正宗』は平均視聴率39・。7%で、今も大河ドラマ歴代No1視聴率を誇る。中でも語り継がれる伝説的シーンが、勝新太郎演じる豊臣秀吉と渡辺演じる伊達政宗の初対面シーンだ。
撮影前に一言挨拶はしたものの、その後は本番まで「絶対顔を合わせないように、それぞれ段取りだけ別々にやってリハーサルなしの一発本番」だったという徹底した環境づくり。こうして、およそ一分間、一言も言葉を交わさず対峙する秀吉と政宗のドラマ史に残る初対面シーンが完成した。
■杏がVTR出演「心の底から"すごいな"と」
29歳で急性骨髄性白血病を発症。克服後、40歳以降は脇役に回ることも増えたが「あえてそうしたんです。40歳を機に、主役じゃない役をやりますと事務所にも言って」という。
当時、渡辺が口にしていた言葉が<病気の後はおまけの人生>。おまけの人生だからこそ、脇役として挑戦する道を選び、心に再び火をつけたかったという。そして出会ったのが、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)で演じたコミカルな警察署長。宮藤官九郎が手掛けた勢いのある脚本を読んで"ひっくり返った"という。
「 三谷(幸喜)くんもそうなんですよね。僕、彼が初めて書いた2時間ドラマに出ているんですけど、脚本を読んでひっくり返ったのはその2人ですね。ソファからずり落ちるくらい...なんじゃこりゃ!と。ちょっとワクワクしましたよね」と面白そうに語る。
55歳の時には、ブロードウェイミュージカル『王様と私』に挑んだ。セリフも歌もすべて英語で上演時間3時間の舞台を週8回こなすという過酷な挑戦。加えてこの時期に胃がんが判明するが、手術を経てブロードウェイの舞台に戻り、公演を大成功させてトニー賞にノミネートされた。
番組では、娘で俳優の杏がVTR出演。渡辺の『王様と私』への挑戦について「アメリカ公演を見たときに、初めて心の底から"すごいな"と思ったんですよね。自分が演じるという仕事を始めたのもありますし、どれだけ難しいことか、想像ですけどわかるようになったときに、すごいことをしているんだなと」としみじみ語り、あらためて尊敬の念を滲ませる場面も...。
60代になった今も、渡辺の挑戦は続いている。12月20日(金)公開の映画『ライオン・キング:ムファサ』で「ずっとやりたかった」というディズニー作品に初参加。冷酷な敵ライオン"キロス"の日本語吹替えを担当している。
■「"興味の丈"をたくさん取っておきたい」
プライベートでは熱狂的な阪神ファン。暇を見つけては甲子園のバックネット裏で観戦している。あいみょんの大ファンでもあり、ライブにも通う。そして、孫たちの良き"じいじ"でもある。
その生活力の高さは、杏も「私よりも家事能力とか段取りがすごい。私が子どもたちを寝かせに部屋にこもったその1時間で、すべて台所もきれいになり、残りのものでつまみまで作り、犬の散歩までし、"なんて便利なんだ"と(笑) 」と冗談まじりに語ったほど。孫たちのために『天空の城ラピュタ』のパズーのラッパシーンを完コピしたほのぼの動画もテレビ初公開され、番組レギュラー陣を驚かせた。
「仕事ができているのは家族のおかげ」としみじみ語り、「仕事をする上で大切にしていることは?」の問いには、「少なくともここから30年、40年仕事ができるわけではないので、いつでも需要が来るような、体もマインドも含めてですけれど、そういうスタンスでいたいですし、"興味の丈"みたいなものはたくさん自分の中で取っておきたいと思っています」と真摯にコメント。常に挑戦を続ける世界の"ケン・ワタナベ"の人生哲学が十分に垣間見えるインタビューとなった。
(MBSテレビ「日曜日の初耳学」2024年12月15日放送より)
無料見逃し配信はTVerで2025年1月12日(日)まで
渡辺謙 編!
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「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。
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