みなさん、京都ておとふ屋さんが多いんどすえ。知ってはりました? そんで京都いうたら、湯豆腐もよう聞くんちゃいますか。京都の食とおとふは古うから切っても切れへん間柄なんどす。今回はそんな京都のおとふ屋さんのなかでも、ものすご歴史のあるお店へ行ってきたんどす。おとふのいろんなお話、ご主人から聞かせてもらいましたえ。

■ つぶ乃
洛中の外れに生まれ育ち、京都を担う二次元タレントを目指して活動を開始。ホンネが見え隠れする毒っけの強い物言いで、京都の真実に斬り込んでいく予定。
長い歴史のある町のおとふ屋さんどすえ!
今回、お伺いさせてもろたんは、入山豆腐店さん。御所のちょっと西側、堀川丸太町からちょっと東でちょっと上がったとこらへんにあらはるおとふ屋さんなんどす。こちらはかなりの歴史があるて聞いてきましたんえ。
ほれ、もう店見ただけでおいしいのわかりますやろ。おとふのほかにドーナツやらVeganケーキやらも売ってますんえ。
今回お話をお聞かせいただいたご主人、入山貴之さんどす。ものすごフレンドリーにいろんな話聞かせてくれはりましたんえ。
早速、ご主人にお話聞いてみたら「文政10年とか八代目とか言われたり、伝わったりはしてるけど、誰も確認してないからねぇ」って。言うたらず〜っと昔からおとふ屋さんを営んではるんどす。京都のおとふて有名ですけど、昔からなんどすか?
「昔から名前は知れてたみたいですね。ほかのところと比べて、やらかかったから」ってご主人。聞いてみたら、京都のおとふはにがりやなくて、すまし粉いうのを使うとこもあるんやて。
木綿豆腐もやらかいんどす。 これもすまし粉を使てるからなんどすな。
豆乳ににがり入れたらすぐ反応して固まるんやけど、すまし粉はゆっくり固まるんやて。入山豆腐店さんの先々代の日記にも書いてはったみたいやから、京都では昔から使われてたみたいどすな。そして、こちらは昔ながらの作り方でおとふを作ってはるのも特徴なんどす。
今でもかまど使て、豆腐作ってますんえ!
21世紀になって、はや20年。GAFAやAIやVRや言うてるこの時代に、入山豆腐店さんはかまど使こておとふ作ってはるんどすえ。ガスとかにしたらよろしいんちゃいますの?
「かまどで炊いたら、熱の入った豆乳の風味がのってくるんです」ってご主人。ほな、やっぱりかまどで作った方がおいしなるんどすなぁ。
これが現在も活躍中のかまどどす。昔っからこの場所にあって、前は土で盛ったかまどやったけど、ひび割れしてきて、10年くらい前に左官屋さんに頼んで外から塗ってもろたんやて。
かまどに火が入ってますやろ。こんなんして作らはったら、絶対おいしいに決まってますわな。
このかまどは大豆炊くだけやのうて、揚げもんにも使てはるんやて。ちょうどひろうす揚げはるタイミングやったし、ちょっと見せてもらいます。
ひろうすがようけ揚げられてますえ。入山豆腐店さんは、揚げ油に菜種油使てはるんやて。ああ、ええ香りでお腹鳴りそうですわ。
揚げたてのひろうすはめちゃめちゃおいしそ〜! なんで「ひろうす」言うんか、ご主人に聞いてみたら、ポルトガルの丸いお菓子でフィリョーズ言うんがあって、それと形が似てるからその名前を真似たみたい......って教えてもらいましたえ。
焼き豆腐も炭で焼き目つけてます
すき焼きやら煮物に使うことの多い焼き豆腐。これも入山豆腐店さんは炭を使て焼いてはるんどす。もしかしてガス止められてはるんやろか(←そんなことはおまへん)。
これまたおいしそどすな! 白いおとふの肌に見るからに香ばしそうな焼き目がしっかり映えてますえ〜。焼き豆腐用のお豆腐はしっかりめに作って、水切りもしっかりするんやて。そうして焼いたら、煮ても崩れへんようになるんどす。
昔っからの作り方で美味しい豆腐ができてますんえ
今もかまどを使て大豆を炊いて、炭を使て焼き豆腐を焼いてはる入山豆腐店さん。昔から使てるんはほかにもあって、実は水も店の奥にある井戸水を使てますんえ。そういうたら、昔から京都の水はやらこうて、おとふ作るのにエエって聞いたことありますわ。
これがおとふ作りに使てはる井戸水どす。昔からなんにも変わらんやり方で作らてるんどすな。
そうそう、ご主人には湯豆腐のおいしい食べ方もお聞きしましたえ。湯豆腐いうたらお鍋にお昆布入れて、そこでおとふをくつくつさせますやろ。皆さん、そのおとふ、だし醤油やらポン酢やらにどっぷりつけて食べてまへんか? あかんあかん、そんなんしたら、おとふの繊細なおいしさが感じられまへんえ。
いろんなおとふのこと、教えてくれはったご主人。貴重な資料もようけ見せてくれはりました。ホンマ、おおきに!
ご主人に聞いたら、鍋の中に小さな器入れて、そこに醤油とカツオとみりんでタレ作って、おとうふといっしょに温めるんどす。おとふといっしょにそのタレも湯煎する感じどすな。そんで、おとふを自分の取り皿に取って、お鍋の昆布出汁をちょっとかけて、タレもちょっとかける。そしたらおとふの味、昆布出汁の味、タレの味がちょうどいい塩梅になって、おいしゅう食べれるんやて。今度やってみまひょ!
湯豆腐の食べ方のほかにも、京都の絹こしは寒天使てるとか、絹こしは夏場しか作らへんとか、いろんなお話聞かせてもらいました。おとふ好きな人の多い京都で、昔っからのやり方を変えんとおとふ作りされてる入山豆腐店さん、どうどした? 実際行ってみたらわからはる思うけど、店の佇まいから、もうおいしいの決まってる!って感じが伝わってくるんどす。皆さんも京都へ来たら、おいしいおとふ、食べておくれやす〜。
■入山豆腐店
京都市上京区東魚屋町347
075-241-2339
営業時間 10:00ごろ〜18:00ごろ
休 日曜、月曜
きょうとの人しか知らんこと その11
京都では昔から愛されてきたおとふ。その昔のままの方法で作られてるおとふが今も食べられますんえ
