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BLOG京ノ旅手帖2019.08.09

夏だけ、大人だけのお楽しみ。芸妓・舞妓さんのいるビアガーデンへ!【上七軒&宮川町】取材レポート

By西垣 愛佳

驚くほど暑い京都の夏。周りが山に囲まれ、熱がたまりやすい盆地という土地柄、ムシムシするし汗が止まりません…。そんな京都の夏には、季節限定の大人のお楽しみがあります。それは芸妓・舞妓さんのいるビアガーデン!芸妓・舞妓さんたちの接客を受け、会話を楽しみながら、冷たいドリンクとおいしい料理をいただけます。今回は「上七軒ビアガーデン」と「宮川町ビアガーデン」へ。毎日暑い中頑張る自分へのご褒美!伝統文化へ触れる夜の夏旅へ、出発です。

ビアガーデンの舞台「花街」って一体...?

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芸妓さんや舞妓さんが芸を披露したり、お客さんと会話を楽しむ「お茶屋」。そんなお茶屋が集まっている地域を「花街(かがい)」といいます。京都には、上七軒・宮川町・祇園甲部・先斗町・祇園東の5つがあり、五花街と呼ばれています。

庭も建物も風情抜群「上七軒ビアガーデン」

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学問の神様をまつる北野天満宮のほど近くにある花街、上七軒。始まりは文安元年(1444年)とされ、京都で最も歴史がある花街とも言われます。そんな花街にある上七軒歌舞練場で、庭先や館内を一部開放してビアガーデンが開催されます。

上七軒歌舞練場へ

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正面から歌舞練場に足を踏み入れると、鯉の泳ぐ風情ある庭が迎えてくれます。こちらの建物は明治時代の中期に建てられ、時代の流れとともに増改築を繰り返してきました。特別な飾りはないのに、華やかでクラシカル。普段の生活と切り離されたような、素敵な空間です。

冷たいビールで乾杯

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席につくと出てくるのは、生ビールに酒菜が2つ付く「最初のセット」。それ以降は、20種以上のドリンクと、15種以上の料理メニューの中から好きなものを注文します。から揚げやだし巻き、生麩の田楽など、おつまみにぴったりなメニューがテーブルに並びました。仕事終わりの一杯...体に沁みわたります。

芸妓・舞妓さんとのトークに、気分高まる!

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芸妓・舞妓さんたちは、お酌などはしません。その代わり、名刺にあたる「千社札(花名刺)」を持って各席を回り、ご挨拶をしてくれるんです。上七軒歌舞練場では、毎日6名の芸妓・舞妓さんが各席を回ります。明るく気軽に話しかけてくれるので、緊張や心配はご無用。芸妓・舞妓さんたちを眺めていると、芸妓・梅嘉さんがご挨拶に来てくれました。

涼やかな浴衣も素敵

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芸妓・舞妓さんたちは、おそろいの浴衣を着て、私たちをもてなしてくれます。芸妓さんは藤色、舞妓さんは桃色の花唐草の模様がかわいい!かんざしは、必ず季節に合うものをつけるそうです。梅嘉さんの後も、芸妓・梅葉さん、芸妓・梅志づさん、舞妓・尚舞さんの千社札をいただくことができました。さすがおもてなしのプロ、容姿だけでなく、所作や話し方などからにじみ出る美しさに酔いしれました。

心もお腹も、満たされました

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芸妓・舞妓さんたちとお話しながらいただくビール、料理。最高の夜です。上七軒ビアガーデンには席の制限時間はありませんが、混雑している時は譲り合って、みんなで楽しみたいですね。秋には、芸妓・舞妓さんによる踊りが楽しめる「寿会(ことぶきかい)」も開催されるようです。気軽に花街の文化に触れられる機会、ぜひ訪れてみてください。

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■ 上七軒歌舞練場

京都市上京区今出川通七本松西入真盛町742
市バス停「北野天満宮前」「上七軒」から徒歩3分
075-461-0148(上七軒歌舞会)
★ビアガーデン
開催期間:7月1日~9月5日(8月14~16日は休み)
※予約はhttp://www.maiko3.com/beergarden.htmlからも可能(保護者同伴の場合も含め、18歳未満は入場不可)
※入店時間は17時30分、18時、18時30分、20時、20時30分から選択(LO 21時30分)、予約優先

夜の宮川町通を歩き、「宮川町ビアガーデン」へ

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宮川町通にある、宮川町歌舞練場。こちらの特設会場で「宮川町ビアガーデン」が開催されます。景観保護地区に指定されている宮川町には、京町家が立ち並び、昔ながらの花街の空気感が残っています。

受付を済ませ、会場へ

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宮川町ビアガーデンは、長いテーブルに相席する形。席につくと、まずはドリンクを注文します。18時と20時の2部制で、提供されるお料理が異なります。私が参加したのは、20時からの部。フリードリンクにオードブルが付く形式なので「たくさんお酒を飲みたい!」と思っている方も安心です。18時からの部では、同じくフリードリンクにお弁当がつきます。オードブルやお弁当は、京料理やフレンチなど11店が日替わりで提供するので、味もお墨付き。

千社札、いただきました

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宮川町では、おそろいの浴衣を着た4名の芸妓・舞妓さんが各テーブルを回り、挨拶をしてくれます。芸妓・叶千沙さん、芸妓・菊つるさん、舞妓・小えんさんの3名の千社札をいただきました!涼しげな浴衣に、薄化粧の芸妓・舞妓さんたち。軽快なトークにも魅了されます。

芸舞妓さんたちの踊りも楽しめる

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妓・舞妓さんたちによる踊りも必見です。会話を楽しんでいた時の弾けるような笑顔とは違って、しっとりとして美しい表情と身のこなし。先ほどまでワイワイ盛り上がっていた会場内も、踊りに引き込まれていくのがわかります。指の先までしなやかで、初めて見る芸妓・舞妓さんたちの踊りに感動...。ビアガーデンで踊りが楽しめるのは宮川町だけです。

最後にはうちわの当たる抽選会が

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後には、芸妓・舞妓さんの名前の入ったうちわをかけて抽選会が。残念ながら私は当たりませんでしたが、最後にこんなお楽しみがあるのも嬉しいですね。秋には、古典を中心とした踊りや歌を見られる「みずゑ會(みずえかい)」も開催されます。10月に4日間だけの開催なので、気になる方はお早めの予約を。

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■ 宮川町歌舞練場 

京都府京都市東山区宮川筋4丁目306
市バス停河原町松原から徒歩7分、京阪電車「祇園四条駅」から徒歩7分
075-561-1151(宮川町お茶屋組合)
★ビアガーデン
開催期間:7月15日~8月31日(7月28日と8月15・16日は休み)
※予約・問い合わせは宮川町お茶屋組合(075-561-1151、平日10~16時)まで(同伴も含め、18歳未満の未成年は入場不可)
※18時~、20時~の2部制(部によって料金は異なる)

夏の夜、満喫しました

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今回、上七軒・宮川町と2つの花街で行われるビアガーデンに行ってきました。普段は、お会いする機会もあまりない芸妓さん・舞妓さんとお話ができたり、歌舞練場内に潜入できたり、踊りを見ることができたり...。夏だけ、そして大人だけのお楽しみ。花街の文化に触れたい方、暑い夏の夜に冷たいドリンクで涼みたい方!ぜひ、足を運んでみてください。

ライター
西垣 愛佳 にしがき あいか

京都の編集プロダクション「エディットプラス」所属のライター。おいしいものを求めて散歩するのが週末の楽しみ。最近は御朱印集めにはまっていて、梨木神社でいただいた御朱印がお気に入り。

カメラマン
マツダナオキ

京都の街に魅せられて移住してきた、京都歴8年のカメラマン。料理、人物、建築等ジャンルを問わず撮影する。コーヒーが好きで、カフェによく行く。