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国際的志向な高校生の"進路選択"にコロナが影響?『国際バカロレア』教育取り組む学校の今

2021年07月09日(金)放送

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日本学生支援機構の調べでは、日本人大学生の海外留学は年々増加傾向にありましたが、2019年度は前年度から減少しています。2020年度のデータはまだ公表されていませんが、世界的な新型コロナウイルス感染拡大で、大幅に減少するとみられます。海外で学びたい高校生はコロナ禍でどんな進路を選んでいるのでしょうか。生徒の半数が海外進学をするという高校を取材しました。

英語で「ビジネスマネジメント」の授業 宿題も英語で提出

京都府宇治市にある立命館宇治高校。3年生の「IBコース」をのぞいてみると、授業は全て英語で行われていました。

(英語で会話する生徒)
「マクドナルドの店舗を運営しているとして、ほかの国で展開しようと思ったときに、M&Aという手段は…」

生徒同士の会話も英語で行われていますが、これは英語の授業ではなく「ビジネスマネジメント」の授業で、経営統合や業務提携について学んでいました。
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生徒に宿題を見せてもらうと、全て英語で書かれている上、内容も大人顔負けです。

(立命館宇治高校IBコース 3年・南井彩花さん)
「私は資生堂の事業売却について書いています」
(立命館宇治高校IBコース 3年・政井理実さん)
「美術の授業の課題なのですが、ひとつひとつの絵画の意味合いなどを調べ、色使いや構成などを分析して、共通点・相違点を表現しています」
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この立命館宇治高校のIBコースでは、毎年半数ほどの生徒が海外の大学を目指すといいますが、コロナ禍で渡航制限が出されている今、卒業生たちはどのような進路を選んだのでしょうか。

コロナ禍で選ぶ海外大学?国内大学?

立命館宇治高校のIBコースを今年3月に卒業した岡田紋佳さんに話を聞きました。

―――コロナで海外大学への志望が揺らぐことはなかった?
(岡田紋佳さん)
「少し不安に思った時もありましたが、コロナだから大学進学を諦めるというのは、大きな壁にはならず、昔から抱いていた夢を貫きたいなって」
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実は、渡航制限がある中でも隔離期間などを設けて海外の学生を受け入れている国もあり、岡田さんも今年9月にアメリカの大学に入学して「認知科学」を学ぶことが決まっています。将来を考えた1年。コロナ禍だからこそ得るものがあったといいます。

(岡田紋佳さん)
「友達と毎日会えるという当たり前だけど当たり前じゃないことにあまり気づかずにこれから生きていたんじゃないかなと思って。大学に対して『これを学びに行きたい』という気持ちはすごく強くなりました」
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一方で国内の大学を選んだIBコースの卒業生もいます。鶴身健人さんが通っているのは早稲田大学です。鶴身さんは去年の夏までは海外の大学を目指していましたが、最終的に国内での進学を決めました。

(鶴身健人さん)
「コロナの状況もあり、家族の状況も少しだけありました。僕1人で海外に行くとなったら親も心配して」
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鶴身さんが選んだ早稲田大学の国際教養学部の授業は大半が英語で、留学のプログラムも充実しているそうです。

―――海外の大学に進学した友人のことはどう思う?
(鶴身健人さん)
「僕ももしかしたら海外に行けたのかなと、たまに考えます。海外の大学のような経験ができる大学生活が送れるんじゃないかと思って早稲田大学の国際教養学部を選びました。後悔とかうらやましさもまったくないです」

世界での活躍を夢見る生徒たちが学ぶ「国際バカロレア」

彼らが高校で学んでいたのは『国際バカロレア』という教育です。カリキュラムや成績の付け方などに国際的な基準があり、高校で一定の成績を収めると世界2000以上の大学への入学・受験資格が得られます。

(立命館宇治高校IBコース 南井彩花さん ※オーストラリアの大学を目指す)
「このコースを修了したら、いろんな大学に申し込める切符みたいなパスポートみたいなものがもらえると思ったら、自分の頑張りを世界基準で認めてもらえる」
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そんな生徒たちの夢を聞きました。

(立命館宇治高校IBコース 南井彩花さん)
「自分が得意だと思っているビジネスのデータ分析をもっと極めていきたいと思っています」

(立命館宇治高校IBコース 杉本一陽さん ※アメリカの大学を目指す)
「将来の夢は宇宙飛行士になることで、そのために僕は宇宙工学を学びたいです」

来年こそ新型コロナウイルスの状況に左右されず海外に進学できる事を夢見て学びを深めています。

100年の伝統誇る公立高校もバカロレア教育を導入 その理由は?

一方、美しい農村風景が残る滋賀県長浜市にある滋賀県立虎姫高校。100年の伝統を誇るこの学校の“名物”は中庭にあるそうです。
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(滋賀県立虎姫高校 梅本剛雄校長)
「これが賢くなる水です。字の通り飲んだら賢くなるんです」

そんな伝統の“賢くなる水”に加え、去年新しく生まれた“名物”があります。

(滋賀県立虎姫高校 梅本剛雄校長)
「国際バカロレアというカリキュラムがひとつの大きな特徴ですね」
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実はバカロレア教育は地方の公立高校でも広がりを見せています。虎姫高校では一期生7人が学んでいます。国内にあるバカロレア認定校はこの4年で2倍に増えました。「文学」の授業ではプレゼンやディスカッションを通じて多様性のある見方を学び、その後、ひとりひとりが作品の中から感じ取った社会問題を書き出します。
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(滋賀県立虎姫高校 2年のIB生)
「(野田秀樹『赤鬼』から)私は多様性とか人種差別とかを読み取りました。(作品を)社会につなげて考えることができたりするので、身近な感じがしていいと思います」

こうした学びで生徒たちにも変化が生まれています。

(滋賀県立虎姫高校 2年のIB生)
「自分の考えを順序立てて説明するというか、思考力が身についたかなと思っています」
「(以前は授業で)聞きたいことがあっても聞けない感じでしたし、そもそも疑問がわかないことも結構ありましたが、質問をする回数が増えたかなと」

ところで虎姫高校はなぜバカロレア教育をはじめたのでしょうか。

(滋賀県立虎姫高校 梅本剛雄校長)
「南下南下、南の方にいく傾向があります。生徒も若干南に行く傾向があります」
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高校生の「南下傾向」。滋賀県では2006年度から県立高校の通学区域が廃止されました。これを受けて、交通の便がいい県の南部に受験生が流れたそうで、出願倍率の高い高校は南に集中しています。県の北部にある虎姫高校は名門とはいえ厳しい状況に置かれています。
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(滋賀県立虎姫高校 梅本剛雄校長)
「滋賀県の中で国際社会に活躍できる人間をなんとかこの地で育ててみたい。より学校の魅力づくりと地域の活性化につながるということで導入に至りました」
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私立のバカロレア校では学費が年間100万円ほどかかるところもありますが、公立の虎姫高校では年間12万円ほどに収まります(※いずれも初年度費用など含む)。住む地域や家庭環境にかかわらず世界基準の学びができるようになれば、日本から羽ばたく人が増えていくかもしれません。

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