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寒い日の熱いお風呂に注意!『ヒートショック』を防ぐ4つのポイント 「湯はり時に浴室を暖めておく」「入浴は41℃以下、浸かるのは10分以内」...気象予報士が解説

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 寒い日にはお風呂に入ってホカホカに温まりたい!…ですが、この寒い時期の“熱いお風呂”にはご用心ください。「ヒートショック」につながる場合があります。天気と健康の関わりについての知識を有する「健康気象アドバイザー」の資格を持つ気象予報士・前田智宏さんにヒートショックのメカニズムや防止ポイントを詳しく聞きました。

血圧の急激なアップダウンが引き金に!ヒートショックのメカニズム

 ヒートショックは、温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することによって引き起こされます。高齢者に発生が多く、命に関わることもあります。さらに実は、ヒートショックなども含めたお風呂場での事故で亡くなる人は、交通事故で亡くなる人の数よりも多いとも言われているということです。

 では、ヒートショックは、そもそもなぜ発生するのか、前田さん聞きました。ヒートショックのメカニズムはこうです。この時期、しっかりと暖房を効かせて暖かい状態にしている居室。そこから移動してお風呂に入ろうとしますが、脱衣所やお風呂場は冷えているのではないでしょうか。寒いと体が熱を逃がさないようにするために血管がきゅーっと収縮します。そうなると、血の流れが悪くなるため血圧がぐんと急上昇します。その状態から温かいお風呂に浸かると、今度は血管が開きます。すると、急上昇した血圧が、今度は急激に下がる。このアップダウンの激しさによって心臓などに負担がかかってしまい、心筋梗塞や命に関わる不整脈、脳梗塞や脳出血といった症状につながってしまうということです。

 温かいお風呂に入っているとめまいがしたり意識を失ったりすることがありますが、それによって転倒して頭を強く打ったり、お風呂に張った湯で溺れてしまったりするような事故につながる危険もあります。

『家の中の寒暖差を小さく』が重要

 また、ヒートショックは外の寒さが直接の引き金になるわけではなく、“家の中の寒暖差”が重要なカギになってくるということです。そのため、前田さんは、トイレへ行く前やお風呂に入る前にちょっと暖房をつけて暖めておき、屋内の温度差を小さくすることがヒートショックを防ぐ上で重要だといいます。そして、意外と盲点なのが脱衣所や廊下です。断熱シートやヒーターを使ってしっかり暖めておくことが大事だということです。

ヒートショックを防ぐためには?4つのポイント

 そのほか、ヒートショックを防ぐ4つのポイントをまとめてもらいました。1つ目のポイントは、入浴中の事故が多いということで『湯はり時に浴室を暖めておく』。浴室暖房もひとつの手ではありますが、お風呂を張るときに浴槽にシャワーでお湯をためると蒸気が立つので、その蒸気で風呂場を暖めることができるといいます。蓋をせずにお湯をはるのも方法のひとつです。

 2つ目のポイントは『入浴前に水分をとり、飲酒後の入浴は避ける』。これは脱水症状を防ぐためです。血流がドロドロになると詰まりやすくなります。お風呂に入った後に水分をとる人は多いと思いますが、入る前にもしっかり水分をとってほしいということです。

 そして3つ目のポイントは『入浴は41℃以下、浸かるのは10分以内』です。42℃以上になると血圧が急上昇したり、脈が速くなったりして、血栓もできやすくなってしまうため、ちょっとぬるめを心がけて長風呂はなるべく避けるようにしてください。長く浴槽に浸かりたい場合は、なるべく半身浴にする、肩まで浸からないようにするなどの工夫をしてほしいということです。

 そして最後、4つ目のポイントは、高齢者の方は特に『入浴前に家族にひと声かけておく』。もし何かあった時に駆けつけてもらえるように、異変に気づきやすくしておくことが重要だということです。

2024年12月06日(金)現在の情報です

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