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特命取材班 スクープ

『夜の訪問医療』に奮闘する医師...対応難しい一家感染「症状ある親・症状ない子」「母子3人陽性・子1人だけ陰性」

2021年09月21日(火)放送

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変異株が猛威をふるう新型コロナウイルスの第5波。学校ではクラスター(感染者集団)が発生するなどして、家族内での感染が深刻な状況になっている。そんな中での『夜の訪問医療』を今回取材すると、現場では「親は陽性だが子どもは陰性」という難しい状況に陥る家庭が相次いでいることがわかった。

6歳娘だけ陰性で隔離生活に苦労「隔離やめて陽性にした方が楽に…」

普段は大阪府内の病院で働く利根川玲奈医師。訪問医療を担う民間会社「ファストドクター」に登録していて、2020年12月から週に2回の夜間往診を行っている。「ファストドクター」は、保健所や患者からの依頼を受けて、その時間に勤務する医師が自宅などに訪問する。

今年9月、この日の夜間往診は午後7時から。依頼があったのは40代の母親と10代の娘が新型コロナウイルスに感染し、下の6歳の娘だけが陰性という家庭。

(利根川玲奈医師)
「第4波の時はあまり10代の方の往診依頼はなかったんですけれども、第5波では家族内に1人出ると全員があっという間に陽性になるという印象があります。コロナの患者さんで、咳止めを大量に使うとすぐなくなってしまうので、その量は増やしていますね」
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部屋に入る前に防護服に着替える利根川医師。家の中に入ると症状の聞き取りから始まる。
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(利根川医師)「37℃台がずっと続いてる」
(40代母親)「きのう、おとといくらいから、けっこう痰のからむ咳をしていますね」
 (10代娘)「咳だけ出る感じ」
(利根川医師)「咳は痰とかからみます?」
 (10代娘)「あんまり」

2人は医師から薬が処方されていたが、あまり効かず、咳などが続いていたという。
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(利根川医師)「肺の音は問題なさそうですね。咳止めとかもしあったら欲しいですか?」
(40代母親)「咳というか痰…」
(利根川医師)「痰切りみたいな、じゃあきょう出しますね。処方しますね」

診察の結果、2人はこのまま自宅療養で様子をみることに。しかし、6歳の娘は別の部屋で隔離していて、不安な日々が続く。

(40代母親)
「外も行きたいだろうし、お風呂も歯磨きも全部自分でしないとあかん。ストレスたまっているだろうし、隔離やめてもう陽性にした方が自分たち全員が楽になるかなって。でもコロナって怖いじゃないですか。どっちがいいんだろうって」

さらに食事についても、自宅療養から1週間ほど経つものの、大阪市から届くはずの食料などは届かず、カップラーメンなどでしのいでいると話した。
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(利根川玲奈医師)
「第5波では、症状自体は少し軽い方もいらっしゃるんですが、若い人というのは子どもを育てていらっしゃったりとか、非常に切羽詰まっていらっしゃったりして、本当に少しでも治るまでの間の症状を緩和させることで、ご本人の気持ちも楽になると思いますし。『必ずよくなりますから』というふうに励ますことしかできないですね」

症状ある母・症状ない子ども…「子どもを置いて救急搬送できないと言われた」

午後11時すぎ、次の依頼先も30代の母親と子ども2人(中学生・小学生)が感染、もう1人の子ども(小学生)だけが陰性という状況だった。

(30代母親)「苦しくなってくる。そしたら今もそうなんですけど(手足の)しびれが出て、きょうもまた途中でろれつが回らなくなって保健所に電話したんですよ」
(利根川医師)「下痢も続いていて脱水になってしまってしびれが出る可能性もあると思います。本当に辛そうだったら点滴を呼びましょうか」

点滴などの処置が必要な場合は待機している看護師に依頼。24時間対応している。
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母親が症状を訴える一方で感染した子ども2人はほとんど症状がないという。

(30代母親)
「子どものご飯の用意とかするのが大変ですね、自分がこういう状態なんで。ましてや子どもが元気なので。私シングルマザーなんで、子どもがいるから『(病院に)搬送できない』って言われるんですよ。『陽性の子どもを置いて救急搬送はできない』って」

子どもの感染も目立つ第5波。親は療養しながらも無症状の子どもの世話をしなければならない。

(30代母親)「私きょうで一週間なんですけど長いですか?治る見込みがないから」
(利根川医師)「いえいえ、そんなことないですよ。大丈夫ですよ。良くなると思う」

多くの患者を診察するため移動中も忙しい

時刻は午前0時前。往診が終わると移動の車内でカルテ作り。1人でも多くの患者を診察できるように音声入力で作成する。

(音声入力でカルテを作成する利根川医師)
「気を失いそうになる、呼吸が荒くなるということなんですけれども、割と典型的な過呼吸発作の症状かなと。点滴して脱水補正を行うことにしました」

第5波では、大阪では自宅療養者が多い時で1万8000人以上になり、次から次へと往診した日もあったという。

第4波の真っただ中だった今年5月にも利根川医師を取材したが、当時は感染者の多くが高齢者だった。重症病床使用率は100%を超え、入院できない患者を前に夜間往診で命をつなぐことさえあった。しかし感染の第5波は違う。

7人家族で3人が感染…医師からの助言は?

今年9月の別の日、利根川医師が向かったのは、母親と子ども2人の感染が確認された7人家族(ほかの家族はPCR検査待ち)。子どもが小さいと隔離が難しいケースもある。

(ファストドクタースタッフ)「症状が出ているのは、お母さまと上の子とこの子だけ?」
          (父親)「そうですね、今は。微熱がほかの子らは」
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(利根川医師)「酸素飽和度は98%ありますね。肺の音とかは問題ないので、あと数日の辛抱かなと思います」(※酸素飽和度の正常値は96%~99%)

診察した後、利根川医師は第5波になってからは患者にこんな話をしている。

   (父親)「(ワクチン)打っていないです。全員打ってないです」
(利根川医師)「まだ順番が回ってきていない?」
   (父親)「というより、ちょっとまだどうしようかなって」
(利根川医師)「陽性になった後でもですね、ワクチンを打った方が抗体の量が上がるので、ぜひ打っていただいたらいいと思います」

(利根川玲奈医師)
「ワクチンを打っていた人で陽性だった人は私はまだ遭遇していないですね。患者は、ワクチンがまだ間に合っていない10代・20代・30代くらいまでの人と、ワクチンを打っていなかった高齢者とで2層化しているという感じですかね。『必ず回復したら打ってくださいね』という話はしていますね」

この日、深夜1時すぎまで夜間診療を続けた利根川医師。翌朝8時からは再び病院での勤務。感染拡大の陰で医療の手が行き届かない人たちを救う活動はこれからも続く。

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