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いつ飛んでくるかわからない"ミサイルの脅威"...「地下街」や「学校の地下体育館」が『緊急一時避難施設』に指定 有事への備え進む一方で課題も

2022年04月21日(木)放送

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 ロシア国防省は4月20日、新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功したと発表しました。北朝鮮も今年に入り相次いでミサイルを発射しています。こうした中、関西でも地下の避難施設の指定が進んでいます。その一方で、さまざまな課題も見えてきました。

実は『緊急一時避難施設』に指定されている地下街…市民「知らなかった」

 ロシアの新型ICBMや北朝鮮の相次ぐミサイル発射。こうした脅威に備え、日本政府は約4年ぶりに住民も参加する地方自治体と共同の避難訓練を再開する方針を明らかにしました。ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナでは、攻撃を逃れるため住民が地下鉄に避難。関西でも地下の避難施設の整備が進んでいます。

 ただ、街で聞いてみると…。

 「(Q逃げる場所は想定している?)えー、ない。でも大事ですよね、そうやってぱっと逃げ込める場所があるというのは」
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 神戸市では今年2月、ミサイル攻撃などの爆風から一時的に逃げ込める場所として、市内の地下施設47か所を「緊急一時避難施設」に指定。神戸三宮の地下街『さんちか』も指定されました。民間施設も指定されるのは全国で初めてです。
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 「さんちか」はブティックや喫茶店などの店もありますが、なぜ指定できたのか。その背景について、神戸市の担当者は次のように話します。
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 (神戸市危機管理室 谷敏行担当係長)
 「神戸市は、やはり阪神・淡路大震災で被災した経験がありまして、もともと神戸の事業者のみなさんは防災に対して非常に協力的な企業が多い」

 さんちかを行き交う人たちに、避難場所の認識があるか聞きました。

 (神戸市民)
 「えー、知りませんでした。こういう時やから、(ミサイル攻撃が)怖いという話はしていたんですけど、自分が避難するということまでは考えたことなかったです」
 「全然知らなかったです。もうちょっと周知してほしい感じがしますね」

“有事に対する訓練”は一度も実施したことがなく「まだまだ不安」

 大阪には、学校に緊急一時避難施設があります。取材班が訪れたのは、大阪市阿倍野区の「桃山学院中学校高等学校」です。2009年から緊急一時避難施設に指定されているという校舎の地下に案内してもらいました。
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 地下1階に設けられていたのは、吹き抜けの体育館です。鉄筋コンクリート製で、耐震・耐火構造になっています。
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 ほかにも地下の駐車場・倉庫・廊下を合わせ、約2000人の一時避難が可能だといいます。倉庫には大阪市が管理する食料などの備蓄も完備されていました。しかし…。
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 (桃山学院中学校高等学校・防災センター所長 甲斐健一郎さん)
 「(Qミサイルなど有事に対する備えは?)どういうふうにこちらも体制を整えればいいのか、シミュレーションを行っていないところで、まだまだ不安なところがあります」

 実は“有事に対する訓練”は一度も実施したことがありません。
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 大阪市では「関大北陽高校」「大阪信愛女学院高校」「桃山学院中学校高等学校」「早川福祉会館」の4か所の地下避難施設が指定されていましたが、どれも10年以上前に指定されたものだったといいます。

大阪メトロの駅舎99か所を避難施設に指定

 そんな中、新たな動きがありました。

 (大阪市 松井一郎市長 4月7日)
 「大阪メトロの駅舎99か所を地下の避難施設に指定致しました。間違って、いつどこに飛んでくるかもうわからんよね。市民のみなさんからも『その場合どこに避難するの?』と問いかけがあったので」
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 大阪市の地下の避難施設はこれで103か所になりました。しかし、本当に避難所として機能するのか。課題は残されています。

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