【雑学】電子レンジの「チン」は街で見かけるアレの音

5分で読める!教えてもらう前と後

2018/08/13 16:30

電子レンジで温めが終了すると「チン」と鳴るため、温めることを「チンして」という人が多い。しかし、この「チン」という音がどうやって生まれたのかは意外に知られていない。8月7日放送の「教えてもらう前と後」では、電子レンジの普及と東海道新幹線との意外な関わりを検証。そこから、温め終了音が「チン」になった開発秘話を紹介した。

東海道新幹線と電子レンジ普及との深い関係とは?

1964年、東海道新幹線が開業。東京―新大阪間を4時間で結んだ新幹線は、そのスピードが売りで大人気となる。そして、その当時ある特別な車両があった。それが「ビュッフェ車両」。実はこの「ビュッフェ車両」が、電子レンジの普及に一役買っているという。

開業当時の0系新幹線の「ビュッフェ車両」は、主に立食形式でイスはわずか13席。狭いビュッフェの中はカウンターにならぶ客で大混雑。ウエイトレスも通路を通れずてんてこ舞い。厨房の中もシェフが3人がかりでも回らないほどの忙しさだった。そんなビュッフェの厨房に、当時まだ開発されたばかりだった業務用電子レンジが搭載される。

なぜ、 ビュッフェ車両に電子レンジが採用されたのだろう。京都鉄道博物館の久保都さんに話を聞いてみた。
「列車の乗車時間が非常に短いので、出来上がった食事をすぐに提供できるようにという理由で電子レンジが搭載されました」
狭いスペースで火を使わず、温かい食事を素早く提供できる電子レンジは、まさにビュッフェにうってつけのマシンだったのだ。

電子レンジの「チン」音は自転車のベル音がヒント

新幹線人気もあいまって、ビュッフェは幅広い世代に親しまれた。それに伴い、電子レンジも徐々に普及し始める。新幹線開業の翌年、1965年に日本初の家庭で使える電子レンジが登場。さらにその2年後には、今では当たり前のあの機能が誕生する。それが「チン」の音。「温め終わったことに気がつかず、取り出し忘れて冷めてしまう」という苦情に対応して、温め終わったことを知らせる音が「チン」である。

開発者の藤原康宏さんは、サイクリングの時に鳴らした自転車のベル音からひらめいて「チン」を採用したという。
「街の喧騒の中、自転車のベルは小さい音ですけど人々の注意を引く音。これをレンジに組み込めないかと考えました」
見事「チン」は大当たり。「温めること」を「チンする」と言うようになるほど「チン」音は浸透。電子レンジは今では家庭にはなくてはならない調理家電となった。

「教えてもらう前と後」はMBS/TBS系で毎週火曜日よる8時放送。
政治・経済・健康・アート・歴史など毎回その分野のスペシャリストが登場し、決定的瞬間を教えてくれる。
「知のビフォーアフター」が体感できる番組。

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