BLOGつぶ乃ブログ2019.08.20

六道珍皇寺さんにこの世とあの世の境目があるてほんまでっしゃろか?

Byつぶ乃

お盆が過ぎても、今年も暑おすなぁ。まあ、夏は暑いもんやさかい、文句言うても仕方おへんけど、それにしても暑おすなぁ。ほんで京都は盆地やから仕方おへんけど、それにしても暑おすなぁ。なんか暑い暑いいうてるだけで暑なってくるし、もうやめときまひょ。

今回はそんな暑い夏に毎年たくさんの人で賑わう「六道まいり」で有名な六道珍皇寺さんをご紹介させておくれやす。六道珍皇寺さんは、この世とあの世の境目とか、地獄の入り口があるとか、閻魔様もいてはるとか、とにかくいろんなお話がありますんえ。今回は、六道まいりとその不思議なお話について、ちょっと聞いておくれやす。

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■ つぶ乃

洛中の外れに生まれ育ち、京都を担う二次元タレントを目指して活動を開始。ホンネが見え隠れする毒っけの強い物言いで、京都の真実に斬り込んでいく予定。

いろいろな言い伝えが残る名刹

六道珍皇寺さんは1200年以上前に開創された古刹どす。あの世とこの世の境目、六道の辻にあると言われてるほかにも、いろんな言い伝えがあるんどすえ。それから、お盆の前、毎年87日から10日まで行われる「六道まいり」には、京都の人がたくさん足を運ぶんどす。この「六道まいり」は、「お精霊(しょらい)さん迎え」とも呼ばれてて、その名前どおり、精霊(御霊=みたま)を迎えるために参詣しますねん。はよ言うたらご先祖さんをお迎えに行く、いうことどすな。

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六道まいりの4日間は、ぎょうさんの人がお寺の前の松原通を通らはるんどす。通りには、こうして幕も張られますんえ。

お参りには決まり、順番があるんどす

「六道まいり」は、お参りする方法、順番が決まってるんどす。まず最初に高野槇を参道で買うて、本堂前で水塔婆(みずとうば)に戒名を書いてもらうんどす。それから迎え鐘を撞いたら、水塔婆を線香で浄めて、境内の賽の河原と呼ばれるところに備え付けられてる高野槇の葉を使って、水塔婆へ水回向(みずえこう)をして納める、というのがお参りの方法なんどすえ。

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これが高野槇どす。まずはこれを買うのが最初どすな。高野槇は中国で霊木と言われてるとか。腐りにくいさかい、昔はこれで棺や葬具なども作られていたんやって。

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高野槇を買うたら、水塔婆に戒名を書いてもらうんどす。皆さん、達筆どすえ。

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迎え鐘は十万億土に聞こえるって言い伝えられてるんどす。うちが行ったときにもぎょうさん人が並んではりましたえ。六道まいりはまた来年ですけど、今年のお盆もみなさんそれぞれお精霊さんをお迎えに行っとおくれやす。

この世とあの世の境とは......!?

高野槇の葉に乗ってご先祖様が帰ってくるって言われてまっさかい、京都の人は毎年こちらへ足を運んで、ご先祖様をお家に連れて帰らはるんどす。1200年以上前から行われてる「六道まいり」がどんなもんか、わかってもらえましたやろか? 

次は六道珍皇寺さんに伝わる、いろんなお話についてどす。あの世とこの世の境やら、地獄の入り口があるやら、なんか怖おすなぁ。ご住職にお話を聞いてみまひょ。

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お話をお聞きした坂井田良宏住職。おもしろくて不思議な話をたくさん聞かせてくれはりましたわ。

まずは「六道の辻」についてお伝えしまひょ。

ご住職曰く、「仏教用語でいう、この世とあの世の境目が六道の辻」。なぜこの場所がそうなのかというと、平安京が作られたころ、疫病が流行ってたくさんの人が亡くならはったんどす。その人たちを弔う場所としてできた葬場が、鳥辺野(とりべの)と呼ばれたこの辺りやったそう。ほかにも葬場はあったんどすが、都から一番近いということで、たくさんの人がこの辺りで弔われたんどすな。

ご住職のお話では、平安京ができたころは鴨川を三途の川になぞらえたと言われてるそうで、当時は敷地が今の十倍ほどあって、鴨川を渡ったら六道珍皇寺さんの寺領やったそうどす。「まさに三途の川を渡って冥界へ行く、そこにある寺」と、ご住職。せやさかい冥界の入り口、ということは出口でもあるということで「お盆になるとご先祖様が帰って来はる、ここからそれぞれのお家へ里帰りしはるんやね」と話してくれはりました。

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お寺の門の前にある六道の辻の石碑がこちらどす。あの世とこの世の境目なんどすえ。

毎夜、地獄に通っていた人物とは......

そして、六道珍皇寺さんといえば、縁の深いお方が小野篁(おののたかむら)卿どす。小野妹子直系の子孫で小野小町もその一族なんどすえ。この篁卿がすごい人で、法律にも明るく、家柄もよく、貧しい人には施しを分け与えたという反面、「野狂(やきょう)」とも言われる奇行も多かったそう。元々は亡くなったお母さんに会いとうて、このお寺から冥界へ行き、閻魔さんと親しくなって、お母さんを輪廻させてもらわはったんやって。閻魔さんは篁卿が有能なことをよくご存知で、ご住職によると「やわらかく言うたら、(閻魔さんが篁卿に)バイトに来てくれっていう話。お母さんも助けてもろたし、夜は行きますわ、となったんやな」とのことで、昼間は朝廷の役人、夜は地獄でアルバイト......じゃなくて冥官として裁き人をしてたそうどす。

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特別に撮影させていただいた小野篁卿の立像。六尺二寸(約186cm)は等身大で、平安時代にこの身長はめちゃくちゃ目立ちはったやろなぁ。※通常は撮影不可

地獄への行き道と帰り道もありますんえ!

さて、この篁卿がどうやって地獄へ通ってたと思わはります? その答えは井戸からなんどす。暗く深く先の見えへん地中へ続く井戸は、冥界につながると昔から思われていたそうどすな。で、ここ六道珍皇寺さんにはその井戸が今もあるんどす! しかも冥界への入り口「冥途通いの井戸」と、冥界からの出口「黄泉がえりの井戸」の両方が! ホンマは特別拝観のときだけしか見られまへんのやけど、特別に見せてもろたんどす。嗚呼、ありがたい。

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「冥途通いの井戸」がこちらどす。踏み石には、篁卿の大きな足跡が残ってますわ。本堂背後の庭内にありますんえ。通常見られるのは特別拝観のときだけどす。※通常は撮影不可

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さらに奥にあるのが「黄泉がえりの井戸」。深さは130mとも言われてて、今も水が湧き出してますんえ。※通常は撮影不可

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日々の暮らしに地獄に落ちない方法がある、とご住職。わたしも明日からがんばるつもりどす! ホンマどすえ!

あの世とこの世との境目で地獄への出入り口の井戸もある六道珍皇寺さん。お盆にご先祖さんがここに帰って来はるいうのも納得どすな。最後にご住職に地獄に落ちひんようにするにはどうしたらええんか、聞いてみました。その答えは「五戒を守ること」とご住職。五戒とは平たく言うたら、殺生しない、人のものを盗まない、男女の道を外れない、嘘をつかない、お酒を飲まないということどす。「清く正しく生きるということ、それは毎日の生き様がすべて。だから地獄に落ちない方法は今にある、我々の人生の延長線上にあるということですな」と話してくれはりました。最初の3つは守れそうやけど、嘘とお酒は......あきまへん! 明日から五戒を守って、清く正しく生きるんどす! のつもりどす!!

■六道珍皇寺

京都市東山区大和大路通四条下ル小松町595
京阪本線 祇園四条駅、清水五条駅から徒歩15分
075-561-4129
※境内は通常自由に参拝可能。特別拝観についてはホームページを参照
六道珍皇寺ホームページ http://www.rokudou.jp/

京都の人しか知らんこと その5

歴史の深い京都には、おもろうて不思議な言い伝えがたくさんおます。
この世とあの世の境目でいろいろ考えるのもええもんどすえ。

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つぶ乃

洛中の外れに生まれ育ち、京都を担う二次元タレントを目指して活動を開始。ホンネが見え隠れする毒っけの強い物言いで、京都の真実に斬り込んでいく予定。