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自転車で楽しむ『丹波篠山の桜』...観光協会の"大型観光バスに依存しない"新たな取り組み コロナ禍3度目の春は勝負の春!

2022年04月07日(木)放送

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 兵庫県の丹波篠山といえば、黒豆・松茸・栗・猪肉など山の幸が有名です。また、桜の風景も名物で、「篠山城跡」の1000本以上のソメイヨシノをはじめ、市内各地に桜の名所があちこちにあります。しかし、春の一大イベントである篠山城跡の「さくらまつり」は、新型コロナウイルスの影響で3年連続で中止に。イベントの際には多くの大型観光バスが来ていたため、観光客が減り大きな打撃となっています。ただ、今年はコロナ3年目。『大型バスの依存から何か新たな観光の足を打ち出せないか』と、観光協会は取り組みを始めています。

3年連続で『さくらまつり』が中止に…大型観光バスも激減

 兵庫県の丹波篠山市。豊かな自然と古い町並みが残る城下町です
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 「丹波篠山観光協会」の広報・今井めぐみさん(39)は、桜の開花時期に丹波篠山市から大役を任せられているそうです。
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 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「これが開花の基準木で、これが咲き始めると開花宣言になります。それを私が報告するんですよ。だから基準を決める人」
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 例年1万人が来場する春の一大イベント「さくらまつり」は、新型コロナウイルスの影響で3年連続の中止が決まりました。

 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「去年おととしとバスがほぼゼロに近いような形ですので、大型バスの観光は4月は今年も期待が難しいかなと」

 コロナ前の4月には、大型バスが170台以上来ていたということです。

立ち止まって思いをはせる…“自転車を利用した新たな観光スタイル”に挑戦

 ただ、コロナ禍3度目の春は“勝負の春”。今井さんはバスに依存しない新たな観光スタイルの定着に向けて動き出しました。頼ったのは地元の自転車ショップ「自転車工房ハイランダー」の村上大輔さん(33)です。
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 2人は桜の名所を自転車でめぐるコースづくりのため、早速、市内を下見します。
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 今井さんがコースにぜひ盛り込みたいという一押しの桜は、篠山川沿いにある樹齢100年を超える「ソメイヨシノ」です。

 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「般若寺の桜といったら、地域の人はみんな知っているスポットですね」

 (今井さん)「『サクラ』『ウィキ(ペディア)』で検索したら、般若寺の桜の全盛期がでてくる」
 (村上さん)「篠山川のソメイヨシノ。ほんまや、すげー」
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 続いて、駅から約4km、村上さんお勧めのスポットへ向かいました。

 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「すごい、咲いたら本当にすごそう」

 道路の両サイドから頭上を覆うように続く桜。開花すると圧巻の“桜のトンネル”になるそうです。
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 (自転車工房ハイランダー 村上大輔さん)
 「なかなかないですよね。間違いなく一番お勧めスポットです。穴場ですね」
 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「見るだけで楽しいじゃなくて、そこで写真を撮るというところがここ数年はすごく大事なので。立ち止まれない桜スポットは魅力が半減しちゃうんですよ。桜もいいし止められるし、というところがすごく大事ですね」

 地方都市は、駅から観光スポットまでの2次交通が発達していないため、それを自転車で補おうというのです。車に比べて自由に止まれるのも魅力のひとつです。
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 野生の生き物に思いをはせるなど、自転車ならではの発見もあります。今井さん、観光客に発信するイメージがわいてきたようです。
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 次の目的地は、古民家を改装したカフェ「Sun Rice Kitchen」。店先には自転車利用を促そうと市がスタンドを設置していました。
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 (自転車工房ハイランダー 村上大輔さん)
 「ロードバイクとかはスタンドがついていないので、ひっかけて自転車を置いておくという感じですね」
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 「予約が取れない」と言われる人気のヴィーガン料理店にやってきたワケは?

   (今井さん)「『お花見弁当』はどんな感じで進んでいますか?」
 (店のスタッフ)「桜をイメージして、華やかな感じでというか…」

 例年なら、まつりの会場で各店が販売していた彩り鮮やかな「さくら弁当」。今年はサイクリストらが立ち寄るきっかけになるよう、店で販売することになりました。
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 現場を見て回り、コースに反映させます。

 (村上さん)「昔の国鉄の線路跡の所で食べてもいいかな」

桜を“例年と違う楽しみ方”で満喫する春

 4月3日、いよいよ桜が咲き始めました。週末の篠山城跡は、多くの観光客でにぎわっていました

 (観光客)
 「桜ってウキウキしますからね」
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 今井さんが期待していた自転車の客はどうだったのでしょうか。JR篠山口駅前のレンタサイクルスペースには利用状況が気になる今井さんの姿がありました。

 (今井さん)「桜でくる方いますか?」
 (スタッフ)「天気予報が悪いから少ないやろ」
 (今井さん)「きのうどうでしたか?」
 (スタッフ)「きのうはアカン。20台くらいやな」

 電車の利用者は少なく、取材中に自転車を借りる人はいませんでした。それでも…。

 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「サイクリストとすれ違う数が増えてきたなと感じているので、桜を見に来てくれているのかなという感じはします」
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 確かにサイクリストの観光客の姿はありました。

 (サイクリスト)
 「(Q桜は見ました?)見ました。めっちゃきれいです!」
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 そのころ、村上さんは自転車で桜をめぐるスタンプラリーをアテンドしていました。訪れたのは「オカメザクラ」の並木道。早咲きでソメイヨシノより色が濃く、ほぼ満開を迎えていました。

 (参加者)
 「むっちゃきれいだと思いました。町を感じながら走れたからよかったと思います」
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 そして4月6日、今井さんたちのお勧めスポットも満開に。ウィキペディアにも掲載され、凛とした立ち姿が印象的だった般若寺の古木。最盛期ほどの勢いはありませんが、懸命に花を咲かせました。
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 どこまでも続く並木道。丹波篠山の原風景です。
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 そして、道の両サイドに桜が立ち並ぶあの場所は、文字通り“桜のトンネル”でした。

 (観光客)
 「自然の中に溶け込んでいるっていう感じ。桜きれいですね」
 「最高です。いい天気に恵まれて」

「自転車を観光のひとつとして選択肢にいれてもらえたら」

 コロナ禍で旅のあり方が変化する中、いかに地域の魅力を発信していくのか。今井さんは持続可能な地方観光のひとつとして“サイクルツーリズム”を定着させたいといいます。

 (丹波篠山観光協会 今井めぐみさん)
 「田舎ともいえるし、豊かな自然ともいえるんですけれども、篠山らしさ、篠山の自然や鳥の声を楽しめる自転車を観光のひとつとして、今まで自転車を選ばなかった人も選択肢にいれてもらえたらいいかなと思います」

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