MBS 毎日放送

2021年07月21日 10時14分 公開

宮前徳弘のスポーツコラムVol.52 責任と覚悟と

 「もしも、オリンピックが1年前開催だったら・・・」1年の延期は、夢の舞台に挑むメンバー選考に大きな影響をもたらしている。驚異的な成長を見せて台頭してくる若手に対して、新型コロナ感染拡大の影響によるトレーニング不足に加えて、けがや長年の酷使の影響でコンディション調整に苦しんだベテラン陣。多くの競技で1年前とは、メンバーが入れかわった。
 多くの仲間の思いを背負って大舞台に挑む戦士たち、アスリートたちの「覚悟」が結実することを、心から願わずにいられない。

 「もしも、オリンピックが1年前開催だったら、福澤も柳田も間違いなく代表メンバーに入っていたと思う。」苦渋の決断の末、大舞台に挑む12人を発表したバレーボール男子代表の中垣内祐一監督は、こう切り出した。

 バレーボールに限らず、1年の延期は、夢の舞台に挑むメンバー選考に大きな影響をもたらしている。驚異的な成長を見せて台頭してくる若手に対して、新型コロナ感染拡大の影響によるトレーニング不足に加えて、けがや長年の酷使の影響でコンディション調整に苦しんだベテラン陣。多くの競技で1年前とは、メンバーが入れかわった。

 前述の福澤達哉選手をはじめ、長年にわたって日本代表の主将を務め、日本女子ラグビーの歴史ともいえる中村知春選手や、日本女子バスケットボールのエースとして君臨、文字どおりゴール下を支え続けてきた渡嘉敷来夢選手など、1年前なら、主力で活躍したであろう選手が、最後の最後で、代表メンバーからはずれて涙をのんでいる。

 代表を外れた後、選手生活からの引退を発表した福澤達哉選手は、最後にこうしめくくった。「勝負の世界である以上、結果がすべて。選ばれなかったのは、自分を首脳陣に納得してもらうだけのパフォーマンスを示せなかっただけ。勿論、結果には悔しさが残るが、代表を目指して、オリンピックを目指して、全力で努力してきた過程に、後悔はない。」

 強豪国との前哨戦、エースがいない中、走って、走って、運動量で上回る新しい戦い方で快勝したバスケットボール女子日本代表は、観戦に訪れた渡嘉敷選手を前に、高田真希主将が大舞台に臨む思いを語る。「本音を言えば、渡嘉敷と同じコートにたって世界と戦いたかった。私は、彼女のけがをした後の血のにじむような努力も知っている。私たちは、代表に一緒に挑み選ばれなかった多くの選手の思いを背負っている。だからこそ、その思いにこたえる責任がある。支えていただいた方々、応援していただける多くの方のためにも、戦わなければいけない。それだけの覚悟は、できている。あとは、やるだけです。」

 多くの仲間の思いを背負って大舞台に挑む戦士たち、アスリートたちの「覚悟」が結実することを、心から願わずにいられない。

毎日放送制作スポーツ局 宮前 徳弘

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