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ピーチが就航「北海道・女満別」には何がある? コロナ後を見据え"路線拡大"の新戦略

2021年08月24日(火)放送

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LCC(格安航空会社)の「ピーチ・アビエーション」はコロナ禍の逆風にさらされて厳しい状況が続いています。ところが、今年に入って大阪・関空や東京・成田などから5つの路線を次々と就航して“攻めの姿勢”を貫いています。今回注目したのは今年7月に就航した「関空ー女満別」の路線です。北海道の北東部にある女満別(めまんべつ)は、自然や食など魅力がたくさん詰まったエリアで、現地で体験した上で魅力を伝えて、新たな需要を掘り起こそうとするピーチの担当者を取材しました。

ピーチは業績悪化の中でも路線を拡大

“空飛ぶ電車”をコンセプトに日本初のLCCとして10年目を迎えたピーチ。大手航空会社とは比べ物にならない低運賃などで着実にファンを獲得してきました。そんなピーチもコロナ禍の今は移動自粛などの影響で業績が悪化しています。それでも路線を拡大するのにはワケがありました。
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北海道の北東に位置する女満別空港(北海道大空町)。ピーチが今年2月に東京・成田便、今年7月に大阪・関空便と相次いで結んだ場所です。
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今年7月、その女満別空港に降り立ったのは、事業戦略部・井下奈穂子さんでした。

(ピーチ・アビエーション事業戦略部 井下奈穂子さん)
「魅力の発掘と今後どうやってお客さまにその魅力を伝えていけばいいかというのを自治体の方と話し合いに来ました」

井下さんのミッションは“女満別周辺の魅力を発掘して発信する”ということです。

世界遺産「知床五湖」や「神の子池」「サクラマスの遡上」

井下さん、早速移動しますが、移動中に目の前に広がる広大な景色は、本州ではなかなか見られない光景です。

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「すごいですね。スケールが違いますね。札幌や旭川は行ったことがあっても、道東(女満別)までは行ったことがないんだよね、という声がたくさんありまして。ポテンシャル自体はしっかりあると思っています」

LCCは低価格を実現するため、需要が見込めて高い搭乗率が保証されるエリアを結ぶ傾向があります。ですが、今回の女満別はまだまだ伸びしろがあるエリアで、コロナ後を見据え、利用客に魅力を伝えて需要の掘り起こしを図る狙いなのです。
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実は女満別は、空港から1~2時間レンタカーを走らせれば、壮大な自然が感じられる世界自然遺産の「知床五湖」があります。
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また青く透き通った湧き水が幻想的な空気を醸し出す「神の子池」(北海道清里町)にも足を運ぶことができます。
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さらに地元でも知る人ぞ知る秘境で夏の限られた時期にだけサクラマスの遡上も見ることができます。こうした躍動感あふれる大自然は何にも勝る魅力といえます。

ピーチ×地元企業 連携を模索

ピーチの井下さんがまずやってきたのは北見市。バス会社や観光協会とビジネスの連携ができないかを探ります。地元の方々から見てもピーチユーザーは新たな顧客ターゲットとして期待されているようです。

(北海道北見バス 福村泰司社長)
「(ピーチは)お客さまの層が若いアクティブな方々が多いと聞いていますし、LCCなので料金が安いということで家族で移動していただける機会が増えるということで、地元のバス事業者にとっては非常にありがたいですね。お客さまにお乗りいただけるチャンスだと」

そこでバス会社からは『自転車で観光地を巡り、帰りはバスが自転車ごとピックアップする』という企画などでタッグを組めないかと提案を受け、今後、具体策を模索することになりました。

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「ご自身の自転車を機内に持ち込みたいお客さまもいらっしゃるので。何かここは一緒に取り組めるのではないかと思っています」

『そだね~』の地で「カーリング体験」

続いて井下さんが向かったのは北見市の中心部から車で5分の施設「アルゴグラフィックス北見カーリングホール」です。

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「カーリングです。やったことないんですけれども、初めて体験してきます」

北見市は言わずと知れたカーリングの街。平昌オリンピックで活躍し『そだね~』で流行語大賞にもなった女子メンバーも練習に訪れるこの場所では、カーリング体験も可能で、上着などのレンタルも揃っています。
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井下さんも着替えて、まずはブラシを持って氷を歩くところから始めますが…簡単にはいきません。基礎の動きを繰り返します。
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そしてストーンを持っての動作。コーチの美しいフォームに続け!と、トライしますが…姿勢を維持するのは至難の業です。

練習の成果を発揮できるか。3つ並んだコーンの真ん中を狙ってストーンを投げると…見事的中しました。井下さん、カーリング体験が終わるころには汗だくでした。
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(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「見ての通り、思った以上にハードでした。本州ではなかなか体験できないですし、観光客でもいつでも利用できるらしいので、他でできないここでしかできない貴重な体験なので、おすすめしたいなと思います」

ホッケのお刺身、ホタテ、牛肉の「サガリ」

動いた後は腹ごしらえ。地域の魅力探索に『食』は欠かせません。訪れた飲食店にある水槽にはホッケが泳いでいました。

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「なかなかホッケが泳いでいるの見たことないです」
(北見市観光協会 石井義和さん)
「いきが良くないと刺身は食べられないので」
(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「この姿(干物)しか見たことがない」
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干物でおなじみのホッケが、水槽から網ですくいあげられ、そのまま活け造りでいただきます。初めてのホッケの刺身のお味は?

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「コリコリプリプリしています」
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肉厚のホタテ貝は焼いてよし刺身にしてよし。
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中でも観光協会スタッフの一押しは牛肉の横隔膜にあたる『サガリ』です。柔らかい肉質で適度な脂が入っているのが特徴。地元の家庭では一般的に食べられる人気の部位だといいます。

夕日で赤く染まるサロマ湖は…

そして井下さんたち、続いてある場所に急いで移動です。目指すはサロマ湖。また車で1時間ほどの移動です。午後7時前に目的地に到着。しかし楽しみにしていた夕日は沈んでしまっていました。
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(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「ぎりぎり間に合わなかったです」
(北見市観光協会 石井義和さん)
「ここが赤く染まって湖も赤く染まるのを見せたかったんですけれども…すみません。ちょっと間に合わなかった」
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井下さんたちが見逃した夕日を地元の人が撮影していました。

(地元の住民)
「まぶしくてまぶしくて、きれいにオレンジ色になって」

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「地元の方が自慢したいというものは間違いないので、ピーチのお客さまにはささるんじゃないかなと」

コロナ後を視野に「魅力を発信していきたい」

ピンチを追い風にできるのか。アフターコロナを視野に井下さんは今できることに力を注ぎたいといいます。

(ピーチ・アビエーション 井下奈穂子さん)
「コロナ禍で国内旅行にお客さまの目が向いてきていると思うので、次は女満別を選択肢に入れてもらうためにも、今のこの機会をいかして北見エリア、オホーツクの地域の魅力を収集して発信していきたいなと改めて感じました」

(8月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『コダワリ』より)

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