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「行先のない遺体」「支援物資を届けた先で爆撃」...ウクライナで取材続けるジャーナリストが語った激戦地の現実『地獄のような光景』

2022年04月20日(水)放送

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 ウクライナで取材を続けている香港出身のジャーナリストのクレ・カオルさん。首都・キーウやハルキウ、ブチャなど各地を取材しています。今回、カオルさんが撮影したウクライナ各地とその周辺の現在の姿についてまとめました。

行先のない遺体や死体の臭い…『地獄のような光景』

 (クレ・カオルさん)
 「ブチャの中央教会に来ています。教会には行き先のない遺体が100人以上埋まっていると言われています」
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 大量虐殺があったとされるブチャやボロディアンカなど最前線で取材を続けるジャーナリストのクレ・カオルさん(36)。

 (クレ・カオルさん)
 「(Qボロディアンカの今の様子は?)街中、建物のがれきの近くには死体の臭いがかなりしていますね。地獄のような光景です」
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 この日、カオルさんが訪れたのはロシア軍が撤退したキーウの動物園。動物を避難させることは難しいため、飼育員たちが約4000頭(約200種)の動物たちの命を守り続けていました。

 (クレ・カオルさん)
 「(攻撃があった時は)動物たちを守るために壁に藁などを詰めて動物が驚かないようにしたり、よく眠れるように睡眠剤みたいなものを打ってあげたり(していた)」
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 エサはあらかじめ準備していたものがありましたが、毎日大量のエサが必要となるため、なんとか足りてはいるものの十分とはいえません。

 (動物園の飼育員)
 「(Q象は1日にどのくらいエサを食べるのですか?)毎日、約100kgのエサが必要です」

激戦地へ支援物資を届けるボランティアたち

 一方、避難している人々の状況も変わりつつあります。

 (クレ・カオルさん) 
 「ルーマニア国境の町シレトです。ルーマニア側ではたくさんのボランティアのテントが張ってあります」

 これまで大勢の避難民がポーランドに向かっていましたが、混雑を避けるため、最近はルーマニアへ向かう人が増えているといいます。
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 ルーマニア北部にある倉庫には世界中から毎日、救援物資が届きます。
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 それを届けるのがウクライナで支援を続けるボランティアたちです。そのひとりでウクライナ・ハルキウ出身のサーシャ・カヴェリナさん。東京で働いていましたが、ウクライナに戻りボランティアをしています。

 (サーシャ・カヴェリナさん)
 「(Q今どこに向かっているんですか?)ウクライナ人に対して重要な医療品を買うために、ルーマニアの薬局に向かいます。(Qどんな薬が必要になっているんですか?)甲状腺の薬です。この薬を毎日使う人はウクライナにたくさんいるから」
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 サーシャさんは、ルーマニア国境から車で30分ほど離れたウクライナのチェルニウツィーから薬の買い出しに来ていました。長い時には1週間ほど滞在し、薬をかき集めることもあるといいます。
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 (サーシャ・カヴェリナさん)
 「(Q薬を買うお金はどこから出ているんですか?)日本で一番大きいウクライナ人のNPOからお金をもらっています。温かい言葉だけではなくて寄付をしてくれる方が多いです。ありがたいことに」

 薬がそろうと再び国境を越えてウクライナへ。

 (サーシャ・カヴェリナさん)
 「(Qルーマニアでもらった物資をどこに送りますか?)ハルキウに送ります。(Qこの車で送りますか?)この車じゃないと思います」

移動距離は約1000km…ハルキウに物資を届ける危険な長旅

 ロシア軍の攻撃が日に日に激しさを増すウクライナ第2の都市ハルキウ。こうした危険な地域への輸送は限られた人数のボランティアで行っています。支援物資を各地に配送しているウクライナ西部チェルニウツィーのボランティアセンターでは…

 (ボランティアスタッフ)
 「(Qこのボランティア団体にはどのくらい人がいる?)300人くらい。これに加えて毎日70人以上のボランティアが動いています。(Q時には危険な場所にも配送しますか?)もちろんです」
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 カオルさんもハルキウに食料などの支援物資を届けるトラックに同乗し、配送ボランティアに参加することにしました。移動距離は東へ約1000km。いつ何が起こってもおかしくはない危険な長旅です。
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 途中、宿で休息を取りながら慎重に進んでいきます。立ち寄った場所では…

 (クレ・カオルさん)
 「ただいまカミヤンキの村にいます。村の司祭や村の人たちが寄付したジャガイモを車に運んでくれています」

 様々な場所に立ち寄る度、「激戦地へ届けてほしい」とたくさんの農作物が積み込まれていきます。人々の思いで埋め尽くされた荷台。

到着したとほぼ同時に中心部で爆撃…『安全な場所はない』と言われるハルキウの現実

 ハルキウへ向け進むこと4日目。

 (クレ・カオルさん)
 「4日目の午後あたり、ようやくハルキウに入ることになりました」

 無事、支援物資を届けることができましたが、そこで待っていたのは…

 (クレ・カオルさん)
 「2時間前にハルキウに着いたばかりですが、実は着いたと同じくらいの時に、ハルキウの中心部、駅のところに爆撃がありました」

 これが『安全な場所はない』と言われるハルキウの現実です。
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 (クレ・カオルさん)
 「花が咲きましたが、この地域にはほとんど人が住んでいません」

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