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使用率は約8割『ジェネリック医薬品』が足りない!背景に「メーカーの不祥事」「業界特有の生産事情」薬局と患者の悲鳴

2022年02月01日(火)放送

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後発医薬品ともいわれるジェネリック医薬品。特許が切れた薬を別のメーカーが同じ有効成分を使って作ったものです。新薬(先発薬)と品質や効き目、安全性は同じとされ、価格が安いのが特徴です。国は医療費削減のためにこの後発薬の普及を促進していて、使用率はこの10年で急上昇し、厚生労働省のデータによると約8割に達しています。もはや国民生活に不可欠となったジェネリック薬ですが、今、品不足が深刻です。一体なにが起きているのでしょうか?

いつもの薬が手に入らない

兵庫県播磨町に住む細見淳一さん(74)。約20年前から心臓に疾患があって毎日の薬が欠かせません。
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(細見淳一さん)
「血圧を下げる薬と、血液をサラサラにする薬です」
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細見さんは長年こうした薬を飲んできましたが、1年ほど前から変化したことがあるといいます。

(細見淳一さん)
「なくなってしまったので別のメーカーの薬を使用してくださいという感じで。2~3回は変わっていますね」

いつもの薬が手に入らない。今、こうした事態が全国的に起きているのです。

薬局「10個頼むと3品くらいは欠品連絡がくる」

神戸市西区にある調剤薬局「ホワイトローズ薬局」。ここでは約800種類の医薬品を扱っていますが、最近、注文した薬の一部が入荷されない状態が続いているといいます。
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(古川貴子薬剤師)
「10個頼んだとしたら、3品目ぐらいは欠品の連絡がきます。ぜんそくのお薬であったり、骨粗しょう症やてんかんのお薬であったり、その辺が減っている。欠かせないお薬だと思うので心配になります」

ジェネリック医薬品の不足の背景に“メーカーの不祥事”

日本製薬団体連合会の調査では、現在、流通する医薬品の2割にあたる約3100品目が品薄になっているということです。ことの発端はジェネリック薬をめぐる不祥事でした。
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2020年、福井県の小林化工で、水虫などの皮膚病用のジェネリック薬に睡眠導入剤が混入していたことが判明。200人以上が健康被害を訴え、2人が死亡しました。
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さらに、ジェネリック大手3社の1つである日医工でも、国が承認していない手順で薬を製造していたことが明らかになり、業務停止命令を受けました。

その後、ほかの複数のメーカーでも自主点検や行政の立ち入り調査で不備が見つかり自主回収を行うなどしたため、急激にジェネリック薬の供給量が減ってしまったのです。

ジェネリック医薬品の“多品種少量生産”も影響

さらに、ジェネリック薬不足の要因の1つには業界特有の事情もあると神奈川県立保健福祉大学大学院の坂巻弘之教授は指摘します。

(神奈川県立保健福祉大学大学院 坂巻弘之教授)
「ジェネリック医薬品の特徴としては多品種少量生産があります」
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一般的なジェネリックメーカーは、1つの製造ラインで多くの品目を生産するため、いつどの薬を作るか、スケジュールが長期にわたって決まっています。そのため特定の薬が不足しているからといって急な増産に対応することはできないのです。

(神奈川県立保健福祉大学大学院 坂巻弘之教授)
「出荷停止を起こすと、同じ成分の薬について、ほかの会社に注文が殺到しちゃうんです。そうするとほかの会社に注文が殺到しても十分な供給量が賄えないということで、その会社も供給不足に陥る。こういう玉突き状態で日本全体の医薬品の供給不足が起きている」

ジェネリック薬の使用率は今や約8割に上ります。その流通量が減ったことで、一般的にジェネリックより高価な先発薬の需要も急速に高まって、先発薬も手に入りにくくなっています。

(古川貴子薬剤師)
「今はメーカーにこだわるとか、なりふり構っていられないので、同じ成分であればどこのメーカーでもという感じで購入しています。『今ならあります』と言われてたくさん買っちゃうと流通量が減るので、そこが難しいなと思うところなんです」

薬の不足について患者は「薬を変えるのはいや」

薬が手に入ったとしてもこれまで使っていたメーカーから変わることに不安を感じる患者もいるといいます。

(古川貴子薬剤師)
「薬を変えることによって調子が悪くなったらどうすればいいのという方もいらっしゃる。『主成分は同じなんです』としか言えない」

実際、患者に話を聞いてみると、このような声が聞かれました。

(80代の患者)
「薬を変えるのはいや。やっぱり不安やね」
(60代の患者)
「どうしても飲まないとあかん薬がなくなったら困る。それを飲まないと生きていかれへん人はなんぼでもおるわけやから、そう思ったら、もうちょっと国が入って作ってくれないと」

専門家“品質面や製造手順の管理ができていなかった”

安いうえに効果に差がないとして選ばれてきたジェネリック薬。その信頼が揺らいだ一連の事態について坂巻弘之教授は次のように話します。

(神奈川県立保健福祉大学大学院 坂巻弘之教授)
「ジェネリック薬のシェアが伸びることによって、企業としては出荷量を多くすることに重点を置きすぎて、品質面であるとか製造の手順についてきちんとガバナンス(管理)が効いていなかった。大規模な製造設備を作るためには、ひとつひとつの企業が大きくなる必要があると思います。日本のジェネリックメーカーは海外に比べると小規模ですので、業界再編で企業規模を大きくすることもひとつの手段として考えるべきではないかと考えています」
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厚生労働省は、メーカー側に増産などの対応を呼びかけていますが、状況が元に戻るにはまだ2~3年かかるとみられていて、影響が長引きそうです。
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(古川貴子薬剤師)
「患者様の負担も安いほうがいいですし、ジェネリック推進はもちろんしているのですけれど、こういったことが起こると患者様も私たち薬剤師自身もジェネリックメーカーに対して不安が出てくるので、(安全などの)基準をきっちりしてほしいと思います」

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