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マスク拒否おじさん「強制圧力は下がってきた」高まる脱マスク論争...最終的に決めるのは『専門家?政治家?』

2022年05月13日(金)放送

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 最近あちこちでにわかに語られ始めた“脱マスク”。政治家や分科会、専門家から様々な意見が飛び交っています。そんな中、今回、政府分科会のキーパーソンである大阪大学の大竹文雄特任教授や、かつて飛行機の中でマスク着用をめぐって世間を騒然とさせた奥野淳也被告を深掘り取材しました。

急激に高まる“脱マスク論争”…医療界の中でも意見が分裂

 4月20日、日本医師会の中川俊男会長の“ある発言”が波紋を広げました。

 (日本医師会 中川俊男会長)
 「結論から言いますと、マスクを外すのは新型コロナウイルス感染症が終息した時だと思っています。ですから、ウィズコロナの状態でマスクを外す時期は日本において来るとは思っていません」

 日本医師会のトップから飛び出した“脱マスクははるか遠く”とも言わんばかりの発言。
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 一方で同じ医療界から“屋外では外してOK”という発言も相次いでいます。

 (国立感染症研究所 脇田隆字所長)
 「熱中症のリスク、あるいはコミュニケーションが取りにくくなるということもありますので、屋外で人との距離が十分にあるような場合ならマスクを外すということが推奨されると思っております」
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 (東京都医師会 尾﨑治夫会長)
 「屋外では今後の着用の見直しというのをしていってもいいのではないか」
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 定まらない日本をよそ目に“脱マスク”を加速させる海外。フランスではオミクロン株対策で導入されていた屋外でのマスク着用義務を今年2月に早くも解除しました。

 (フランスの街の人)
 「外なのにマスクを着けるなんて意味がわかりません」
 「義務化したり解除したり。着けたいときに着け、そうでない時は外します」

 さらに、5月16日からは地下鉄など公共交通機関での着用義務も解除されることになっていて、脱マスクは屋内にも及んでいます。

ボールの投げ合いが続く政治家と専門家

 一方、日本では街中でノーマスクの人を見つけるのはいまだに至難の技です。“お上に従う国民性”。ならば政治がメッセージを発するべきなのか…?

 (立憲民主党 川田龍平参院議員)
 「G7では総理はマスクをしていなかったと思うのですが、マスクについてはいつ外せるのでしょうか?」
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 (岸田文雄総理大臣)
 「今の段階でマスクの着用を緩和することは現実的ではないと政府としては考えています」
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 岸田文雄総理は、外遊では各国首脳と近距離でもノーマスクを謳歌したものの、国内では相変わらず常にマスク。
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 突破力が売りの河野太郎衆院議員も4月29日に「よんチャンTV」に出演した際には次のように話しました。

 (河野太郎衆院議員)
 「(Q脱マスクの基準となってくるのは何だと思われますか?)これはやっぱり専門家のみなさまの判断を受けて、政府が(国民に)『こうしてください』というお願いをすることになるのではないかなと。重症化を防ぐ飲み薬がまだまだ国内では数が限られていますから、それがかなり潤沢に行き渡るようになれば、『そろそろマスクをどうしようか』という議論ができるのではないかと思います」

 個性的なマスクも気に入っているのか、早期の脱マスクについては“慎重”です。
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 ボールを専門家に託したい政治。しかし専門家側も合意形成が難しくなってきています。

『分科会の専門家だけ一つの提案をできるような状況ではもうない』

 今回、取材班は政府分科会のキーパーソンである、大阪大学の大竹文雄特任教授を深掘り取材しました。大竹教授はマスク着用について「緩和に舵を切るべき」という立場です。教授自身も、キャンパスに自転車で通勤する際、ノーマスクだといいます。
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 (大阪大学・感染症総合教育研究拠点 大竹文雄特任教授)
 「分科会の専門家だけで一つの提案をできるような状況ではもうない。マスクってやっぱり象徴的だと思うんですよね。やっぱり、この感染症を過剰に怖がると、私たちの社会経済活動を元に戻すというのはかなり難しくなるんですね。したがって意味のない社会規範というのは見直していくということが大事だと思います」

 しかし政府分科会は屋外での脱マスクについて踏み込んだ見解は示していません。
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 (大吉洋平アナウンサー)
 「分科会の中でも、いわゆる医療系の方々と、大竹教授のような経済系の方々との間で意見はおそらく大きく分かれているんだろうなと勝手に想像しているのですが、今の議論の雰囲気というのはどんなものなんですか?」

 (大阪大学感染症総合教育研究拠点 大竹文雄特任教授)
 「医療系の方々ももちろん『感染防止と無関係のマスクはしなくていい』ということはおっしゃっています。ただ一方で、それを強く言い過ぎると一気にみんなが屋内やリスクの高いところでもマスクを外すようになるのではないかと危惧をされているところがあります」

 (大吉洋平アナウンサー)
 「この感染症に対する様々なポイントって、専門家と政府との間で『そっちが決めてよ』というボールの投げ合いがずっと行われているように見えるのですが、この辺りの悪循環というのはどうすれば変わってくるものなのでしょうか?」

 (大阪大学感染症総合教育研究拠点 大竹文雄特任教授)
 「やはり一つの提案をして欲しいという意見は政策担当者からはあるとは思います。しかし、私自身は選挙で選ばれているわけではないので、国民の意見を代表しているわけではない。こういう価値観に基づいてこの政策を取るということを決めるのはやはり政治だと思います。そこの役割分担をしっかりした方がいいというのが最近の分科会の動きなんですね」

なぜ私たちはマスクを着けるのか…心理学部の調査結果

 ボールの投げ合いが続く政治と専門家。一方、JNNが5月7日・8日に行った世論調査では、マスク着用の一律の推奨について、「維持するべき」だと思う人が75%にのぼっています。
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 (街の人)
 「(Q海外だとマスクを着けているという選択もあれば着けていない人もいて、それぞれが混在しているような国もあるが、日本はどうですか?)普段から風邪をひいたらマスクを着けるという習慣があるので、ほかの国と比べたら脱マスクは遅そうな気がします」
 「(Q天神橋筋商店街の周辺をマスクなしで歩けますか?)無理です。周りの人が全員着けているし、ほぼ全ての人が着けているじゃないですか。自分だけ着けていなかったら、『なんでこの人は着けていないんやろ』みたいな目にもになるし」
 「自分もやっぱり着けていない人を見たら見ちゃいますし、チラッと。それに対してどうこう思うとかはないんですけれども。そういうのは今のご時世では目立つので、悪目立ちはやっぱり好きじゃないですし」
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 心理学の世界では、私たちがなぜマスクを着けているかの“本質”を浮き彫りにする結果が出ています。同志社大学の研究グループが「自分の感染防止」「他者への感染防止」「感染時の症状の重さ」「同調」「衝動的実施」「不安緩和」の6つの項目についてマスク着用との結びつきを調べたところ、「同調」が断トツで強く、その次に「不安緩和」がランクイン。感染防止とマスク着用の間にはごく弱い結びつきしかなかったのです。
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 (同志社大学・心理学部 中谷内一也教授)
 「ほかの人たちが着けていることが気になる、ほかの人たちの様子が気になるから着けるのであって、これを着けることによって自分がかからないとか、ほかの人にうつさないからというマスク着用の本来の理由よりも対人的な理由の方がむしろ強かった。それからもう一つはとりあえず何か着けておけば不安を緩和できるというのが強かったですね」

世間を騒然とさせた“マスク拒否おじさん”『圧力自体は少しずつ下がってきている』

 一方でノーマスクを貫く“あの人”にも聞いてみました。
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 かつて世間を騒然とさせた奥野淳也被告(35)。2020年9月に、飛行機の中でマスク着用を求められたもののかたくなに拒否。さらに女性乗務員に暴力を振るい臨時着陸させたなどとして逮捕・起訴され、大阪地裁で初公判を控えています。

 (奥野淳也被告)
 「(Q徐々に奥野被告も生活しやすくなった、街を歩きやすくなったというような感覚はありますか?)『マスク圧』『マスクを着用しろ』という強制の圧力自体は少しずつ下がってきているのかなと思います。今も私はマスク着用をせずに生活していますが、それでもあまり大きな問題が起こらなくなってきたように思っています」

 徐々に高まってきた“脱マスク論争”については次のように語りました。

 (奥野淳也被告)
 「(コロナ禍が)10年後なり20年後なりにどのように振り返られるかということはまだわかりませんが、社会が同調圧力でマスクの着用をいろいろな人に押し付けていたことが、やはり冷静な目で見るとおかしかったのではないかというふうに評価される時代が、もしかしたら来るのかなとも思っています」

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