BLOG京ノ旅手帖2019.05.13

初めての東寺・弘法市 私好みのお宝を探す旅

By西垣 愛佳

毎月21日に開催される「弘法さん」の縁日

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フリーマーケット、手づくり市、アートマーケット...。お店がずらーっと並ぶ景色に気分が高まる女性、多いのではないでしょうか。個性豊かな出店たち、店員さんとの距離の近さ、アーティスティックなものが多いのも楽しいですよね!実は、私もそのひとり。そんな私が、ずっと気になっていて足を運べていなかった「市」があります。それが世界遺産・東寺(教王護国寺)で開かれる「弘法市」。歴史あるお寺の市だから、ディープな雰囲気なのかな、初心者だけど大丈夫かな...。古い刀や怪しい置物なんかもあるって聞いたけど...。そんな少しの不安とワクワク感を胸に、初めての弘法市に早起きしてお出かけしてみました。

はじまりは室町時代!?ながーい歴史を持つ縁日

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なんでお寺で市が開かれるようになったんだろう...?その始まりは、法要に訪れる参拝者への接待でした。弘法市が開催される東寺は、嵯峨天皇が弘法大師空海に下賜した真言密教のお寺。空海が入定した4月21日(旧暦3月21日)には、報恩感謝の法要・御影供(みえく)が行われます。この法要に訪れた人々に、簡素な屋台で茶を出す商人が出てくるようになったのが弘法市のルーツなのだとか。江戸時代以降は段々と規模が大きくなっていき、段々と今の弘法市へと変化したようです。現在も毎月21日に開かれて、地元では「弘法さん」の愛称で呼ばれ、親しまれています。

弘法市が開かれる場所、東寺

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さて、そんな弘法市が行われる東寺。平安遷都2年後の796年に建立された、歴史ある寺院です。日本で初めての真言密教の根本道場として、多くの人々の信仰を集めてきました。密教の教えを立体的に表した立体曼荼羅や、木造建築として日本一の高さを誇る五重塔など、見どころ満載のお寺です。弘法市以外の日や、一通りめぐった後に、ゆっくりお参りすることをおすすめします!信仰に触れ、落ち着いた清い気持ちになります。

めぐってみよう!弘法さん

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成り立ちと場所について学んだところで、早速弘法市へ。多くの人でにぎわうので、ゆっくり見たいのであれば朝がおすすめ!東寺の正面口で、重要文化財の「南大門」からお邪魔します。門の外から中までずらーっと続く、店、店!なんでも、常時1000以上ものお店が軒を連ねているんだとか。本堂にあたる建物「金堂」と「御影堂」でお参りし、お宝さがしへ!

陶器、骨董、アクセサリー...さまざまな出合い

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どんなものが売られているんだろう?そんなワクワクとともに歩き出すと、フルーツや陶器、人形、掛軸、手作りアクセサリー、着物...。カテゴライズするのが難しいほど、本当にさまざまなジャンルの商品が並んでいます。これは、若い方から大人まで幅広い年代が楽しめる!お寺で開かれる市には少しかたいイメージを持っていて、お気に入りが見つかるかちょっと不安でしたが、活気のあるワイワイとした雰囲気に、気分も高まります。日本の方だけでなく、海外の観光客の方も、たくさんいらっしゃいました。

職人のご夫婦が作る、木の製品が気になる

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夢中になって歩いていると、ちいさな木の製品が並ぶお店に引き寄せられました。こちらは「small work camp」さん。5月のこどもの日に飾りたい「ハコイノボリ」が素敵すぎる!コイノボリは磁石でくっついています。他にも木の箱のペンケースやお箸入れなどがありました。木の箱を作るご主人と、イラストを描く奥様。ご夫婦で作る木の製品は、ひとつひとつに温かみがあり、手にしっくり馴染みます。

ちょっと大人っぽい皮小物に挑戦してみようかな

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革工房イドスブランコ意匠登録済み

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木の製品を見た後は、革製品が気になる!立ち寄ったのは「革工房 イドスブランコ」さん。普段縁のないジャンルのお店も、マーケットなら気軽に見られるのが嬉しいところ。こちらの本革の小物は、工房に所属する職人さんがひとつひとつ丁寧に作っています。デザインのこだわりや、おすすめの使い方なども教えてもらいました。近い距離感でたくさんお話ができるのが、マーケットの醍醐味ですね。
革工房 イドスブランコhttp://sp.raqmo.com/bag-shokunin/

異国情緒漂う一角。涼しげなシャツに惹かれて...

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宝物を探すべく、さらにぶらぶら歩いていると、なんだかオリエンタルな雰囲気のお店を発見。ここは「VANASPATI khadi haat kaam」。インド人の旦那さまと日本人の奥さまがインドでセレクト・加工した、手紬ぎの洋服やインテリア、小物が売られていました。この日の京都は気温が高く、すごく暑かった!そよそよそよぐ、真っ白で涼しそうなシャツに心惹かれました。

レトロかわいい骨董に心奪われる!

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弘法市、といえばやっぱり骨董。しかし、骨董と一言で言っても、店の雰囲気もいろいろなのです。例えば、高そうな掛軸や茶器がずらりと並ぶ店、一見立ち寄りがたいような、ちょっと怪しげな置物が置いてある店...。骨董というと部屋になじみにくいイメージがあるかもしれませんが「趣味で12年くらい店を出し続けている」というご主人のお店には、一つ置くだけで一気におしゃれ部屋になるアイテムがたくさん!かわいいねこちゃんの置物や、おもしろ看板。自分だけの、オリジナリティ溢れる部屋を目指している方にぴったりです。

味のある陶器たち

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陶芸家の方もたくさんお店を出されているので、うつわ好きは心躍るはず。市村サントシャさんのお店では「このお皿に料理を盛ると、よりおいしいんだろうな...」と思わせてくれる、シンプルながらも味のあるお皿に出合えました。「料理の邪魔をしない皿をつくることを心掛けています」という言葉通りです。数ある店の中からお気に入りを探すのも、とっても楽しい!

歩き疲れたら、甘いおやつでちょっと休憩

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弘法市には、たこ焼きや焼きそばなどのちょっとした食べ物や飲み物のお店も。「京聚(きょうじゅ)」というお店で、最近はやりのタピオカミルクティーをいただきました。お寺の市で、こんな最新のスイーツに出合えるなんて!甘くって、冷たくって、疲れた体にしみこんでいきます。ヒールのある靴で来てしまったのは少し失敗...。たくさん歩くので、歩きやすい靴がおすすめ!砂埃が立つので、汚れても良い服を着てくるのも大事なポイントです。

弘法さんをめぐって

古いもの、新しいもの、様々な要素が入り混じる弘法市。世界遺産のお寺の中でずっと開かれ続けている伝統ある市は、規模も大きく、店員さんが大らかでフレンドリーだったのが印象的!行く前に感じていた不安が嘘のようです。いつもの東寺とは少し違う、にぎやかな雰囲気にはまってしまいそう。「朝、早起きしてよかった!」と思える、大満足のひと時でした。みなさんも、この雰囲気を味わいに、21日は東寺へお参りにいってみては?

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会場案内

■ 東寺(教王護国寺)
京都市南区九条町1
近鉄東寺駅から徒歩5分
075-691-3325
8時~最終受付16時30分
http://toji.or.jp/
■ 東寺出店運営委員会
0774-31-5550
http://www.touji-ennichi.com/index.htm

ライター
西垣 愛佳 にしがき あいか

京都在住のライター。おいしいものを求めて散歩するのが週末の楽しみ。最近は御朱印集めにはまっていて、梨木神社でいただいた御朱印がお気に入り。

カメラマン
マツダナオキ まつだ なおき

京都の街に魅せられて移住してきた、京都歴8年のカメラマン。料理、人物、建築等ジャンルを問わず撮影する。コーヒーが好きで、カフェによく行く。