【ダウ90000・蓮見翔さん執筆】ハラミちゃん編コラム

推しといつまでも

2023/06/02 18:00

毎週月曜よる10時放送中の『推しといつまでも』(全国ネット MBS/TBS系)は、長年心に秘めながら推し本人に伝えてこなかった熱い思いや、感謝の気持ちを伝えるきっかけの場となるような様々な企画をお届けする番組です。

『推しといつまでも』では、特別企画として<読む『推しといつまでも』>を期間限定で実施中!様々な業界で活躍する著名人の方が、番組を放送前に見て、率直な感想をコラムとして執筆。今回は、今話題の男女8人組のコント・演劇グループ『ダウ90000』の主宰・蓮見翔さんです!


ハラミちゃん編(ダウ90000蓮見翔)

 この仕事をしていなかったら、僕はこの番組をどう観ていただろう。きっとファンと推しとの一日限りの対面に感動して楽しく観ていたとは思う。だけど今この仕事をしている僕は、ついつい自分に照らし合わせて観てしまっている。
 もともと僕はつい最近まで推す側の人間だった。ここ2年くらいで観てもらう人数も増えて、Twitterを見ていたらアイコンが僕のアカウントがあったりし出している。正直まだ自分のこの立場に慣れていないし、なぜ自分をこんなにも応援してくれるんだろうと思ってしまうこともある。僕は僕を推す理由がわからない。

 そんなときたまたまこの番組を観た。ファンが推しと会う時間を楽しんでもらうためにおもてなしを考えて、実際に会う番組。自分は正体を知らないけど実は自分のことがものすごく好きな人に会える。『天国にもしかしたらあるかもしれない機械』みたいな番組だなと思った。
 
 今回のゲストはハラミちゃん。もちろん知っている人ではあったが番組を観て初めて知った情報もたくさんあった。ほとんどの人がそうではあるけど、みんな何かしらの苦悩を乗り越えて、また新しい壁にぶち当たっている。それは推す側も推される側も同じで、自分一人で解決するのはすごく難しいことだと思う。ハラミちゃんのおかげで辛いことを乗り越えられたと伝えられたことで、ハラミちゃんもなにかを乗り越える糧に絶対になっている。絶対になっていると思えるほど、嘘のない綺麗な空間をテレビで観るという経験は本当にレアだと思う。

 なのにこの番組は毎週そういう映像に出会える。これは多分、今まであまりスポットが当てられていなかった愛の形を目の当たりにしているからではないかと思う。

 自分にとってのスーパースターを推すことが、スターの人間性を知ることにも繋がっていて、スターの中の苦悩を実は一番理解しているのは、本来そういう姿を一番隠さなければいけないとされているファンなのではないだろうか。辛いこと、悲しいことを隠して人々に希望を与える職業なのかもしれないが、なにがあっても応援すると決めたファンの目は、あんまりごまかせないのかもしれない。この番組に出るファンの方々の言葉や行動は、その人が何を言われたら、何をされたら一番自分の本当の気持ちに気づいてくれるかを熟知した上でのものだと感じる。この番組に出ているすごく有名な方々でもファンにそれを見抜かれているのであれば、自分もとっくに内側を見抜かれていて、そこを好きになってもらっているんだと思えて、少しほっとした。

 家族とも友達ともまた違うけど、すごく大きな愛情を感じられるこの番組は、カルチャーが分散して、自分で好きなものを選びやすくなったこの時代だからこそ存在する番組だと思う。ぜひ一度見て、好きなものに好きだということの美しさを再確認してほしい。

蓮見翔 (はすみ・しょう)
1997年4月8日生まれ。東京都出身。ダウ90000主宰。
2020年9月、日本大学芸術学部出身のメンバーを中心に、演劇、お笑い、コント、ドラマなど枠にとらわれない活動をする男女8人組「ダウ90000」を結成し、翌年「M-1グランプリ2021」の準々決勝に進出。また21年、第2回演劇公演「旅館じゃないんだからさ」では、岸田國士戯曲賞の最終ノミネートにも残った。
演劇やドラマの脚本・演出を手掛けるほか、JFN系列「AuDee CONNECT」では水曜日のレギュラーパーソナリティを務める。

番組情報

毎週月曜 よる10:00~

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