よんチャンTV(テレビ)

特命取材班 スクープ

「盛り土」活用し建設するメガソーラー計画 勾配がほぼ同じで『熱海の現場と地形が似ている』と指摘の声も...

2021年07月14日(水)放送

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静岡県熱海市で起きた土石流災害。建設残土による「盛り土」が原因ではないかと指摘されています。関西には危険な「盛り土」はないのか?取材班は、あるメガソーラー建設現場に注目し、その問題点について検証しました。

7月3日、静岡県熱海市伊豆山地区を襲った土石流。死者11人、行方不明者17人(7月14日午後5時時点)と大きな被害が出ている。なぜ、土石流は発生したのか?その原因とされているのが「盛り土」だ。熱海の現場では許容量を超える「建設残土」が持ち込まれるなど、度々業者が行政指導を受けていたこともわかっている。
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大きくえぐられた斜面。土石流との因果関係について検証が始まっている。

メガソーラー建設計画の「盛り土」

リスクが潜む山の開発。取材班は、今まさに開発が進められようとしているある場所に注目した。その場所は奈良県平群町だ。平群町の椿台地区の一部は土石流の「警戒区域」に指定されている。そんな中、ある計画が進められているという。椿台地区に住む多田恵一さんに話を聞いた。

(椿台地区の住民 多田恵一さん)
「椿台のちょうど真上になるんですかね。ソーラーパネル場ができる予定で、椿台側はほとんど盛り土になります」
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生駒山の上空、山林が伐採されたエリアの約48ヘクタール、甲子園球場12個分を事業面積とするメガソーラー建設計画が進められている。山のふもとには多田さんらが住む、椿台地区がある。

(多田恵一さん)
「椿台のすぐ上に発電所ができると。あそこにメガソーラーを作るために盛り土をするんです。山を削った土を谷に埋めていくと。だから谷筋全部が盛り土になるわけです。そこにパネルを敷いてソーラー発電所ができると」

改めて地図で確認すると、平群町では椿台地区のほか、多くの地点が土石流の「警戒区域」に指定されていて、一部、「特別警戒区域」もある。メガソーラーの建設計画地が広大な面積を占めていることがわかる。
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計画によると、山の山頂付近を削って谷に盛り土しソーラパネルを設置しやすいように起伏のある山肌をなだらかにするという。高低差50m、厚さ10mほどの盛り土が造成されることになっている。こうした計画について、住民らに話を聞くと…。

(椿台地区の住民)
「(熱海の)映像を見せられて、環境的にも住宅地の山の上に(盛り土が)ある。あそこ(盛り土)が崩れて大雨が降った時に流れてくるというのは、あり得る話やなと思いました」
「逃げる場所とかありませんしね。どうしましょう。本当に終の棲家だと思っていましたのでここが」
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住民らによると、盛り土の造成予定地を上流とする川が椿台地区まで約1kmほど流れていて、「熱海の現場と地形が似ている」と指摘する声が上がっているという。

熱海の土砂災害の現場と平群町椿台地区付近の勾配は“ほぼ同じ”

実際はどうなのか?取材班が国土地理院のデータベースにアクセスし、平群町の地形を調べてみた。

得られたデータを計算式に落とし込むと、盛り土の予定地から椿台地区付近の勾配は平均で17.9%。一方、同じように土砂災害が起きた熱海の谷筋の勾配を調べると平均で19.07%で、ほぼ平群町の勾配と同じだった。少なくとも勾配は数値的には近いことがわかった。

メガソーラー建設予定地の工事は現在ストップ

今、メガソーラーの建設予定地はどうなっているのか。取材班が歩いてみると、開発によって山肌はむき出しになり、ショベルカーが放置されていた。

(記者リポート)
「今年2月に森林の伐採が始まりましたが、今は中止しています」

今はストップしているメガソーラー建設。
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実は今年6月、奈良県議会である問題が指摘されていた。

(共産党 太田敦県議 6月28日)
「勾配が18%ということで、全て同じ数字が並んでいて不可解だと。流下能力の算定のいわば偽装と言ってもいいと思います」

事業者が「森林の開発許可」などを得るために県に提出した書面に誤りがあったという。

水路の勾配が全て「18%」?

メガソーラーによる水害対策として活用される「水路」の勾配の数値などが記載された書面を確認すると、谷筋には起伏があり上流から下流まで勾配は異なるはずだが、どの地点も「18%」と記載されている。県が調査すると数値に誤りがあることがわかったのだ。
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(奈良県 荒井正吾知事 定例会見 7月1日)
「信用して(開発を)許可したけれども、(提出された)書類がわざとかもしれないが、偽りがあったことが事後わかった」

これを受けて、奈良県は業者に工事の停止を指示した。
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問題を調査する太田県議は『数値の誤りは意図的ではないか』と話す。水路付近で話を聞いた。

(共産党 太田敦県議 7月12日)
「ほとんど勾配としては、あまり無いですよね。(Q18%を想像できないが?)スキーのゲレンデの初級の方が滑るような場所。大いに違和感があるなと思いました。さらに多くの雨量になってしまった時に、実際にはそれほど流れないのに、数字上では『流れますよ』と。18%にしないと、許可が通らなかったんじゃないかなと思うんです」

「排水施設が機能しているか」チェックを

平群町の『盛り土』は、熱海のような『建設残土』ではない。それでも専門家は排水施設の重要性を指摘する。

(京都大学防災研究所 釜井俊孝教授)
「平群町に大きな盛り土があるとして、それが崩れたと仮定すると、樹枝状の谷が発達していて、そのうちの1本が開発地と椿台地区とを結んでいるのは事実だと思います。問題は、排水施設がちゃん機能しているかどうか。行政はちゃんとチェックすべきですね」
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平群町のメガソーラー計画を巡っては、すでに住民ら約1000人が計画の差し止めを求め奈良地裁で争われている。ソーラー事業者は取材に対し今回の問題について、「係争中なのでコメントできない」と回答している。

クリーンエネルギーへの転換が叫ばれる中、各地で進むメガソーラー建設。今一度、安全性を点検する必要があるのではないだろうか。

(7月14日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)

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