
戦中写真は語る(仮)
毎日新聞大阪本社の一室、何の変哲もない書類棚に貴重な歴史資料は眠る。
「毎日戦中写真」だ。日中戦争から太平洋戦争にかけて、大阪毎日・東京日日新聞(現・毎日新聞社)は657人もの特派員を中国大陸や、南洋方面に送った。うち91人が殉職した。
敗戦直前、戦争犯罪の証拠となることを恐れた軍部は新聞各社に写真の焼却を命じた。しかし、大阪毎日の写真部長は「部員が命を懸けて撮った写真を焼くことはできない」と命令に背き、写真、ネガ、記録台帳を寺や地下の金庫室に隠し、守りぬいた。その数6万点以上。
ネガがあることで今でも鮮明に写真の詳細を見ることができる。記録台帳から「不許可写真」など軍部の検閲の実相を知ることもできる。中には戦意高揚のための合成写真もあった。現代に通じるフェイク写真だ。命を賭したジャーナリズム精神も戦争協力の不名誉な事実も、全て「目で見て分かる」記録群である。
いまも世界では戦争・紛争が絶えない。メディアのあり様も厳しく問われている。戦後80年。デジタルアーカイブ化された「毎日戦中写真」が私たちに語りかけるメッセージとは...。
受賞のお知らせ
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第66回 科学技術映像祭 優秀賞受賞
『映像'25 私らしく~初のアルツハイマー治療薬と共に~』
(2025年2月23日放送)
最近の主な受賞から
- 第66回科学技術映像祭 優秀賞受賞『映像'25 私らしく~初のアルツハイマー治療薬と共に~』(2025年2月23日放送)
- 2025年日本民間放送連盟 審査員特別賞『映像'25 鈴木順子 私は生きる~JR福知山線脱線事故20年~』(2025年4月27日放送)
- 第62回ギャラクシー賞奨励賞受賞『映像'24 国家の嘘と報道の任~北朝鮮帰国事業65年~』(2024年9月22日放送)
- 貧困ジャーナリズム大賞2024受賞『映像'24 労組と弾圧~関西生コン事件を考える~』(2024年3月31日放送)
- 第44回「地方の時代」映像祭2024 優秀賞・審査委員特別賞受賞『映像'24 政治家が最も恐れる男』(2024年6月30日放送)