MBS 毎日放送

2019年02月23日 12時00分 公開

<センバツ名試合:史上初の快挙!>北陸初の制覇へ 満塁弾2発で強敵粉砕

今年で91回目を迎える春の選抜高校野球。本連載では、「高校野球生き字引」MBS森本栄浩アナウンサーにセンバツの過去の名試合を振り返ってもらう。今回は、2015年準決勝・敦賀気比-大阪桐蔭の試合をピックアップ。前年夏の再戦が直後のセンバツで実現することは珍しい。敦賀気比は、苦い逆転負けの経験を生かし、見事、大阪桐蔭に雪辱した。

夏の再戦は、初回の満塁弾まで同じ
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 前年夏の準決勝、壮絶な打撃戦の末、敦賀気比は大阪桐蔭に敗れた。当時2年生だったエースの平沼翔太(現日本ハム)は初回に5点の援護をもらいながら12失点し、「先輩たちに申し訳ない」と泣き崩れた。リベンジのチャンスが直後の大会でおとずれて、平沼は人一倍、燃えていた。準決勝で気比が先攻というのもまったく同じめぐり合わせだ。
 大阪桐蔭は前年夏に優勝し、この大会も優勝候補の一角だった。準々決勝では、難敵の常総学院(茨城)に逆転勝ちし、チーム状態も上がっている。気比も静岡をサヨナラで倒していて、勢いは互角だった。そして試合は夏同様、気比が初回から先制パンチを浴びせる。2死満塁で登場するのは背番号17の6番打者・松本哲幣(3年)。初戦で3安打を放ったが、2回戦は無安打に終わり、静岡戦ではスタメンを外れていた。得点できるかどうかはその後の展開を左右する。ここで松本は、桐蔭の左腕・田中誠也(3年)から左中間に先制の満塁アーチを架けた。実は、初回の6番打者による満塁弾も夏と同じで、ラジオ実況していた筆者はそのこともしゃべった記憶がある。
 夏はその裏に桐蔭が先頭打者アーチなどですぐさま反撃し、打ち合いの流れを作った。それが痛いほど身に染みている平沼は、桐蔭をあっという間に抑える。この三者凡退からが、夏とは違っていた。気比の打線は勢いが止まらない。2回も下位打者の活躍で加点し、上位へつなぐと、静岡戦でサヨナラ打の3番・林中勇輝(2年)が三塁打で畳みかける。さらに気落ちした田中から連続四球で満塁とすると、ここで再び松本が登場し、春夏の甲子園史上初の快挙が生まれた。

甲子園史上初の連続満塁弾が飛び出す!
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 なんと松本は2打席連続の満塁本塁打を放ち、気比が一気に10-0と大差をつけた。これは100年の高校野球の歴史でも初めての出来事だった。それでも平沼は気を抜かなかった。平沼は打っても4番で、静岡戦では先制本塁打も記録しているが、この試合あたりからは投手としての役割に徹し始める。終わってみれば散発4安打の完封劇で、桐蔭につけ入るスキを与えなかった。夏は下級生だったこともあり、先制してもらって、逆に感情のコントロールができなかった反省がある。試合後、「いつ爆発するかわからない打線。リベンジの気持ちは抑えて、冷静に投げた」と話したように、平沼は、精神的に大きく成長し、11-0の大差で難敵を退けた。
 東海大四(現東海大札幌=北海道)との決勝では緊迫した投手戦となり、平沼の頑張りにまたも松本が応えた。相手にスクイズを失敗させた直後の8回に決勝2ランを叩き込んで、福井県勢にとっては、昭和53(1978)年の福井商の準優勝を上回る、春夏通じて甲子園初優勝を手にした。北陸勢としても甲子園での優勝は悲願で、高校野球100年という節目の年に、新たな歴史の1ページを書き加えた。
 気比は、東哲平監督が京都出身で、松本や林中も京都出身。開会式で短歌を織り込んだユニークな選手宣誓をした主将の篠原涼(3年)は静岡出身と、県外選手が多数を占める。その中で福井出身の平沼は、中学でも同じチームでプレーしていた5番打者の山本皓大(3年)とともに、「地元で活躍したい」とそろって気比に進学した。このチームは夏も初戦で明徳義塾(高知)にサヨナラ勝ちし、春夏連覇の期待もかかったが、平沼が本調子ではなく、2回戦で敗れた。気比はその後も、福井では目標にされる存在だが、ライバルの福井工大福井や名門・福井商、新鋭の啓新なども力をつけていて、甲子園への道は以前よりも険しくなっている。ただ、この気比の優勝が、福井の、そして北陸全体のレベルアップに大きく寄与したことは間違いなさそうだ。


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第87回選抜高等学校野球大会(2015年・準決勝)大阪桐蔭(大阪) × 敦賀気比(福井)の試合の動画はこちらから!

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