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建物の面積は駐車場たった1.7台分!?「H形鋼」をフル活用しコンパクトハウスの難点を克服【住人十色】

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 舞台は愛知県名古屋市。あるものを大胆に活用することで狭さを克服した、駐車場1.7台分のコンパクトハウスを紹介する。 住人(アルジ)は、夫妻ともに建築家の3人家族。2年前、妻がメインとなって設計し新居を建てた。住宅街の角地に建つ細長い形の家は、間口2.3メートル、奥行き10メートルで、建物の面積は7.8坪。駐車場わずか1.7台分の大きさだ。

駐車場1.7台分の大きさしかないコンパクトハウスの中とは!?

 コンパクトな玄関を入った1階は、ひとつながりになった明るいリビングダイニングキッチン。室内は鉄骨がむき出しになっている。実はこの、断面がHの形をした「H形鋼」という鉄骨が、家の狭さを克服した秘密なのだという。

 賃貸マンションで暮らしていた住人(アルジ)夫妻は、子どもの小学校入学に合わせて名古屋市内に新居を計画。調べたところ、名古屋では狭小地は人気がなく、便利な場所でも売れ残って値段が下がることもあるという。そこで狭小地に絞って土地を探すと、なんと相場の40%オフで手に入れることができた。

家の柱として張り巡らせた『H形鋼』を工夫し、生活の一部に取り入れる家

 そして、建築家夫妻が選んだ工法が、鉄骨造。木造では柱や梁を細かく配置する必要があるが、丈夫な鉄骨にすると木造の約半分の部材で支えることができ、空間を広く使うことができる。

 さらに、10センチ角のH形鋼を、壁で覆わずむき出しにして使用。普通の木の柱よりも細く圧迫感がないため、視覚的にも空間が広く見えるという。しかもH形鋼にはくぼみがあるので、スイッチボックスを隠して入れたり、植物を吊るすこともできる。

 また、壁は有孔ボードを使用。穴にフックを取り付け、服や物をかけて収納としても使えるようにしている。

キッチンや寝室ではH形鋼を収納に活用!?

 狭小ながらすっきりとしたキッチンの背面にあるのは、妻がDIYした収納棚。H形鋼の厚み10センチの間にベニヤ板を渡して簡易収納を作った。奥行き10センチの棚には、2リットルのペットボトルや油、マグカップやグラスなどがぴったりと収まる。物が重ならず一列で置けるので、取り出しやすいというメリットも。

 寝室がある2階もH形鋼がむき出し。寝室の隅に設けたファミリークローゼットでは、H形鋼にハンガーラックを取り付けて服を収納している。

家に1つしかないエアコンの風を2階建ての家全体に届ける方法とは?

 クローゼットで気になるのが、縦に伸びる大きなダクト。実は家にはエアコンは1台しかなく、1階のエアコンの空気をこのダクトで吸い上げて2階に届けるようになっている。そんな家中をまかなうたった1台のエアコンがあるのは、なんとキッチンのシンクの下。床下に向けて風が届くよう取り付け、床下から天井付近まで風を送ることで全館空調システムを実現している。エアコンを床下に隠すことができたのも大きなメリットだ。

狭小を克服するなど『H形鋼』の活用方法がどんどん広がる家

 H形鋼で狭小を克服した家。夫は、H形鋼の魅力を「くぼみがあるところ」だと語る。妻も「ずっと見ていると、『こういう使い方もできるかも』というのが浮かぶので、これからも工夫しながらいろいろ使えるんじゃないかなって」と言い、まだまだ活用方法を考えている。

 狭小なのにどんどん可能性が広がる家。H形鋼の“H”はHAPPYのHなのかもしれない。

(MBS『住人十色』2025年5月17日放送より TVerでも放送後1週間配信中)

2025年05月16日(金)現在の情報です

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