旅知新ブログ
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BLOG京ノ旅手帖
2019.07.09
京都の夏に味わいたい!レトロカフェのアイスメニュー【四条河原町編】
老いも若きもいつだって夢中「喫茶ソワレ」のゼリーポンチまずご紹介するのは、阪急電車河原町駅そばにある「喫茶ソワレ」。昭和23(1948)年創業で、今年で71年。戦後すぐから営業の、歴史ある喫茶店です。店内の木彫刻は、創業者の友人、彫刻家・池野禎春が、フランスの片田舎の教会をイメージして作ったのだそう。ひと粒ひと粒、丁寧に彫られたぶどうや、そのぶどうから連想されるワイン(酒)の神"バッカス"など、今となっては非常に希少価値の高いものになっています。トイレのノブさえも手彫り。"パニック"の語源になったといわれる、ギリシャ神話に登場する半人半獣の牧神パンが描かれるなど、細部に至るまでこだわりが詰まっている贅沢な空間です。その時代だからこそ叶った、細やかで丁寧な仕事ぶりが垣間見えますので、じっくり眺めてみてください。店名のソワレとは、フランス語で「夜会」「素敵な夜」という意味。メニューの表紙にある文字「Soyez la bienvenve」は、フランス語で「ようこそいらっしゃいました」と書かれています。そして喫茶ソワレといえば特徴的なのが、ブルーのライト。 女性がきれいに見える灯りだそうで、創業者の友人、染色家・上村六郎の提案で取り入れられました。当時は夜中まで営業していたといいますし、"素敵な夜"の由来にとてもマッチしています。絵画がたくさん飾られている中で、ひと際目を引くのが東郷青児のもの。創業者が店のイメージに合うと、気に入って絵を飾っていたといいます。それを見た創業者の画家仲間が「君の絵が飾られている」と、東郷青児本人を連れ来店したのだそう。それをきっかけに繋がりが生まれ、以来ソワレのためにイラストを描き下ろすようになりました。2階にある原画のほか、コースターやタンブラー・コーヒーカップなどにイラストが使われているのはご存知の通り。喫茶ソワレの雰囲気を、よりエレガントなものにしています。2階に上がると、窓から木屋町通りの桜の木が全面に眺めることができます。春は桜並木、夏は新緑、秋は紅葉と四季折々の風景が楽しめます。情景の移り変わりが近くで感じられる窓際席に座れたときは、外の風景も存分に楽しんでください。三角の天井が教会をイメージして作られたというのがよくわかりますし、昔の人のサイズ感で作られたのでしょう、テーブルやイスが今と比べて小さめサイズなところにも時代を感じます。夏に喫茶ソワレで味わってほしいメニューが"ゼリーポンチ"。1978(昭和53)年、二代目オーナーの奥さんが考案したそうで、40年以上続く定番メニューです。最近ではインスタ映えすると人気で、看板メニューになっているほど。サイダーにそれぞれ味の違うゼリーが5色、たっぷり20カット入っていて食べごたえ十分。1889年に発売、100年以上同じ製法で作られているサイダーは、刺激の少ない優しい炭酸。少しの間で炭酸が抜けてしまうほど繊細なので、写真を撮るのもほどほどに。光にかざすときらきら輝いて涼しげで、これぞ夏イチオシのメニューです。数に限りがあり、早いときにはオープンから2時間ほどで完売するほど人気なのだとか。確実に食べたいときは、オープンすぐの入店がオススメです。ゼリーを使ったメニューはゼリーポンチだけではありません。ゼリーコーヒーも人気メニュー。アイスカフェオレの中にコーヒーゼリーが入っていて、ゼリーポンチに比べると大人の味に仕上がっています。実はゼリーシリーズが生まれるきっかけになったのが、このゼリーコーヒー。1974年に生まれたといいますから、ゼリーポンチよりも少し先輩です。それまでの喫茶ソワレは、男性客が中心。女性は男性に連れられ来る程度で、女性でも来やすいようにと、女性が食べたくなるメニューをと考え出されたのがゼリーコーヒーでした。写真はゼリーコーヒーフロートですが、深煎りコーヒーの味わいを感じるコーヒーゼリーに、コクのあるアイスが浮かべられています。一緒にいただくと、苦味と甘味がミックスされ、大人だからおいしいと感じる味わい。ゼリーポンチと同じころにゼリーミルクというメニューも作られました。5色のゼリーが牛乳に入っているもので、ゼリーポンチとはまた違うおいしさがあります。牛乳臭さを消すためにミントが入っていて、さっぱり飲めるのもゼリーミルクの特徴です。実はこのメニュー、牛乳が苦手な現オーナーのために、母である二代目オーナーの奥さんが考えたついたのだそうです。結局現オーナーの牛乳嫌いは解消されませんでしたが、子どものためにという、お母さんの愛が感じられるエピソードに温かさが感じられ、いいお店なんだろうと想像できますよね。そんな裏話も感じながら、味わってみたいものです。ゼリーメニューはほかに、ヨーグルトポンチやゼリーワインもあります。いずれも手作りのため数量限定ですが、夏に味わってほしいメニューです。■ 喫茶ソワレ京都市下京区 西木屋町通四条上る真町95四条河原町交差点より徒歩約2分 075-221-035113:00~19:30(L.O. 1階18:00、2階18:45)月曜日(祝祭日の場合は翌日)http://www.soiree-kyoto.com/幾多の文化人が通りすぎた、本物のレトロ喫茶「フランソア喫茶室」喫茶ソワレから四条通りを渡り、南に歩いて約2分。四条河原町の交差点からすぐの「フランソア喫茶室」も、京都を代表するレトロカフェのひとつです。創業は昭和9(1934)年といいますから、85年もの間営業していることになり、老舗と呼ぶにふさわしいお店。長い年月の間には、画家・藤田嗣治や映画人・吉村公三郎、新藤兼人、フランス文学者・桑原武夫、矢内原伊作など、多くの著名人が常連として通っていました。1970年の安保闘争のころには、全共闘の指導者が集結という場面もあったそう。見た目こそ物々しい彼らですが、店内でのマナーはきちんとしていましたよ、と、若くでお店を継いだオーナーは語ります。大学生の女性スタッフが、デモに行くから休ませてほしいという、時代を反映するようなエピソードも、今となっては笑い話です。現在は北と南の2フロア構成になっていますが、創業時は南側のみだったそう。窓からの光が明るく、白いイメージの南側には、フランスから取り寄せた壁紙が貼られています。2019年4月のリニューアルの際に、新しいものに張り替えられ、より明るい印象に。2、3年ほど前から完全禁煙になっていますが、それまでは、やになどで壁紙や調度品が汚れやすかったそうです。禁煙実施には喫煙家の反発もあったようですが、時代の流れもあり、今では好意的に受け取られています。北側は、茶色の柱や赤いビロードの椅子が印象的で、南側に比べるとややダーク。イタリアンバロック様式の内装で、豪華客船のホールをイメージして作られたそうです。南側より少しあとの、昭和16(1941)年に建築された物です。創業者の立野正一さんは、画家を目指していた学生だったので、店内には正一さんが集めた名画が数多く飾られています。フランソアという店名が、画家「フランソア・ミレー」が由来になっているのも、絵画をこよなく愛しているから。貴重なイタリア・メディチ家出版の複製「モナリザ」は、昭和16年に店をつくるときに、関西に2枚だけあったものだそうですし、ピカソのリトグラフは、100分の3枚目で、ピカソが世界平和委員会に寄贈した作品が日本にきていた物を入手した物です。貴重なものがあちこちにあって、さながらギャラリーのよう。貴重な美術品を眺めながら、クラシックの調べに耳を傾けると、優雅な気分に浸ることができますよ。夏のオススメメニューは"ゆずスカッシュ"。オーナーの友人が営んでいる、農園のゆずを使ったスカッシュで、香りと色がよく味がまろやか。レモンに比べ飲みやすくさっぱりとしているので、暑い日に涼を取るのにぴったりです。シックで上品な制服も、お店の雰囲気に馴染んでいます。創業当時から変わらないスタイルで、映画の舞台になった時は、主演女優も袖を通したのだそう。今どきのカフェでは見かけない、クラシックな制服にも注目してみてください。俳優・寺尾聰の父、宇野重吉の発案で生まれた、フレッシュクリームが入ったコーヒーや、フレンチトーストも人気メニュー。コーヒーは、今の時期ならキリッとアイスでいただくのがオススメです。平成15(2003)年、日本の喫茶店で初めて国の登録有形文化財にも指定された、フランソア喫茶店。由緒ある空間では、外のうだるような暑さも忘れることができるかもしれません。■ フランソア喫茶室京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184四条河原町交差点より徒歩約3分 075-351-4042・FAX:075-351-404310:00~22:30(LO:サンドイッチ・トースト 21:30、ドリンク・ケーキ 22:00)無休(12月31日、元旦、1月2日のみ休み)http://www.francois1934.com/index.html京都人に愛されてきた地元密着喫茶店「イノダコーヒ 本店」京都市内をはじめ、関東や北海道にも支店がある「イノダコーヒ」。発祥の地、本店は四条烏丸交差点から歩いて10分ほどの、堺町通りに面した位置にあります。 白い壁の右側が旧館、左の黒い壁が本館で、コントラストが対照的。本館側ののれんをくぐって入店します。昭和15(1940)年、旧館"メモリアル館"から創業。当時は4席だけの小さな喫茶店でした。メモリアル館内部も、外観の白壁に「COFFEE」の文字も、ほぼ当時のまま。ハイカラな造りなのがよくわかります。当時の什器が置かれた味わいある空間は、長年営業してきた老舗だからこその価値。今も喫茶席として使われていて、希望すれば座ることができます。メモリアル館と並んで人気なのが、奥の旧館。室内に入れば、重厚感のある照明やインテリアが、レトロな雰囲気を醸し出します。ギンガムチェックのテーブル席がかわいく"インスタ映え"すると、若い世代も好んで座ります。2階建てのスタイリッシュな本館と合わせ席数211席は、イノダコーヒ全店舗の中で最大席数。庭には、喫煙OKのテラス席もあります。希望の席がある時は、スタッフの方に伝えてみて。満席で待つこともありますが、待てば希望通りになることが多いです。イノダコーヒのスタッフは、みなちょうネクタイをつけ正装をしています。接客も丁寧で気持ちよく、まるでホテルでサービスを受けているかのよう。ホスピタリティの高さにも注目してみてください。朝食からランチ、スイーツと幅広いメニュー展開をしているイノダコーヒですが、夏に味わってほしいのは"コーヒーフロート"。ミルク・砂糖入りの深煎りアイスコーヒーにレモンアイスが乗ってやってきます。一般的にフロートというとバニラアイスを連想しますが、イノダコーヒでは、創業者のこだわりでレモンアイスが使われています。製造過程でレモンの皮が使われますが、酸っぱさを感じる味ではなく、さっぱりとしたバニラアイスという位置づけ。コクのあるコーヒーとの相性が抜群で、深煎りなのに爽やかさえ感じられます。コーヒーフロートと一緒にプリンもいかが?昔ながらの味と形で、懐かしさを感じます。ほどよい硬さにたっぷりのカラメルがおいしい!シンプルですが、レトロなうつわに入れられおめかし。よりおいしそうに見えるから不思議です。食欲が落ちがちな夏でも、つるんと口に入るうれしいメニューです。ところでイノダコーヒは「コーヒー」ではなく「コーヒ」という表記になっています。もともと"珈琲"と漢字表記だったのが、"こうひ"と平仮名になり、"コーヒ"になったのだそう。時間の流れが感じられるエピソードです。今も昔も京都人に愛されるイノダコーヒで、ひとときの涼しさを体感してください。■ イノダコーヒ京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140四条烏丸交差点から徒歩約10分075-221-0507 FAX:075-221-05307:00~19:00年中無休https://www.inoda-coffee.co.jp/四条河原町近辺には他にも老舗カフェがたくさん!今回は3つのお店を取材しましたが、四条河原町近辺には他にも魅力的なレトロカフェがたくさんあります。暑い夏の京都、旅先でのひと休みに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。スマート珈琲店昭和7(1932)年「スマートランチ」を創業。戦後「スマート珈琲店」に変わり現在にいたります。山小屋のような雰囲気の中で、自家焙煎のコーヒーが味わえます。ホットケーキが人気ですが、夏はコーヒーフロートやプリンの注文も多いのだとか。お店は寺町商店街にあるので、利便性も抜群です■ スマート珈琲店京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町537市営地下鉄東西線京都市役所前駅から徒歩1分075-231-65478:00 ~ 19:00(2F ランチタイム:11:00 ~ 14:30(L.O))喫茶・無休/ランチ・火曜日http://www.smartcoffee.jp/築地四条河原町から東へ一筋入ったところにる築地は、昭和9(1934)年創業。繁華街なのに、驚くほど静かなロケーションです。玄関のカラフルなタイルやウェスタンの扉に、当時の時代背景が見えるよう。重厚感ある造りで、豪華な調度品があちこちに。名物のウィンナー珈琲やアイリッシュコーヒー(春・夏・秋提供)を飲みながら、優雅なひとときが過ごせます。■ 築地京都市中京区米屋町 河原町四条上東入四条河原町交差点より徒歩約2分 075-221-105311:00~18:00 休 木曜日六曜社珈琲店三条河原町交差点すぐの喫茶店で、1階は「六曜社珈琲店」、地下店は「COFFEE&BAR」として営業。昭和25(1950)年に地下から開店しましたが、のちに1階へ移転し地下はバーに。1985年頃から地下店も、自家焙煎コーヒーの店として昼営業を始めました。1階はネルドリップ、地下ではペーパードリップで抽出されるコーヒーがおいしいと評判です。■ 六曜社珈琲店京都市中京区河原町三条下ル大黒町40 三条河原町交差点より徒歩約2分075-241-30268:30〜22:30(L.O. 22:00)休 水曜日 http://rokuyosha-coffee.com/インパルス昭和41(1966)年に太秦で創業後、河原町に移転。ジャズの名門レーベル「インパルス」が店名の由来で、ジャズ喫茶としてスタートしました。サイフォンで淹れるコーヒーはあっさりと美味。フードメニューも充実していて、お腹も満たせます。奥行きのあるつくりで坪庭もあり、京都らしい"うなぎの寝床"のようなお店です。■ インパルス京都市中京区河原町通蛸薬師上ル奈良屋町292 四条河原町交差点より徒歩約3分075-255-36299:00~22:00不定休
デブ子デラックス
京都在住ライター
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BLOG京ノ旅手帖
2019.07.08
外国人にも人気の嵐山で「日本文化にふれる」日帰り旅
古都の地元ライターが京都旅をもっと楽しくする情報をお伝えする『京ノ旅手帖』。今回は日本人だけでなく外国人の方にもおススメしたい「日本文化にふれる」旅をご紹介しましょう。お寺や神社だけが京都の魅力ではありません。いにしえの時代に生きた人々の文化を知り、当時に想いを巡らすのもこれまた楽し。そんなもうひとつの京都行脚に、日本が大好きで、ついには日本に住んでしまったという外国人の友人をご案内。国内有数の景勝地として知られ、世界中から多くの人が訪れる嵐山で、様々な日本文化の体験を通し、日本人独特の「美意識」や「精神文化」を学びます。平安時代に貴族の別荘地として栄えた風光明媚な地京都の中でも高い人気を誇る嵐山。桜や紅葉の名所としての歴史は古く、今から700年以上前、後嵯峨上皇が奈良の吉野山から桜を移植したのがはじまりと言われています。平安時代には、貴族の別荘地として栄えて多くの和歌が残り、あの百人一首が編纂された地としても有名です。神社やお寺などの歴史的建築物が点在し、自然の美しさと日本文化が融合する嵐山は、外国人観光客にも人気。そんな世界的観光都市の魅力的なスポットを巡り、和食や和菓子も楽しみましょう。嵐山を象徴する渡月橋をゆったりと散策カタンコトンと路面電車で旅気分を満喫しながら嵐山へ京都の西エリアにある嵐山に行くなら、京都の市街地と嵐山を結ぶ路面電車がおすすめ。地元の人たちに「嵐電(らんでん)」と呼ばれる電車は、三条通りの街中を通り、映画村で有名な太秦(うずまさ)や国宝第一号の弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつ はんかしゆいぞう)で名高い広隆寺、住宅街や自然の中をゆったりと走っていきます。電車に揺られて、車窓からの景色を見ていると旅気分がぐんと高まり、おしゃべりも弾みます。車窓からの景色と会話を楽しみながら嵐山へ京都の風情が感じられる嵐電嵐山駅京都の人たちの生活路線として利用される「嵐電」嵐電嵐山駅に到着。改札口のない広々とした構内には、京友禅の生地をまとった柱が、まるで竹林の小径のように建ち並んでいました。この「キモノ・フォレスト」は、夜になると優しい光を放ち、幻想的な世界へと誘うそう。京都らしい素敵な空間に迎えられ、期待に胸が膨らみます。人間の普遍的な感情を表した百人一首。恋愛の歌に心ときめく嵐電嵐山駅を中心に南北に延びる通りが、嵐山のメインストリートです。南に向かい、渡月橋の手前から大堰川(おおいがわ)に沿った遊歩道を上流に歩いていくと、この日、最初に行く目的地が見えてきました。嵯峨嵐山文華館は、嵯峨嵐山や京都にゆかりのある芸術や文化に出会えるミュージアム。この地で誕生した百人一首の貴重な資料が充実しています。嵯峨嵐山文華館 / 一面ガラス張りの窓から大堰川の景色を一望百人一首は、100人の歌人の歌を1人1首ずつ選んだ歌集のこと。今から800年前、平安時代末期から鎌倉時代前期に活躍した歌人の藤原定家が、嵐山・小倉山の山荘で選定されたと伝わります。最初に足を運んだのは、100首の和歌と100人のフィギュアが展示されているコーナー。天皇や貴族、僧侶など、いろんな人が登場します。100人の歌人と歌をすべて展示したコーナーは、幻想的な雰囲気が漂う「より深く知ると親近感が湧きますね」歌の解説には英訳も添えている嵯峨嵐山文華館の広報である中島真帆さんは「男性が女性の気持ちになって詠んだ歌がいくつかあります」と素性法師(そせいほうし)という僧侶の歌を解説してくれました。 「今こむと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな」 「今すぐ行くよ」とあなたがおっしゃるので、秋の夜長を今か今かと待つうちに、9月の明け方の月が出るまで待つことになりました......という意味なのだそう。洗練された歌の美しさはもちろん、今でも変わることない人間の普遍的な感情に共感します。江戸時代につくられた手書きのかるたも展示百人一首が身近に感じられる2階には、なんと120畳もの大広間がありました。この畳ギャラリーでは、日本画を中心とした企画展を開催。日本美術に精通していなくても、わかりやすく、親しみやすい解説を添えられ、またすべて英訳つきなので外人にも安心です。2018年11月には競技かるたの日本一を決める『第65期名人位・第63期クイーン位挑戦者決定戦』も開かれ、名人・クイーンへの挑戦権をかけて戦う姿は緊張感に満ちており、選手が繰り出す見事な技や戦略に150名の観客も息をのんで見守っていたそうです。120畳の大広間では、競技かるたの大会や講座が行われ、白熱した戦いが繰り広げられたことも畳の落ち着いた空間の中で日本画鑑賞ができる「最後に記念撮影をして、楽しい思い出に残そう! 」■ 嵯峨嵐山文華館京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11075-882-111110:00 ~17:00(入館は16:30まで)火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間一般・大学生:900円、高校生:500円、小中学生:300円「渡月橋」の由来は、何ともロマンチック!大堰川(おおいがわ)の穏やかな流れとともに下流へと足を進め、嵐山を代表する渡月橋で記念撮影。ザーッと勢いよく流れる水の音を聴いていると清々しい気分になります。ところでみなさんは渡月橋の由来を知っていますか? 鎌倉時代、仲秋の名月の晩に舟遊びをされた亀山天皇が、月が橋を渡るような様を見て「くまなき月の渡るに似る」と詠まれて以来、この名で呼ばれるようになったそう。歴史ロマンに想いを馳せながら、風光明媚な景色を眺めていると名句が浮かんできそうです。平安時代から桜や紅葉の名所として親しまれてきた渡月橋外国人にも優しい!嵐電嵐山駅で見つけた一歩先を行く観光ガイド嵐山のメインストリートには、和菓子や和雑貨、京土産などのお店が軒を連ねています。さて次はどこへ行こうかと、ゆったりと散策しながら、再び嵐電嵐山駅へ。食べ歩きグルメの甘い香りに誘われて構内に入っていくと、なにやら人の背丈ほどもある大きなスマートフォンのようなものが!駅員さんに尋ねると、これは嵐山の観光スポットやイベント、乗車案内などの情報収集のほか、コンシェルジュ(案内人)とテレビ電話のように会話ができるサイネージとのこと。さすが人気観光地・嵐山!こんな時代の先をゆく設備もあるんですね。サイネージからは、さまざまな情報提供が受けられる「外国の方にもおススメの、日本文化に触れられる場所はありますか」と質問すると有名な神社やお寺をはじめ、数々の人気スポットを紹介してもらいました。英語や中国語にも対応してくれるので外国人観光客も安心です。今回は、その紹介していただいた中から、6000坪の庭園が見事な大河内山荘、そして松尾芭蕉も訪れた落柿舎(らくししゃ)に興味を持ち、早速、足を運んでみることにしました。日本語と英語、中国語にも対応。外国人観光客の多い嵐山ならではのおもてなし時代劇の映画スターが生涯をかけて造った庭園で、絶景と出逢う大河内山荘庭園は、昭和初期の名優・大河内傳次郎が、百人一首で有名な小倉山の南面に別荘として造った6000坪もの回遊式庭園です。すぐ近くにある竹林の小径は、多くの観光客で賑わっていましたが、山荘に足を踏み込んだ瞬間、これまでの喧噪が嘘のよう、静かにゆったりと時が流れています。なだらなか坂道を上がっていくと、見えてきたのは中門。弓形に曲げた垂木(たるき)の上に檜皮葺(ひわだぶき)屋根を載せた小さな門には味わいがあり、京都の風情が感じられます。その先に敷かれた飛び石を一つひとつ歩んでいきました。趣のある檜皮葺屋根の中門をくぐって庭園へ透き通るように青々としたもみじが美しい随所に配された灯籠や石塔が、風情を醸し出す順路に沿って進んでいく道のりは、木々に囲まれたくねくねと曲がる狭い道が続き、まるで迷路のよう。山荘というだけあって起伏があり、思った以上に体力が必要です。 突然、視界が開けた先に、傳次郎が晩年を過ごした大乗閣が姿を現しました。外から眺めても書院造りや数寄屋造り、寝殿造りと様々な建築様式を取り入れた複雑で独特な意匠がとても印象的です。建物の前には青々とした芝の広場があり、その周りを囲むようにもみじや松、楓などの木々が植えられ、日本の四季を美しく演出。周辺の山々と融合した景色とそよぐ風を包まれた開放的で心地いい空間です。屋根や意匠に工夫を凝らした大乗閣は庭園の中心的な建物青空とそよぐ風、緑溢れる庭園に心が癒される嵐山の雄大な自然と融合した風景はため息がでるほど素敵傳次郎が最初に造った持仏堂(じぶつどう)や茶室の滴水庵(てきすいあん)を越えて、山頂近くに建つ月香亭(げっかてい)にたどり着きました。庭園内で最も標高の高いところからは、京都市街を一望でき、遠くに比叡山を望む景色は素晴らしく、思いがけないご褒美をもらった気分。このように美しい自然風景や庭園、趣のある建築物に出会えることが、大河内山荘の最大の魅力です。まるで額縁に入れられた日本画のような風景山頂付近からは、遠くに比叡山を望むダイナミックな景色が広がる山を下ると大河内傳次郎記念館があり、「丹下左膳」として一世を風靡した当時の活躍を見ることができます。長期保存が難しかったフィルムのように消えてしまうものではなく、永遠に残る美を求め、34歳のときに庭園づくりに着手。64歳で逝去するまで映画出演料の大半をつぎ込み、丹精を込めてこつこつと築き上げてきた山荘。生涯をかけて情熱を傾けた傳次郎の想いを感じながら、最後はお茶室でゆっくりと抹茶とお菓子をいただきました。■ 大河内山荘庭園京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町8-3075-872-22339:00〜17:00無休1000円(お抹茶と和菓子付き)芭蕉も訪れた茅葺屋根の小さな草庵で、俳句の世界を楽しむ自然溢れる田園風景にひっそりと佇む落柿舎大河内山荘から5分ほど歩くと、畑が広がるのどかな田舎の風景の中に、茅葺屋根の風情溢れる佇まいを見つけました。落柿舎は、松尾芭蕉の門下生である江戸時代の俳人・向井去来(むかいきょらい)が1687年以前に構え、晩年を過ごした草庵。芭蕉が3度も訪れて長期滞在し、『嵯峨日記』を著した場所としても知られています。どこか懐かしい日本の原風景を感じさせる「本庵」外から見えた茅葺屋根の「本庵」は、去来が亡くなった後、1770年に再建されたもの。こぢんまりとした素朴な佇まいからは、日本独自の「侘び寂び」の世界観を感じることができます。その近くには、落柿舎の名の由来となった樹齢300年の柿の木がそびえていました。 当時、去来が40本あった柿の木の実をすべて商人に売りましたが、その晩に突風に襲われ、ほとんどの柿は地に落ちてしまったそう。その様を見て草庵を「落柿舎」と名付け、 「柿ぬしや 木ずゑはちかき あらし山」 (柿よ、嵐が吹くという名の嵐山が柿の梢に近いので、柿の実が落ちてしまったのも、仕方ないことだ)という句を詠んだそうです。和室から望む庭園にも風情が感じられる蛍の光のような点が浮き上がった蛍壁去来が詠んだ句をはじめ、御朱印は4種類「本庵」には入ることができませんが、50年前にはそのとなりに「次庵」が造られ、俳句好きが集う句会などを開催。その目の前に広がる庭園には、四季折々の100種の草木が植えられ、今もその数を増やしているそうです。落柿舎の執事である櫻井博さんは「今はピンク色の花を咲かせる京鹿子がきれいでしょ。俳句をつくるうえで、庭造りはとても重要なんです」と語ります。「縁側では、誰もが思い思いに俳句を書くことができます」カタンと音を響かせる鹿威し(ししおどし)をはじめ、随所に風情が感じられる落柿舎では投句箱を設置し、投函された俳句は選句して入選作品を季刊誌に掲載しています。「訪れた記念に一句捻ってみてください」と櫻井さん。本庵の縁側に腰掛けると、300年前に去来たちが見た風景が、みなさんにも見えるかも知れません。「本庵の縁側で一句詠んでみました!」今回の旅は、いにしえの百人一首にはじまり、名優が生涯をかけて造った日本庭園、そして俳人が愛した草庵での俳句づくりと、「ことば」や「視覚」を通して、日本文化に触れるものでした。嵐山で出会った、この日本人独特の「美意識」や「精神文化」......。神社仏閣や仏像・絵画だけではない、これら京都の魅力、日本の魅力を、世界中の多くの人たちに伝えられることができれば、これほど素晴らしいことはありません。みなさまも一度、そんな嵐山の魅力を探しに、渡月橋を渡ってはいかがでしょうか。きっと新しい京都の顔を見つけられるに違いありません。■ 落柿舎(らくししゃ)京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町20075-881-19539:00~17:00(閉庵) ※1・2月は10:00~16:00(閉庵)休 12月31日~1月1日 250円「嵐山で日本文化にふれる」おすすめ和食&和菓子世界遺産の名庭にて、感謝の心で精進料理をいただく天龍寺は臨済宗天龍寺派の大本山。足利将軍家と後醍醐天皇ゆかりの禅寺で、世界遺産にも登録されています。名庭として名高く、庭の中央にある曹源池(そうげんち)を巡る池泉回遊式庭園は、嵐山を借景として取り入れた雄大な風景が魅力です。後方に嵐山を望む曹源池庭園。庭園全体は約3万坪の広さこの美しい風景の中で精進料理を提供するのが、天龍寺 篩月(しげつ)です。精進料理は、鎌倉時代に中国から伝えられた料理。動物性の素材を一切使用せず、野菜・山菜・野草・海草類など四季折々の新鮮な素材を使い、季節感を大切にして調理します。もともとは修行僧のための食事ですが、篩月では賓客を接待するための一汁一飯五菜の精進料理をお出ししているそうです。まずは感謝の気持ちを込めて「いただきます」と手を合わせました。「篩月」は天龍寺直営の本格精進料理店一般の方にも精進料理を理解してもらうため、伝統的な朱膳に配して提供胡麻の風味豊かな自家製の胡麻豆腐、あつあつの茄子の田楽など、味わいにバリエーションがあり、質や量にも大満足。特に印象的だったのは、青大豆のすり流しです。「貴重な青大豆をすり潰して出汁と味噌で合わせ、冷製スープに仕立てたもの。甘みやコクがあり、これから暑くなる夏の定番メニューです」と語るのは、篩月の責任者・小谷卓男さん。5つの調理法と味付け、色彩を大切にする「五法・五味・五色」に基づいた精進料理は、美的で繊細な感覚、お客様へのおもてなしの心、そして食材の一つひとつを無駄にせず、真心を込めて調理する料理人の想いが融合した究極の和食なのかもしれません。「青大豆のすり流しは、とろりとした食感と甘みがおいしい」「深く感謝しながら、大地の命をいただきます」天龍寺の自然豊かな庭園を眺め、落ち着いた上質な空間の中で食べ物と向き合う。大地の生命をいただくことに深く感謝し、一つひとつの料理をしっかりと味わいながら心身ともに整え、大きなパワーをいただきました。■ 天龍寺直営 精進料理店 篩月(しげつ)京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68075-882-972511:00~14:00月曜休(祝日の場合は翌日休)無休※庭園参拝料500円が別途必要非日常空間、「老松」で、つくりたての本わらび餅を堪能老松は創業100余年の老舗和菓子店。観光地である嵐山で、本格的な和菓子を食べてほしいとの想いで、1976年に茶房を併設した支店・嵐山店をオープンしたそうです。数々のメニューの中でも人気は、嵐山店限定の本わらび餅。貴重な国産の本わらび粉を使い、注文をいただいてからつくります。嵐山のメインストリートに佇む老松嵐山店本わらび餅の入った黒塗りの二段重は、宮中へお菓子を献上する際に利用した行器(ほかい)を象ったもの。蓋を開けると、きな粉の豊かな香りが漂い、下の段には大きな氷と水の中に浮かぶ本わらび餅がとても涼しそうです。「何で黒い色をしているの?と質問されますが、この色が本わらび粉を使っている証拠です」と老松嵐山店の岩井恵子さんは教えてくれました。注文が入ってから練り上げてつくる本わらび餅まずはひと粒、箸で持ち上げて、そのまま何もつけずにいただきます。表面はつるり、中はもちっとしていてほんのり温かい。弾力があるので思った以上に食べごたえがあり、のど越しを通る食感が何とも言えません。これまで食べてきたわらび餅はとはまったく違う、本わらび餅のおいしさは感動そのもの。香り高いきな粉やコクのある黒蜜と合わせると、口の中に優しい甘さが広がり、自然と笑顔がほころびます。柔らかいのに伸びがよくて切れない、独特の食感がおいしい茶房の大きな窓から日本庭園を望み、日常生活を離れてゆったりと過ごせる贅沢な空間。そこで和菓子の歴史や素材、調理方法、器の意味といった背景を知ることで、より理解が深まり、おいしさも増してきます。京和菓子のお土産に添えて、多くの人に語り伝えたいと思いました。■ 老松 嵐山店京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20075-881-9033販売9:00~17:00 茶房9:30~17:00(L.O16:30)不定休
藤田美佐子
ライター
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BLOG京ノ旅手帖
2019.06.25
今年の夏は癒しの里山、京北へ!大人の女子旅レポート 〜2日目〜
朝食をいただくふかふかの布団で眠り、気持ちよく目覚める2日目の朝。台所では、すでに朝食の準備が始まっていました。野菜がたっぷり入った味噌汁に、焼き鮭と人参サラダに...昨日販売機で買ったあの生みたて卵!ほろろん自家製米のほかほか炊き立てご飯の上につるんっとのせて食べると、意外にもあっさりクセがなく、何杯でも食べられる美味しさです。京北の豊かな恵みと、まごころたっぷりの朝食は温かく優しくて...贅沢って、きっとこういうことだよね、と一同、朝から大感激。民宿のまわりをお散歩チェックアウトまで宿の周りを少し散策することに。朝の光に山々の緑がまぶしく、水を張った田んぼがきらめきます。マイナスイオン?半端なし。徒歩10分くらいのところにある、常照皇寺までは、木漏れ日が爽やかな、ちょうどよい散歩コースです。そして別れの時...散策から戻ると、いよいよほろろんともお別れ。たった1泊しかしていないというのに、なんだろう、この寂しさは・・・。ゲストが来たら最後に必ず撮るという記念写真を撮ったら、ますますしんみり。また来てね~と笑顔で送り出してくれる河原林さん親子に、後ろ髪をひかれながら、宿(もはや脳内では幻の田舎の親戚ん家?)を後にします。また、帰ってきていいよね...。■ 農家民宿 ほろろん京都市右京区京北大野町廣畑45075-853-0113https://ja-jp.facebook.com/hololon.garden/客室:1日1組限定1~5名、2部屋(6畳と8畳)チェックインは15時以降、チェックアウトは11時宿泊料金:1名(夕・朝食代込み) 10,200円(税込)季節体験:鶏捌き&囲炉裏BBQ・田植え&ランチ・山菜採り&天ぷら料理・納豆餅作り・しめ縄作り他体験料金:1名+2,000円(1泊につき体験は1種類、体験のみは不可)「葵工芸」で椅子作りさて、ほろろんを後に車で15分ほど移動し、オーダーメイドの北山杉家具や木工品を作っている工房、葵工芸さんにやってきました。今回私たちが挑戦するのは荒縄を編んでつくる民芸椅子作り。北山杉で出来た土台に、規則性のある編み方でぐるぐると縄を巻いていきます。最初はなかなかコツがつかめず難しいのですが、同じ動作の繰り返しなので、覚えてしまえば簡単!最後に焼き印をつけてもらい、1時間30分ほどで完成しました。思ったよりもうまく出来て、大満足です。完成したものは家まで送ってくれるので(送料別)、荷物が多い方もご安心を。■ 葵工芸京都市右京区京北下熊田町6-10京北ふるさとバス「熊田口」より徒歩3分075-852-1200http://aoi-kougei.xii.jp/about.html体験名:椅子作り体験人 数:2名~価 格:4,000円※予約は10日前までに電話にて受付近くのギャラリーでちょっと休憩葵工房さんから車で5分の「カルチャーカフェ・ギャラリー YU」さんで休憩。ステンドグラス作家のご夫婦が営むこちら、ショップスペースも併設しています。縁側のあるギャラリーでは、地元作家の作品が主に展示されていて、購入も可能。ショップスペースに並ぶガラス製品にもときめきます。希望すればワークショップも出来ますよ。■ カルチャーカフェ・ギャラリー YU京都市右京区京北下熊田町妙見谷1-1京北ふるさとバス「熊田口」より徒歩5分075-852-0309体験名:椅子作り体験11~17時https://ccafegyu.wixsite.com/yuyuボリューム満点の本格蕎麦ランチに舌鼓気が付くともうお昼時...なんだかもうお腹が空いてきました。こだわり素材のランチがいただけると話題の「蕎麦美庵 物味遊山」さんへ。前菜3種にサラダ、選べる主菜、そばがついて1,500円(税込)のAセットをいただきました。ゆっくりと出してくれるので、1品1品味わいながら食べることが出来ます。味のおいしさはさることながら、そのボリュームに驚き。最後はそば湯でほっこり...。充実のランチタイムでした。また来たい!■ 蕎麦美庵 物味遊山京都市右京区京北周山町東丁田13-3JRバス周山バスターミナルより徒歩3分075-852-168011~15時、17時30分~20時30分ごろ(食材なくなり次第終了)http://monomiyuzan.okoshi-yasu.com/index.htmlおしゃれで個性的なカフェでリラックス大満足のランチの後はちょっとおいしいコーヒーが飲みたいな...、ということで、古民家をご主人自らの手で改装したというおしゃれで個性的な、いま京北でちょっと噂のカフェ「松橋雑貨店」さんを訪ねました。石窯で焼くピザと、フェアトレードのオーガニックコーヒーが自慢のこちら、まるで映画セットのようなレトロでクセの強いインテリアがずらり。その多くがご主人のお手製だというから驚きです。とにかくどこを見ても気になる雑貨(発明品?)でいっぱい、ゆるりと素敵な音楽が流れ、風が爽やかに通る店内には、お客さんだけでなく、ツバメも気軽に入ってきます。ご主人の淹れる薫り高いコーヒーを味わいながら、絵本の世界のような、ちょっと浮世離れしたこの空間にまたもや一瞬、現実を忘れそうになります。■ 松橋雑貨店京都市右京区京北塔町宮ノ上23-1 京北ふるさとバス「第二小学校前」より徒歩2分090-9880-3690金・土曜の10~15時https://ja-jp.facebook.com/matsuhashizakka/ウッディー京北でおみやげタイム京北旅もいよいよ大詰め。ウッディー京北に戻って、おみやげタイムです。納豆餅がかなり気に入った私、納豆餅味のあられを購入しました。これで、家に帰っても京北旅を思い出せる...!もう京北ロスになりかけ?■ 道の駅 ウッディー京北京都市右京区京北周山町上寺田JRバス停京北合同庁舎前から徒歩2分075-852-17009~18時https://fuw.jp/woody/想像以上だった京北町...。きっとまた帰って来ようね。ひょんなきっかけで、ふらっとやってきた京北里山旅。予想以上に内容の濃い、充実した体験の数々に、しばし呆然としながら京都駅行きのバスを待ちます。全身がまるっと抱かれるような圧倒的な自然、そして京北で出会った温かい人々の笑顔が浮かびます。この2日間、気が付けば会社のことも仕事のことも忘れて、完全にトリップしてたかも。こんな近くにこんな場所があるなんて...。 里山暮らしを体験したい方、いつもと違う京都を知りたい方、デトックスな時間を求めている方! いちど京北へぜひ、足を運んでみてください。そこには、かつての日本人にとっては日常だった、非日常...自然と共に暮らし、自然に頂き、自然に感謝する、丁寧な暮らしがあります。そして何より、あそこにいると都会に疲れた自分の五感が、少しだけとり戻せる気がするのでした。私たちはすっかりリフレッシュして、元気に京北を後にしました。■今年の夏は癒しの里山、京北へ!大人の女子旅レポート 〜1日目〜 はこちら※料金は取材当時のもの
西垣 愛佳
ライター
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BLOGつぶ乃ブログ
2019.06.25
京都の街は上がったり下がったり入ったりしますんえ!
■ つぶ乃洛中の外れに生まれ育ち、京都を担う二次元タレントを目指して活動を開始。ホンネが見え隠れする毒っけの強い物言いで、京都の真実に斬り込んでいく予定。つぶ乃どす〜。梅雨どすなぁ〜。雨が降ったら、出かけるのも億劫になるもんどすけど、京都の街は雨もええ感じなんどすえ。人もちょっと少ななるし、街並みがしっとり落ち着くんどす。雨の京都散策、おすすめどすえ。 その京都の街、歩くだけやなしに、車でうろうろするときもありまっしゃろ。行きたいトコの住所調べてみて、カーナビに入れてもなんやちゃんと出えへん......。それは京都ならではのルールがあるからなんどすえ。街のあちこちで見かける住所表示の看板に注目!普通、住所言うたら「◯◯市◯◯町◯◯」みたいな感じや思うんどすけど、京都は違いますんえ。知ってはる人もいてはる思うけど「◯◯市◯◯区◯◯下ル◯◯西入◯◯」みたいな感じなんどす。初めて見るいう人もいてはるやろか? 「下ル」は「くだる」とちゃいまっせ。「さがる」って読むんどす。ほんで「上ル」もありましてな。こっちは「あがる」どす。「それやったら、"上がる""下がる"って書くから、送り仮名が"がる"になるのでは?」と思た人、国語の成績5やったんちゃいますか? でも京都の住所では「上ル」は「あがる」で合うてるんどす。かなり古い看板もまだまだ現役で見ることができますんえ。これなんか「区」の字も古いし、最初の大きい字なんか、うちもなんて読むんかわからしまへんわ......。誰か教えておくれやす。京都人は、町名より通りの名前で場所を把握ほんで、カーナビに住所入れるとき、なんや長いし、せっかくがんばって入れたのに、ちゃんと表示してくれへんかったっていう人もおりますやろ。京都の住所はまず市、ほんで区、そのあとに通りが入るんどす。京都の街中の通りは碁盤の目になってるさかい、みんな通りの名前に馴染みがあるんどすな。町名で聞くより、通りの名前で言われるほうが大体の場所を把握できるんどすわ。この通りの名前、歌にもなってますんえ。「♪まるたけえびすにおしおいけ、あねさんろっかくたこにしき、しあやぶったかまつまんごじょう」て、呪文ちゃいますえ。丸太町通から五条通までの通りの名前が歌になってるんどす。周りに京都の人おったら聞いてみておくれやす。きっとうとてくれますえ。この看板はプラッチックでできた新しいパターンどすな。昔からあるのんは、サビたりしてるのも多いんどすえ。カーナビに入れるときは通りを飛ばしてOKそんなふうに町名で言われるより通り名のほうが、場所をわかってもらいやすいさかい、京都の人は昔から住所に通りの名前を入れてたんどす。そんで最初に話した「上ル」は北へ、「下ル」南へという意味がありますんえ。地図で上いうたら北やから、「上ル」になるんどす。そんで「西入」「東入」は「ニシイル」「ヒガシイル」って読んで、通りを西か東へ入るってことなんどす。せやから、住所に書いてある通りを北か南かへ行って、西か東へ進んだら、そこが目的地になるんどすな。でも、カーナビに入れるんやったら、通りの名前は省略する方がスムーズみたいどす。区の後からルまでは省いて、「◯◯区◯◯町」で番地を入れたら、ちゃんと表示されると思いますえ。この2つ並んだ看板、どっちも同じ住所書いてるみたいどすけど、どっちも古くて読めまへん。でも味がありますやろ?京都の人しか知らんこと その3京都の人は通りの名前に愛着があるんどす。ただカーナビに入れるときには、通りの名前は飛ばしておくれやす。区からルまで省いて、この看板の場所なら、京都市東山区田中町どすえ。
つぶ乃
自称・花街に生きる京女キャラクター
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BLOG京ノ旅手帖
2019.06.18
今年の夏は癒しの里山、京北へ!大人の女子旅レポート 〜1日目〜
お疲れ女子、オーガニックな里山暮らしに憧れる...!?バタバタと忙しい毎日にちょっとお疲れ気味な週末。こんなときは、人ごみや情報から少し離れて、豊かな自然の中でのんびりリフレッシュしたいですよね...。職場でなんとなく話題になったのがきっかけで見つけたのが、京都駅から1時間20分ほどで行ける京北。京都市の北西部に位置する、自然豊かなこのエリアには、都会からの移住者も多く、気軽に田舎暮らしの体験が出来る農家民宿や、おしゃれなカフェやグルメスポットがあったりして、オーガニックな暮らしや自然に興味のある若者や外国人からも注目されているんだそうです。しかもこの時期、蛍が見られるかも?!という情報に、がぜん興味がわく私たち。都会の喧騒から離れて、里山体験でデトックスしよう!と盛り上がり、早速行ってみることにしました。バスに揺られて里山へ 京都駅からバスに乗ること1時間20分、おしゃべりしている間に、わりとあっけなく京北に到着しました。バスを降りると、都会から離れたのどかな雰囲気にほっとします。まずは地元メシで腹ごしらえと、バス停からすぐの「道の駅 ウッディー京北」に立ち寄ることに。民宿からのお迎えを待つ地元の食材を使った手作りのランチを食べた後は、周辺地域でとれた野菜や乳製品、北山杉などの地元の素材を使った雑貨が並ぶ店内を見ながら、今回宿泊予定の「農家民宿 ほろろん」のお迎えを待ちます。夕食の食料を調達迎えに来てくれたほろろんのスタッフ・河原林より子さんと一緒に、おすすめの旬のお野菜など、今夜のBBQで使う食材を調達し、宿に向かいます。京北の地酒も何種類かあったので、今夜の食事のお供に...とちゃっかり購入。卵の自動販売機を発見!より子さんの車に乗って宿に向かう途中、出会ったのは、なんと卵の自動販売機!近くの卵農家さんが、毎朝生まれる新鮮な卵を毎日10時と13時にセットしているのだそう。明日の朝は、この卵を使った卵かけごはんが食べたい!と迷わず1袋(10個300円)ゲット。楽しみです!「農家民宿 ほろろん」に到着その後10分ほどで ほろろんに到着。青々とした山並みに、どこまでも澄みきった青空...。昔話にでてくるような、日本の原風景がたちまち拡がります。車を降りたとたん、ふわっと夏草の匂いが立ちのぼり、あちこちから鳥や虫の声が...一瞬にしてトリップする、何か懐かしいような、この感覚! 思わず、深呼吸。五感が目覚めていくのがわかります。築200年以上の武家屋敷をリノベーションした茅葺屋根の民宿ほろろんは、立派な門や囲炉裏があり、風格たっぷり。ひよこたちがいる鶏小屋もあります。(10月頃には、このひよこたちが大きくなり、卵を産み、それを朝食にいただけるそう。)より子さんと、そのお父さん・河原林成吏さんは、まるで親戚がふるさとに帰ってきたかのように、温かくゲストを迎えてくれます。お部屋も、お布団も、お風呂も、素朴ながらすべてが居心地よく整えられています。ここで一緒に作業し、料理し、ご飯を食べ、語らう...。とても初対面とは思えない身内のような距離感。これこそ絶対ホテルでは味わえない、農家民宿ならではの魅力です。どっぷり楽しんじゃいましょう。季節の体験で、自然や文化を体験ほろろんさんでは、単に宿泊するだけではなく、季節ごとに田植えや山菜採りなどの体験もできます(宿泊料金+2,000円 2名~)。私たちがこの旅で体験するのは、京北名物、納豆餅作りと、鶏さばき&囲炉裏BBQ。まずは民宿近くの茅の家で、納豆餅作りから体験です。伝統食・納豆餅をつくる納豆発祥の町!?とも言われている京北。そんな京北では、お正月の三が日、お雑煮ではなく"納豆餅"を食べるんだそうです。その名の通り、納豆を餅で包み、焼いて食べる納豆餅。体験は、もち米を蒸し、唐うすと呼ばれる足で踏むタイプのうすで餅をつくところから始まります。ついた餅にきなこをまぶし、手のひらほどの大きさに伸ばしていきます。包んで焼いて、いただきます塩を混ぜた納豆を餅に包み、餃子のような形に折りたたむと「あみがさ」タイプの納豆餅の完成です。焼いて食べるのが一般的ですが、餅がつきたてで柔らかいので、そのまま食べてもおいしい!お好みで黒糖をつけても美味です。大きく生地を広げてぐるぐる巻いていく「渦巻き」タイプも一緒につくりました。粒が大きく、粘りの強い納豆につきたての柔らかい餅が好相性。この素朴な味、ちょっとハマりそう!ミントを摘んで、ミントティーに納豆餅を作った小屋の近くを歩いていると、ふわっと爽やかな香りが...。そこらじゅうにミントが自生しています。あとでミントティーにしましょう!と、より子さん。みんなでわいわい摘んで帰ります。なんて素敵なひととき!ああ癒される...。みんなで一緒に、夕飯の準備、そして...いただきます。さて、ほろろんの夕食は、ゲストも参加してみんなで作るのが基本。畑での野菜の収穫はもちろん、今回は鶏さばき&囲炉裏BBQをお願いしていたので、(希望すれば)生きている鶏をさばくところから体験できます。普段スーパーで買う鶏肉が、どのようにして食卓に上がるのか、卵→ひよこ→鶏→(さばく)→鶏肉...。ここにたった半日いるだけで、そのリアルを目の当たりにし、命を食べる、ということの重みや、それを育ててさばく手間やコストについて、深く感じ、考えさせられます。当たり前のことなのについ忘れてしまっている、大事なこと。いただきます、の言葉の意味をひしひしと感じる、忘れられない体験となりました。1羽の鶏からとれる鶏肉の量も、鶏は1日に1個しか卵を産まないんだってことも、初めて知りました。BBQ用に、串に刺す一口大に切った野菜とさばいた鶏を、BBQ用に串に刺していきます。新鮮な地鶏は、弾力があって串にさすのが非常に難しい...。けがをしないように、気をつけながら準備を進めます。こうしてみんなで夕食の準備をしていると、なんだか家族みたい...。これ、旅だっけ?囲炉裏を囲んで準備ができたら、河原林さん親子と女子3人で、にぎやかな宴会の始まりです。 パチパチと炭火の弾ける囲炉裏を囲み、収穫した野菜や鶏肉をどんどん焼いていきます。 噛めば噛むほど味が染み出す新鮮な鶏串。野趣あふれるこの弾力と香りは、都会じゃなかなか味わえない滋味...!あらかじめ用意していた京北の地酒も思わずすすみます。蛍の乱舞と、満天の星空※ 蛍写真は京北・下熊田で撮影 ©️SATOYAMA DESIGN夕食後、おすすめの蛍鑑賞スポットに連れて行ってもらうことに。蛍は、例年6月~7月初旬に見られ、20~21時頃が最も活動的になるそうです。川のあちこちに乱舞する蛍に、思わず言葉を失う私たち。見上げると、満天の星たちがキラキラと輝き、心が研ぎ澄まされていくのを感じます。宿に戻って布団に入っても、きらめく星や蛍が飛び回る姿が瞼の裏に浮かび...せつないほど美しく、静かな京北の夜。本当に素敵な時間でした。明日はどんな出合いが待っているのか...朝が来るのが楽しみです。(おとなの里山トリップ ~2日目~ に続く)※料金は取材当時のもの■ 京北へのアクセス京都府京都市右京区京北周山町下寺田お車の場合:名神高速道路京都南又は京都東インター,国道1号線,国道9号線,国道171号線などから,国道162号線(周山街道)に入り,福王寺交差点から高雄を経由して周山まで(福王子交差点から,所要時間約40分(約25㎞))電車、バスの場合:JR京都駅から,西日本JRバスの「高雄・京北線」(周山行き)に乗車し,「京北合同庁舎前」を下車(京都駅から所要時間/80分)■ 農家民宿 ほろろん京都市右京区京北大野町廣畑45075-853-0113https://ja-jp.facebook.com/hololon.garden/客室:1日1組限定1~5名、2部屋(6畳と8畳)チェックインは15時以降、チェックアウトは11時宿泊料金:1名(夕・朝食代込み) 10,200円(税込)季節体験:鶏捌き&囲炉裏BBQ・田植え&ランチ・山菜採り&天ぷら料理・納豆餅作り・しめ縄作り他体験料金:1名+2,000円(1泊につき体験は1種類、体験のみは不可)
西垣 愛佳
ライター
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BLOG京ノ旅手帖
2019.06.11
オトナ浴衣で京都の街を歩く。 涼し気な和装でお出かけする休日
浴衣・和装 が似合う町、京都お寺や神社が点在する古都、京都。近代的な側面を持ちながらも、どこかノスタルジックな雰囲気漂う京都の町並みには、和装がよく似合います。しかし京都に住んでいると、和装で寺社をめぐる!というような機会が意外となく...。今回、友人たちと念願の京都和装旅に繰り出してみることにしました。大人浴衣で京の町を散策したい夏の和装といえば、まずは初心者でもチャレンジしやすい、レンタル浴衣。近年は観光地を中心に、あちこちにレンタルショップが林立していますが、数が多すぎて一体どこを選んだらいいかわからない...大人の京都旅なので安っぽくない柄や色合い、質感の浴衣を選びたいし...。そんな時に、和装通の友人にすすめられたのが、東大路通にある「着物レンタル くるん。」さん。清水寺や八坂庚申堂(金剛寺)、八坂の塔(法観寺)などにもほど近い場所にあり、河原町や祇園にもアクセスしやすいロケーションです。ずらりと並ぶ、おとなカワイイ浴衣たち店内に入ると、浴衣の種類の多さと可愛さに気分が高まります。レトロモダン系、キュート系、大人系...と、デザインの幅が広いのがうれしい!柄のバリエーションは140以上あるのだそう。着物メーカーが営むレンタル着物ショップなので、そのクオリティもお墨付き。帯やかごバッグ、履物など、小物もおしゃれなものが揃います。どのようにレンタルするの?浴衣レンタルは、プランを決め、浴衣を選び、着付けやヘアセットをしてもらう、という流れが基本。くるん。さんの場合は、来店時に4パターンから好きなプランを選びます。HPから事前予約も可能ですが、セレクトできる浴衣やついてくる小物はプランによって変わるので、スタッフさんに相談しながらプランを選ぶと良いですよ。店によっては、予約が必須の場合や、割引が利く場合もあるので、事前リサーチをしておくことをおすすめします。着付け&ヘアセットで変身今回は一番人気だという4,800円のプランをセレクト。素早く着付けてくれ、みるみるうちに着付けが完成しました。オプションのヘアセットをつけても、かかる時間は30分ほど。師範資格を取得しているプロの着付け師さんが多く在籍するこちら、長時間着ていても崩れが全く気になりませんでした。 二寧坂、三寧坂付近をお散歩浴衣でいざ、お散歩へ。八坂の塔をバックに「ザ・京都!」なショットを撮ったら、SNSでもよく見かける八坂庚申堂でお参り。願いを託してくくりつけるカラフルな "くくり猿"がフォトジェニックな、女子に大人気のお寺です。木陰でひと休みなんだかのどが渇いたね~と、友人2人。ちょっと立ち止まって、店先でレモネードをいただきます。レモンの酸っぱさと冷たさが体にしみわたりました。「浴衣なんて暑そう!」と思う方もいるかもしれませんが、日差しが直接肌に当たらず、生地がうすい分、かえって涼やかです。浴衣での散策は、一味も二味も違う楽しさがいつもよりもおしとやかな気分で過ごせた浴衣での散策。くるん。さんの場合、返却は20時までと時間の余裕があるのも嬉しいポイント。少しでも長く浴衣を着て散策を楽しみたい!という方におすすめです。■着物レンタル くるん。京都市東山区毘沙門町39-2市バス停東山安井から徒歩すぐ075-531-55259~20時(着付け受付時間は~17時)無休https://kimono-cucuru.jp/★所要時間:40分★返却時間:9~20時(翌日返却は別途1,080円)★返却方法:店頭今度は、和装で 夏の風物詩 "川床"へおでかけ京都の夏、大人のおたのしみと言えば、貴船や鴨川に出る川床。川のせせらぎを聞きながら、ゆったりお食事をするという、スペシャルな時間を素敵な和装で過ごせたら...。今度は浴衣からさらに少しだけ背伸びをして、川床にぴったりな夏らしい着物が着てみたいな...と思い和装のプロも御用達と評判の「和凛」さんへ、足を運んでみました。品のある、大人な雰囲気の着物が並ぶ和凛さんは、四条烏丸の交差点を南へ下がり、松原通りを入ったところにあるビルの3階にあります。元々創業100年を超える老舗問屋であるこちらの着物は、上質で大人の雰囲気。色味やデザインも落ち着いていて、大人の休日にぴったりマッチします。和装ビギナーも安心の丁寧なヒアリング和装についての知識はほぼゼロの私、どんなものを着ればよいかと不安を胸に来店しましたが、広々としたラグジュアリーな空間で、専門のスタッフが丁寧にヒアリングしてくれるので、リラックスした雰囲気で最適なプランを決めることが出来ます。ぴったりのプランを見つける鴨川の納涼床で食事をしたいんですけど...と、相談してみると「正絹の小紋10,000円のプランがおすすめです」とスタッフさん。小紋は、浴衣よりも少しかっちりとしたイメージなんだそう。いきたい場所やイベントを伝えればプロ目線の的確なアドバイスをもらえるので和装の知識がなくても、安心です。着物・小物を選ぶ「あれも涼しげでいいし、これもかわいい~」。迷ったときは、2着までの試着が可能です。夏用の小紋なので、縦線の入った涼しげな柄や淡い色が揃います。着物を選んだら、帯、帯締め、帯揚げなど、小物も選んでいきましょう。小物の合わせ方でぐっと印象がかわるのも、着物コーディネートのおもしろさ。困ったときには、スタッフさんが着物に合うものをセレクトしてくれます。着付けとヘアセット着付けは肌着や襦袢を着こむ分、浴衣よりも少し時間がかかりますが、楽しくお話をしている間に、鮮やかな手つきで仕上げられていきます。着物は浴衣よりもさらに暑そう...というイメージだったのですが、肌触りの良いサラリとしたうすい素材で、軽いうえにとっても涼しい!ヘアセットはオプションで事前予約必須ですが、せっかくなので大人な夏の装いに合わせて、すっきりと整えてもらいます。所作は小さく、美しく着付けとヘアセットを終えたら、最後はバッグ選び。美しい着物を着ると、しゃんと背筋が伸びます。「着物を着ている時は、少し周りに甘えてみると良いかも」とスタッフさん。遠くのものを無理に取ったり、走ったり、着崩れの原因になるような雑なふるまいは避けたいところ。歩く時も、内またで歩幅は小さくすると美しく見えるのだそうです。■和凛京都市下京区松原通烏丸東入俊成町444市バス停烏丸松原から徒歩すぐ075-343-15159~18時休 月・木曜https://walin.jp/index.html★所要時間:60~90分★返却時間:9~18時(翌日返却無料)★返却方法:店頭返却、または京都市内に限りホテル返却(別途2000円)涼しげな着物で、いざ、川床へ美しい所作を学んだら、早速川床へ出発。昔ながらの料亭や、おしゃれなバーが軒を連ねる先斗町へ向かいます。風情ある通りを進み、ビルの中にある「先斗町 百錬」にお邪魔しました。カジュアルに川床が楽しめる人気のお店で、料理やお酒もリーズナブルにいただけます。鴨川を見ながら、料理をいただく席がテーブルといすというのも、着物にはうれしいポイントです。川の音がさらさらと聞こえる中、いただく料理やお酒は格別のおいしさ!鴨川の川床ランチ営業はどのお店も統一して5月と9月のみ、夏の暑い時期は夜のみの営業となるので、注意が必要です。 ■百錬京都市中京区先斗町通三条下ル橋下町133-1 エメラルド会館 1F奥京阪三条駅から徒歩5分075-255-475517~23時(5月・9月のみ12~15時、17~23時)http://pontocho-hyakuren.com/about/index.html路地を歩いてみる食事を終えたら、先斗町周辺をお散歩。ちょうちんの下がる、レトロでディープな雰囲気の通りを着物で歩くと、はんなりした京女になった気分です。祇園と並んで著名な花街の一つである先斗町。歴史ある細い通りを、凛とした気持ちで歩きます。和装のトリコになりそうやはり和装で楽しむ京都の夏は格別!普段の私とはちょっぴり違う、凛とした大人な私に変身できたような気がしました。しかも、思ったより涼しくて着心地が良くて、「和装は苦しそうだし暑そう...」というイメージは完全に払拭されました。これなら、暑い季節でも全然大丈夫!今度の休日、ぜひ和装でお出かけしてみてはいかがでしょう?
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BLOGつぶ乃ブログ
2019.05.27
車折神社さんには芸能人がウヨウヨしてるて、ホンマでっしゃろか?
■ つぶ乃洛中の外れに生まれ育ち、京都を担う二次元タレントを目指して活動を開始。ホンネが見え隠れする毒っけの強い物言いで、京都の真実に斬り込んでいく予定。約1ヶ月ぶりどすなぁ。うち、つぶ乃どす〜。気づいたら元号が変わってますやんか。 さて、令和最初の今回は、嵯峨野にある車折神社(くるまざきじんじゃ)さんをご紹介させとおくれやす。パワースポットとして有名なお社どすけど、なかでも境内にある芸能神社は有名人だらけと聞いて、ちょっと伺ってきましてん。ご利益も多種多様な京都有数のパワースポット平安時代、当代無比と言われた儒学者で、天武天皇の子孫やった清原頼業(きよはらのよりなり)公がご祭神という車折神社は、そのご学徳から学業成就や試験合格の神さまとして、全国的に有名どす。ほかに、「約束を違えないこと」をお守リくださるというのも、めずらしおへんか? たとえば、お商売人さんには売掛回収が滞りなく進んで商売繁盛に繋がるとか、もしかしたら浮気者とうっかり婚約したときも、裏切られへんように守ってくれはるかもしれまへん。まぁ、そんなお人とは付き合わへんに越したことあらしまへんけど。そんなふうに何かとご利益が多く、京都でも有名なパワースポットどすけど、とくに有名なのが境内に鎮座されてる芸能神社どす。芸能神社のご祭神は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)。天岩戸に籠ってしまわはった天照大神(あまてらすおおみかみ)に出てきてもらうため、ガンガンに踊ってみせはったカッコええ神さんなんえ。朱の玉垣に書かれてるのは、有名人だらけ!芸能や芸術の運気アップにご利益があるというこのお社の周りには、朱の玉垣と呼ばれる赤い立板のようなものがギッシリ並んでますねん。そこには芸能神社のパワーをいただこうと祈願されたお人らの名前が書かれてますねんけど、それがもう壮観なんどす。能や舞踊という伝統芸能の名家の方々はもちろんのことながら、有名な女優さんや俳優さん、歌手の方たちに芸人さん、漫画の主人公までいはりますわ。無名なうちからしたら、「いやもう皆さん、十分すぎるほど有名どすやんか!」と思てまいますけど、新しい作品に出演しはったり、公演の前にお参りしとうなるんでっしゃろなぁ。お参りされた方たちのSNSにも、芸能神社の朱の玉垣はたくさん掲載されてますさかい、調べてみてもおもしろおすえ。 うちが伺うたときに有名人がウヨウヨしてはることはあらしまへんどしたけど、玉垣に芸能人の名前はウヨウヨしてましたわ。こんだけぎょーさん玉垣が奉納されてるんやさかい、上手いこといったら芸能人に会えることもあるかもしれまへんなぁ。三代目J SOUL BROTHERSも来たはるやおへんか!ひと目会いとおしたわ〜。漫画『ワンピース』の登場人物たちの名前がカタカナでズラリ! どうやってお参りしはったんやろ?ものすごい数の玉垣がありまっさかい、そういう意味では有名人がウヨウヨどす。実際に遭遇できひんかったとしても、知ってる有名人を探すだけでも楽しおすえ。芸能や芸術にお願いごとがあったら、誰でも玉垣奉納は可能有名人ばっかりで気おくれするかもしれまへんけど、一般の方でも芸能関係の仕事されてる方や、芸術関連のアーティストさんは玉垣を奉納できまっせ。社務所(授与所)で奉納の申込書に名前とか書いて、奉納料13000円と一緒にお出ししたらよろしおす。申し込み日から2年間、有名人と肩を並べて奉納してもらえますねんけど、玉垣に名前書いてくれはる人がお忙しいさかい、実際に並ぶまでには2ヶ月ほどかかるそうどす。待ち遠しおすなぁ。そやけど、ここで大事なことを一つお伝えしときますわ。芸能神社と車折神社は同じとちゃいますねん。ここまで来て、車折さんの本殿にお参りせえへんのは、友達の家に遊びに行って親御さんがいはるのに、ご挨拶せえへんようなもんどす。これが神さんとちごたら、「そんな失礼な友達と遊んだらあかーん!」て言われまっせ。神さんやさかい、そんな心が狭いことはあらしまへんやろうけど、そこは気をつけておくれやす。マナーやさかい、必ずご参拝しとおくれやす。ちゃんと車折さんも参拝するというマナーや奉納の方法を教えてくれはった神職の東山さん。ホンマにお綺麗やさかい、芸能人かと思てしまいましたわ。ここだけの話、うちも奉納させてもらいましてん。お参りに行かはったら「つぶ乃」という名前も探しておくれやす。他にも要チェック:祈念神石(きねんしんせき)石への信仰が厚い車折さんへお参りに来はったら、神主さんがお祓いしはった石・祈念神石もいただいて帰らはるとよろしいわ。この祈念神石は、いろんな願い事を叶えてくれはるパワーストーンどす。社務所でいただけますけど、守るべきルールがたくさんおます。境内にも手順が書いてありまっさかい、ちゃんと読んでからご祈願しとおくれやす。車折さんのホームページにも詳しく書かれてますえ。せっかくお願いしはるんなら、ちゃんと手順に則っておくれやす。願い事が叶うた人らが返納してきはったお礼の石がこんなにぎょーさん!京都の人しか知らんこと その2お参りにもマナーがおます。手順は省いたらあきまへんえ。まずは本殿に手を合わせておくれやす。■車折神社京都市右京区嵯峨朝日町23075-861-00399:00〜17:00無休拝観料/無料芸能神社 玉垣奉納料/13,000円(申し込み日より2年間)祈念神石/おまもり型700円、おふだ型500円京福嵐山本線 車折神社駅から徒歩すぐ、市バス&京都バス車折神社前停徒歩すぐ
つぶ乃
自称・花街に生きる京女キャラクター
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BLOG京ノ旅手帖
2019.05.13
初めての東寺・弘法市 私好みのお宝を探す旅
毎月21日に開催される「弘法さん」の縁日フリーマーケット、手づくり市、アートマーケット...。お店がずらーっと並ぶ景色に気分が高まる女性、多いのではないでしょうか。個性豊かな出店たち、店員さんとの距離の近さ、アーティスティックなものが多いのも楽しいですよね!実は、私もそのひとり。そんな私が、ずっと気になっていて足を運べていなかった「市」があります。それが世界遺産・東寺(教王護国寺)で開かれる「弘法市」。歴史あるお寺の市だから、ディープな雰囲気なのかな、初心者だけど大丈夫かな...。古い刀や怪しい置物なんかもあるって聞いたけど...。そんな少しの不安とワクワク感を胸に、初めての弘法市に早起きしてお出かけしてみました。はじまりは室町時代!?ながーい歴史を持つ縁日なんでお寺で市が開かれるようになったんだろう...?その始まりは、法要に訪れる参拝者への接待でした。弘法市が開催される東寺は、嵯峨天皇が弘法大師空海に下賜した真言密教のお寺。空海が入定した4月21日(旧暦3月21日)には、報恩感謝の法要・御影供(みえく)が行われます。この法要に訪れた人々に、簡素な屋台で茶を出す商人が出てくるようになったのが弘法市のルーツなのだとか。江戸時代以降は段々と規模が大きくなっていき、段々と今の弘法市へと変化したようです。現在も毎月21日に開かれて、地元では「弘法さん」の愛称で呼ばれ、親しまれています。弘法市が開かれる場所、東寺さて、そんな弘法市が行われる東寺。平安遷都2年後の796年に建立された、歴史ある寺院です。日本で初めての真言密教の根本道場として、多くの人々の信仰を集めてきました。密教の教えを立体的に表した立体曼荼羅や、木造建築として日本一の高さを誇る五重塔など、見どころ満載のお寺です。弘法市以外の日や、一通りめぐった後に、ゆっくりお参りすることをおすすめします!信仰に触れ、落ち着いた清い気持ちになります。めぐってみよう!弘法さん成り立ちと場所について学んだところで、早速弘法市へ。多くの人でにぎわうので、ゆっくり見たいのであれば朝がおすすめ!東寺の正面口で、重要文化財の「南大門」からお邪魔します。門の外から中までずらーっと続く、店、店!なんでも、常時1000以上ものお店が軒を連ねているんだとか。本堂にあたる建物「金堂」と「御影堂」でお参りし、お宝さがしへ!陶器、骨董、アクセサリー...さまざまな出合いどんなものが売られているんだろう?そんなワクワクとともに歩き出すと、フルーツや陶器、人形、掛軸、手作りアクセサリー、着物...。カテゴライズするのが難しいほど、本当にさまざまなジャンルの商品が並んでいます。これは、若い方から大人まで幅広い年代が楽しめる!お寺で開かれる市には少しかたいイメージを持っていて、お気に入りが見つかるかちょっと不安でしたが、活気のあるワイワイとした雰囲気に、気分も高まります。日本の方だけでなく、海外の観光客の方も、たくさんいらっしゃいました。職人のご夫婦が作る、木の製品が気になる夢中になって歩いていると、ちいさな木の製品が並ぶお店に引き寄せられました。こちらは「small work camp」さん。5月のこどもの日に飾りたい「ハコイノボリ」が素敵すぎる!コイノボリは磁石でくっついています。他にも木の箱のペンケースやお箸入れなどがありました。木の箱を作るご主人と、イラストを描く奥様。ご夫婦で作る木の製品は、ひとつひとつに温かみがあり、手にしっくり馴染みます。ちょっと大人っぽい皮小物に挑戦してみようかな革工房イドスブランコ意匠登録済み木の製品を見た後は、革製品が気になる!立ち寄ったのは「革工房 イドスブランコ」さん。普段縁のないジャンルのお店も、マーケットなら気軽に見られるのが嬉しいところ。こちらの本革の小物は、工房に所属する職人さんがひとつひとつ丁寧に作っています。デザインのこだわりや、おすすめの使い方なども教えてもらいました。近い距離感でたくさんお話ができるのが、マーケットの醍醐味ですね。革工房 イドスブランコhttp://sp.raqmo.com/bag-shokunin/異国情緒漂う一角。涼しげなシャツに惹かれて...宝物を探すべく、さらにぶらぶら歩いていると、なんだかオリエンタルな雰囲気のお店を発見。ここは「VANASPATI khadi haat kaam」。インド人の旦那さまと日本人の奥さまがインドでセレクト・加工した、手紬ぎの洋服やインテリア、小物が売られていました。この日の京都は気温が高く、すごく暑かった!そよそよそよぐ、真っ白で涼しそうなシャツに心惹かれました。レトロかわいい骨董に心奪われる!弘法市、といえばやっぱり骨董。しかし、骨董と一言で言っても、店の雰囲気もいろいろなのです。例えば、高そうな掛軸や茶器がずらりと並ぶ店、一見立ち寄りがたいような、ちょっと怪しげな置物が置いてある店...。骨董というと部屋になじみにくいイメージがあるかもしれませんが「趣味で12年くらい店を出し続けている」というご主人のお店には、一つ置くだけで一気におしゃれ部屋になるアイテムがたくさん!かわいいねこちゃんの置物や、おもしろ看板。自分だけの、オリジナリティ溢れる部屋を目指している方にぴったりです。味のある陶器たち陶芸家の方もたくさんお店を出されているので、うつわ好きは心躍るはず。市村サントシャさんのお店では「このお皿に料理を盛ると、よりおいしいんだろうな...」と思わせてくれる、シンプルながらも味のあるお皿に出合えました。「料理の邪魔をしない皿をつくることを心掛けています」という言葉通りです。数ある店の中からお気に入りを探すのも、とっても楽しい!歩き疲れたら、甘いおやつでちょっと休憩弘法市には、たこ焼きや焼きそばなどのちょっとした食べ物や飲み物のお店も。「京聚(きょうじゅ)」というお店で、最近はやりのタピオカミルクティーをいただきました。お寺の市で、こんな最新のスイーツに出合えるなんて!甘くって、冷たくって、疲れた体にしみこんでいきます。ヒールのある靴で来てしまったのは少し失敗...。たくさん歩くので、歩きやすい靴がおすすめ!砂埃が立つので、汚れても良い服を着てくるのも大事なポイントです。弘法さんをめぐって古いもの、新しいもの、様々な要素が入り混じる弘法市。世界遺産のお寺の中でずっと開かれ続けている伝統ある市は、規模も大きく、店員さんが大らかでフレンドリーだったのが印象的!行く前に感じていた不安が嘘のようです。いつもの東寺とは少し違う、にぎやかな雰囲気にはまってしまいそう。「朝、早起きしてよかった!」と思える、大満足のひと時でした。みなさんも、この雰囲気を味わいに、21日は東寺へお参りにいってみては?会場案内■ 東寺(教王護国寺)京都市南区九条町1近鉄東寺駅から徒歩5分075-691-33258時~最終受付16時30分http://toji.or.jp/■ 東寺出店運営委員会0774-31-5550http://www.touji-ennichi.com/index.htm
西垣 愛佳
ライター