映画『スマホを落としただけなのに』公開後の伸びがスゴいワケ

エンタメMBS

2018/12/07 11:30

公開から1ヶ月以上経つのに、この盛況ぶり。きっと口コミで広まり、リピーターも出ているのだろう。映画『スマホを落としただけなのに』のことである。
タイトルからしてなんだか怖そう……そりゃ監督はあの『リング』の中田秀夫監督だもの、貞子が這い出る並の怖さは覚悟して見に行った。結論から言うと、画面から貞子は出てこないし呪い殺される人もいない。が。……そう、が、である。たぶん、こっちのほうが絶対怖い。自分の身にも簡単に起こりうること、だからである。

"血管をひっかかれる"怖さを体感
20181206154401-08632d7e8295b315f9712556255e2a1b9ea77b56.jpg
めっちゃ怖い、というのとは違う。血管の内側からひっかかれるような怖さ、と言えばわかってもらえるだろうか。スマホを落としただけ、それも自分ではなく彼氏が、ほんの数時間落としただけなのに、あんなことにこんなことが続き、ついにそんなことになってしまうのだ。殺人事件に巻き込まれるくだりはともかく、そんなことなら明日にでも自分の身に起きそう......と思った瞬間、血管の内側をガリガリひっかかれる感覚が......。

登場人物全員が怪しく思える恐怖感
20181206154419-0ace6b902321376f8efb1922b25f8d7539cf7aad.jpg
落とした財布がそのまま交番に届いた、と外国人が喜ぶイイクニニッポンも本当の姿だろうが、その誰もが必ずしも善意の人とは限らない。貞子カツラと貞子ワンピ(白)に悪意を包み(※このあたり本編でご確認ください!)、あなたのすべてを丸裸にしますよ、あなたを破滅させますよ、と迫ることだってあり得る。井戸の底で無念の死を遂げた怨霊の悪意には笑っていられても、今回は笑うわけにいかない。明日スマホをどこかに置き忘れるのは、うっかり落とすのは、自分かもしれないから。
見ていると登場人物全員が怪しく思えてくる。謎解きを超えて、いま私たちが立っているこの時代に横たわる恐怖を、うまくすくい取っている。怖そうだから見に行かない、よりは、この作品で「何が怖いのか」を学ぶのが賢明かもしれない。

観終わった後、ご飯は美味しく食べられる!?
20181206154447-e7c157068692dd86469d61a4c504ffb69827f53e.jpg
ついにきょうから6週目に入るが、劇場数・全国300館に迫る規模での公開が続くという。映画会社の関係者たちもこっそり「予想以上」「ここまで伸びるとは」とささやいているほど、公開後の「伸び」がすごいこの『スマホを落としただけなのに』。何年か経って、あの年あれが流行ったなぁ......と時代と共に思い出される映画があるとしたら、まさしくそういうタイプの映画だろう。平成最後の年に、その時代を切り取ったアイテム「スマホ」の面白い映画があったな、と。
ちなみにラストは......秘密だが、「映画の後のご飯は絶対おいしく食べられる」ので、安心して劇場へお出かけを。

絶賛公開中
出演:北川景子、千葉雄大、成田凌、田中圭 ほか
(C)2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook