BLOG京ノ旅手帖2019.08.30

徹底取材!春夏秋冬楽しめる、京都のかき氷屋さん 4選

By西垣 愛佳

日本の冷たいスイーツといえば、かき氷!夏はもちろん、秋、冬、春とオールシーズン楽しめる京都市内のかき氷の名店4店をご紹介します。その中で100 年以上続く老舗和菓子屋さんの5色蜜のかき氷を取材させていただきました。

5色の蜜でいただく「二條若狭屋 寺町店」の彩雲

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「かき氷なのに和菓子屋さん?」ピンと来ない方も多いかもしれませんが、京都では、老舗の茶舗や和洋菓子店、甘味処などが、それぞれの持ち味を生かしたかき氷を提供しています。 二條若狭屋さんもそのうちの一つで、和菓子店としての創業は大正6年(1917)。美しく、繊細な味わいの京和菓子を作り続けてきた名店です。

店長の熱い思いからできた、素材重視のかき氷

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二條若狭屋寺町店さんでは、5色の蜜でいただく「彩雲(さいうん)」が大人気です。「100年以上にわたって和菓子を作り続けてきた店だから、最初にかき氷を提供するのには、社内から反対の声もありました」。そう語るのは二條若狭屋 寺町店、店長の大石真由美さん。幼い頃からかき氷が大好きで、いつかお客さんに向けておいしいかき氷を提供したいという思いがずっとあったのだそう。

「最近は和菓子離れの傾向が強いように思います。だから、若い人たちが和菓子に触れる場を作りたいと思ったんです」。反対を説得してまでかき氷を提供したかったのは、そんな思いがあったからだといいます。和菓子を愛する大石さんだからこそ、砂糖の具合や温度管理に和菓子の技術が生きるというかき氷を提供し、伝統の技に触れてほしいという思いが生まれたんですね。

こだわりのかき氷作りを見せていただく!

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普段は入れない製造場にお邪魔し、かき氷完成までの過程を見せていただけることに!まずは大きな澄んだ氷をかき氷機にセット。この氷、二條若狭屋の地下水に湧く天然水を、空気が入らないように丁寧に、5日間かけてゆっくりと凍らせるそう。「ゆっくり時間をかけて凍らせると、溶けるのもゆっくりになって、比較的長い時間かき氷タイムを楽しめるんですよ。」と、大石さん。削る様子からもわかるふわふわ感に目を奪われます...。

氷とフルーツの層が...!

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この彩雲の内部は、氷、フルーツ、氷、フルーツ、氷...と5つの層になっています。その時々で旬のフルーツを使用するため、内容は随時変わりますが、この時はキウイやリンゴ、オレンジピール、自家製甘夏のゼリーがイン。製造場内には果実のあまーい香りが漂っていました。

蜜のヒミツ

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忘れてはならないのが彩雲のキモともいえる5色の蜜!こちらも旬のフルーツや素材によって変わるので、訪れる季節ごとに楽しみがあるのが嬉しいところです。フルーツ系3種に、べっこう飴や甘酒などの変わり種の砂糖系2種で出すことが多いのだそう。素材を生かした甘すぎない果実感強めの蜜、夏みかん蜜をかけた際には「もう、ほぼ夏みかんや...」と声が漏れてしまうほどでした。素材は全国各地の良いものを取り寄せており、大石さん自ら市場まで足を運んで素材を選ぶこともあるそう!

ついに、ついに...いただきます

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実は私、二條若狭屋さんの彩雲を食べることが今夏の念願でした。スプーンがすっと入っていく、やわらかで真っ白な氷!まずは氷だけでいただいてみると、舌の上での繊細なとけ方にさらに驚きます。おいしくって急いで食べてしまっても頭がキーンっとなりにくいのは、ゆっくりと凍らせているからなのだそう。

5種の蜜で、MY氷にカスタマイズ

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ちらりとのぞくフルーツを楽しみに、5色のソースをかけて自分流にカスタマイズするのも彩雲の醍醐味!この時はレモン、プラム、夏みかん、ヨーグルト、べっこう飴の5種の蜜でした。ちょっと驚くのが、べっこう飴の蜜。甘くて、べっこう飴そのもの!?という味わいながら、すっきりとした後味です。こちらのべっこう飴、一番人気の蜜で、1年間のほとんどは5種の中にラインナップしているのだそうです。

かき氷の後は、おみやげタイム

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かき氷の食べられる茶房は2階。1階は和菓子がずらりとならぶお買い物スペースです。おみやげに、二條若狭屋の看板商品ともいえる「不老泉」をお買い上げ。手のひらに収まる小さくレトロな箱の中には、くず湯のもとが入っています。味はプレーン、抹茶、善哉の3つ。お湯を注ぐと、あられでできたた千鳥と水玉がプカプカ浮きます。とろりとしたのど越しはリラックスタイムにもぴったり!その他にも定番から季節の和菓子まで、味はもちろん見た目も麗しい和菓子がたくさん並んでいるので、ぜひゆっくり見て帰ってくださいね。

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■ 二條若狭屋 寺町店

京都市中京区寺町通二条下る榎木町67
地下鉄京都市役所前駅から徒歩5分
075-256-2280
物販は9~18時、茶房は10~17時
http://www.kyogashi.info/sub5.html

他にもある!1年中いつでも食べられるおすすめかき氷店はこちら

暑い季節が終わっても、秋、冬、春とかき氷を食べ歩きたい!そんなかき氷愛好者さんにもおすすめの京都のお店を3軒ご紹介。

おっきな氷と、アンティークな器に夢中「お茶と酒 たすき」

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京都らしく、風情のある祇園白川通り沿いに建つ築約120年の町家をリデザインしたこちら。セレクトリサイクルショップ「パスザバトン」の京都祇園店に併設する、カフェタイムもサク飲みも、両方楽しめてしまう個性派喫茶です。

迷ったらコレを食べてほしい!"焙じ茶みつ きなこ練乳付"

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こちらのおすすめは、焙じ茶みつきなこ練乳付1,188円。店内で焙じるほうじ茶を使ったみつは香り高く、香ばしい...。こちらと抹茶みつのかき氷が定番で、他にもなま大福やアップルマンゴーなど、趣向を凝らした月替わりのかき氷が毎月登場します。店内で販売されているアンティークの器に入っていて見た目もかわいく、大きさも相まってSNS映えばっちりです。

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■ お茶と酒 たすき

京都市東山区末吉町 77-6 パスザバトン京都祇園店内
京阪祗園四条駅から徒歩約5分
075-531-2700
11~19時LO、日祝は11時~18時30分LO
http://tasuki.pass-the-baton.com/

京都エスプーマブームの先駆者「茶匠 清水一芳園 京都本店」

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智積院や三十三間堂のほど近くにある、お茶のスイーツやフードが楽しめるカフェ。有名料亭さんからも支持を受けているという茶問屋さんが経営していることもあり、お茶の品質・おいしさはお墨付きです。

看板メニュー"宇治抹茶氷 エスプーマ仕立て「亀」"は食べるべき!

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エスプーマとは、スペイン語で「泡」という意味。亀のようなビジュアルがインパクト抜群です。2種の抹茶をブレンドした濃茶に和三盆糖を合わせて作られるふわふわエスプーマは、きめ細やかな氷にやさしくマッチ。味わいも濃厚で、別添えの小豆と白玉も良いアクセントです。

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■ 茶匠 清水一芳園 京都本店

京都市東山区本瓦町665
市バス停東山七条から徒歩3分
075-202-7964
11~16 時 LO
https://ippoen.co.jp/

フルーツをたっっぷり贅沢に味わうなら「鹿の子」

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最近、JRの新駅ができたことでも話題の梅小路エリアにあるかき氷カフェ。ノスタルジックな雰囲気の京果会館という建物の2階にあります。フルーツを贅沢に使ったかき氷が食べられることで話題で、若い女子からカップル、家族連れまで幅広い年代に人気です。

季節限定フレーバーで旬の果実を味わって!

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ぜひ食べてほしいのが、季節のフルーツをふんだんに使う限定フレーバー。こちらの蜜、注文を受けるごとに一皿分ずつフルーツとシロップをミキサーにかけて作っているんです。だからこそ実現する、冷たいフルーツそのものを食べているかのような濃厚な果実感!私がいただいたのははすいか。みずみずしく、フレッシュな風味にスプーンを持つ手が止まりませんでした。

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■ 鹿の子

京都市下京区朱雀正会町1-1京果会館211
JR梅小路京都西駅から徒歩5分
075-708-7150
11~17時LO
https://kanoko-kyoto.com/

春、夏、秋、冬。かき氷の魅力にどっぷりです

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冷たくて気分をすっきり爽やかにしてくれるかき氷、春夏秋冬いつでも楽しめるお店をめぐってみました。今回の旅で思ったことは「いくつ食べても飽きない...!」ということ。多種多様なスタイルがあり、店ごとに特色あるメニューがいただけるので"1日かき氷旅"なんていうのもすてき!皆さんもぜひ、お気に入りのかき氷店を見つけてみてください。

ライター
西垣 愛佳 にしがき あいか

京都の編集プロダクションエディットプラス所属のライター。おいしいも のを求めて散歩するのが週末の楽しみ。最近は御朱印集めにはまっていて、 梨木神社でいただいた御朱印がお気に入り。

カメラマン
鈴木 誠一 すずき せいいち

京都生まれ・京都育ち・京都在住のグルメカメラマン。スイーツや料理など、 食べ物の撮影が得意。趣味はおいしい食べ物を食べることと、撮影すること。