今だからこそ『テレビについて』しゃべる
西田二郎(ytvプロデューサー)×村田元(MBSプロデューサー)
「アイデアは自分の根につながってる」


番組はもっと頑張らなあかんっていう時に、本当に企画がなかなか出なくって、一人ぼっちでどうしていいかわからへんで朦朧として歩いてたら、 300メートルぐらい先のスーパーから、高橋英樹さんが出てきはった。小脇にフランスパン抱えて(笑)。英樹さんもこんな感じで出てくんねや、と思った次の瞬間に、 そういえば大阪にいる時、都島の太閤園のとこから、結婚式のきれいな礼服を着た船場太郎さんが、大川に架かる橋を渡って行きはるのに遭遇したんですよ。 あの大好きな船場太郎師匠のそんなオフショットを見て、なんだか申し訳ないと思ったんですよ。
村田:そんな姿を見てはいけないと。
西田:まあまあ嬉しそうに引出物持っていらして(笑)お人柄がよく出てたなあと思った。 誰もが街で有名人と接触した経験はあるやろうし、その様を見て、好きになったりするだろうし、佇いにお人柄も出てたりもするよなー、って思ったんです。
もう一回英樹さんを見たら、人違いやったんですけど、 それが過去の船場太郎さんのことに飛んで、「これを企画にしよう、目撃情報集めよう」となったんです。
村田:理屈はつきましたね。僕なんかはおもしろいと思ったら、直撃で言うタイプですけど、二郎さんはそれがなんで降りてきたか、それを考えた筋道ができているというか。
西田:理由がね。出てきたアイデアがどこの根からなのか、自分になんらかの根があるから出てくるんだと思ってますね。
村田:なるほど。あとね、作家さんやフリーのディレクターからよく言われるのは、「MBSの会議は長い」。それに比べて「ytvの会議は短い」と聞くんです。
西田:『ダウンタウンDX』をやってる時は、個別の分科会は各ディレクターが取材をして、ゲストのネタをさばくみたいになのはあるけど、方向性を決めるとかに関しての全体会議って5分ぐらいです。
5分で視聴率の分析をして、これから必要な要素っていうものをひとつのワードでパンと言って、そのワードでその日にアイデアがなんか出たら、 じゃあそれを来週までにどんな形にできるかをディレクターに「考えてきて」って言って終わり。
形にならんかったらワードだけ言うて、そんな風な感じで思うことがあったら、来週までに考えを集めましょね、ぐらいの感じ。
村田:それはスタッフに対する信頼ですか?
西田:『ダウンタウンDX』の場合は、「視聴者は見た」とか「スターの私服」とかの企画が成立して、決まったフォーマットでオペレーションができるから、 中身の細かいところ、テイストをどうするかを考えるだけで済んだからできたのかな。
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