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「憧れの京都暮らしデビュー!『築100年の京町家』を暖かく開放感抜群の空間へリノベーション」【住人十色】

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 千年の都・京都。世界を飛び回ったあとに “京都デビュー”した70代女性が暮らす、快適に生まれ変わった築100年の京町家がある。京町家の弱点である暗さと寒さと閉塞感を克服した、明るく暖かい開放的空間には、フランスで培ったセンスも存分に生かされている。

 「京都が大好き!」と言い切る住人(アルジ)は、大手フランス食品輸入会社の創業者である72歳の女性。長年バイヤーとしても活躍し、数々のフランスの食材を日本に初めて輸入したその道のパイオニア的存在だ。2人の子どもが巣立ってからは東京で一人暮らしをしていたが、2018年、かねてからの憧れの地だった京都に“第二の拠点”を構えた。
 家は三軒長屋の真ん中。築100年以上で、元々は西陣織の織元だった。昔ながらの趣を今も残す京町家の外観はそのままに、室内はワンフロアで繋がる開放的な空間にリノベーションした。

 住人(アルジ)は、フランスでの結婚と離婚を経て、日本へ帰国。その後、フランス食品の輸入会社を1人で起業した。東京を拠点に世界を飛び回る忙しい生活を送る中、体と心が休まる場所、客を招いてパーティーができるような空間が欲しいと思うように。そこで会社の第一線を退いたことを機に、第二の拠点探しをスタート、憧れだった京都に決めた。数ある選択肢の中、京都を選んだ最大の理由は……京野菜をはじめとした「食」だったという。さらに歴史ある建物が好きだったこともあり町家を探すが、当時、外国人の増加などで町家がブームとなり、価格が高騰。限られた予算内で見つけることができたのが売れ残っていた三軒長屋の真ん中だった。そこはまさに京都の町家の弱点である、暗く寒い家だったが…。

 三軒長屋の真ん中にもかかわらず、いま、一歩中に入ると……明るく広々とした空間が広がっている。この明るい空間を実現できた秘密が、奥のリビング。かつては機織りの作業場だったスペースで、大きな織機を置くため天井高が3.5メートルもある。その構造をそのまま活かしてリノベーションし、さらに完全に閉じていた西側の壁を全て窓に変えて採光することに。すると、南からの陽も入る、明るくて暖かい開放感抜群の空間が実現した。
 そんなリビングを彩るのが、真っ赤なソファ。和と洋が共存するモダンなスペースのインテリアはすべて住人(アルジ)自らセレクトしたもの。鮮やかな赤や緑が明るい空間を一層引き立て、インテリアのアクセントになっている。
 また暗さ以外に町家で懸念していたことが、壁の薄さ。そこで壁の内側に新たに壁を作って二重壁に。その壁と壁の間には、通常の2倍の遮音シート、さらに分厚い断熱材もしっかりと入れた。すると、音の問題だけでなく、寒さについても一気に解決することができた。

 パーティーをする家にとっては心臓部とも呼べる場所がキッチン。たくさんの料理を準備することを見越した広いアイランドキッチンはオーダーメイドだが、天板は大理石調のシートで仕上げ、コストダウンを図った。
 キッチンの壁側には扉付きの巨大な収納を設けた。元は押入れだったスペースなので、奥行きはたっぷり。調理器具や食器はもとより、冷蔵庫まで収納し、それらを隠すため「葦(よし)障子」という建具を扉として使用している。葦障子は近くの古建具店で購入したもので、先に古建具店へ行き、気に入ったものを見つけてからキッチンのデザインを決めたそう。こうすることで、オーダーすれば約50万円はかかるところ、なんと、2万5千円で揃えることができた。

 かつて織元だった時代は材料庫として使われていた2階は、寝室に。古建具店で一目惚れして購入した和紙障子を間仕切りとして利用している。さらに住人(アルジ)のアイデアで、和紙障子に電球を仕込んで間接照明として楽しめるようアレンジした。

 住人(アルジ)が京都に来るたび楽しみにしていることが、毎月行うパーティー。京都で知り合った友人たちを招いて、食卓には住人(アルジ)自ら目利きしたフランス産の食品と地元京都で購入した野菜を組み合わせた料理を並べる。

 念願の京町家での二拠点生活を「大エンジョイしてます」という住人(アルジ)。「もう第一線から退いて、これからはもっともっと京都に来る時間も自由になるので“To be continued”かなと思ってます」と語り、「もっとおだやかな、人間らしいナチュラルな生活をするんだったら京都移住もあるかもしれない」と明かす。

 食で繋がる人との縁がまた新たな出会いも予感させてくれる。伝統とモダン、海外と京都が共存する京町家は、人の縁を結び心もお腹も満たす、明るく暖かな家になった。(MBS「住人十色」2024年4月20日放送より TVerでも放送後1週間配信中)

2024年04月19日(金)現在の情報です

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