MBS(毎日放送)

湯澤花梨

2024年8月7日、番組収録で来社された湯澤さんにお話を伺いました。湯澤さんは「金の卵10個目オーディション」を経て、2018年、新喜劇に入団。“新喜劇のセクシービーム”キャラとして人気を集めています。

―7月14日に配信リリースされた秘蔵っ子の『マドンナ』ですが、湯澤さんが作詞を担当されたのですね。

私一人ではないんですけど、私がもともとの作詞をして、間慎太郎さん(※)がそれを見て、ちょっと変えて、ちゃんとした詩に変えてくださったという感じです。
※シンガーソングライターの間慎太郎さんが作詞・作曲を担当。

―曲のテーマは「夏」ですね。

女子がメインの曲「THEアイドル」っていう感じの曲を作ろうってことだけは、秘蔵っ子のみんなで意見が一致してたので、それをふまえて、テーマの夏とか、男の子目線の話とかも考えました。

―作詞をする際に心掛けたことは?

思わせぶりなことをしてくる女の子っているだろうなっていうのがあって、そこは絶対に入れたかったところですね。「男の子が絶対自分のことを好き」って分かってるけど、「ちょっと遊ぶ」みたいな小悪魔的な女の子を可愛らしく書きたいと思いました。

―今回の振り付けは女性の方が担当されたとお聞きしました。

はい、今回初めて女性の方に振り付けをお願いしました。その方は、メンバーの重谷ほたるさんのお知り合いの方で。NMB48の振り付けなども担当されている方で、今回「THEアイドル」っていうコンセプトがあったので、女子が可愛く見える、“アイドル”“女の子“っていう振り付けにしてもらおうということにしました。

―ミュージックビデオがとても可愛らしくて、衣装もいいですよね。

そうですね、衣装もこだわりましたね。頑張って探して。

―みなさんで意見を出しあってですか?

今回の衣装もコンセプトを考えて、「こんな感じで考えてます」っていうのは、みんな投げさせてもらって。「こういうセットを組みます」「このシャツを探してね」ってお願いして。

―それは大変でしたね。

そうなんです。上着だけが全員まったく揃わなくて。難波のアメリカ村の古着屋さんであのアロハシャツを見つけました。「これ誰だれでいいよね」って感じで。

―湯澤さんが中心になって動かれたんですね。

そうですね。作詞をしたから曲の世界観を一番理解しているのは私だったんで、それはやらせてもらって楽しかったです。気合が入りました!

―秘蔵っ子は結成から1年と4か月たちましたが、今の率直な気持ちはいかがですか?

イベントも含めて、メンバーで話し合って決めていくとかは結構多いのですが、色々とイベントを重ねてきて、揉めごととか悩みもありながら、やっとちゃんと心を開いてしゃべれるようになってきました、全員。

―秘蔵っ子ライブのオリジナル新喜劇は台本もみなさんで考えているのですか?

12人のメンバーを3グループに分けて、それぞれ4人ずつでリーダーが考える、というのをチームで順繰りやっていって、これまで3回の公演をして全員で1周したから、4回目は全員で考える。という流れになりました。

―間寛平GMからはどんなお声掛けがありますか?

今回、『マドンナ』を書かせてもらって、「あの曲ええなぁ、めっちゃええやん!」ていう一言をかけてもらって、すごいうれしかったですね!
他の先輩に言われても、もちろんうれしいんですけども、やっぱり寛平師匠にいわれる一言ってすごいデカイんだなって思いました。なんてことない一言かもしれないですけど「よかったな、やって!」と思いました。

―『よしもと新喜劇NEXT』(MBS)でも出演される機会が増えていますね。クールなキャラで小籔さんに「女スパイ」とツッコまれていました。

はい(笑)。最初、番組に出させてもらったときは、頑張らなあかんのかなと思ってたんですけど、1回やめてみたんですよ、頑張るのを。素でいてたんですね。その時に小籔兄さんに「お前何でそんな涼しい顔できんねん」ってダメ出しをされて、それがドカーンとウケて。そこから「女スパイ」って(笑)
それを機に「(番組では)私これでおってもいいんや」というのはちょっと思いましたね。それまでは自分をどう出していいのか全くわかってなくって、(小林)ゆうさんみたいな“元気” “明るいキャラ”ではなく、私は何が秀でているのか自分でも分かってなくて、見せ方がよく分かってなかったんで、こういうクールっぽいキャラが確立っていうか、そういうのを小籔兄さんに見つけてもらえたのは良かったなと思います。
※『よしもと新喜劇NEXT』毎週月曜日 深夜1時29分放送

―新喜劇に入団されて6年目、どんな思いで取り組まれていますか。

私はもともと声が声質的に通りにくいのと、声が大きく出せないのがずっと悩みで。でも新喜劇ってフットマイクしかないですし、みなさんメチャクチャ声が大きいので、私が頑張って声を出しても「小さい」って言われてたんです。だから舞台とか向いてないんやなと思って。新喜劇を辞めるか辞めないかをずっと悩んでいたんですけど、最近になって「声がでるようになったね」って言ってもらえるようになって、6年目にしてやっと楽しめるようになりました。シンプルに何も考えずに新喜劇のお芝居を楽しめるようになってきました。やっとスタートラインに立てたなって感じですね、6年目にして。

―座員のみなさんって声が大きいですよね。

そう、大きいんです! 松浦(真也)兄さんとかビックリするくらい大きいです。私のなかでは声が出るのは最低限のラインだと思っていて、そこをやっとクリア出来たかなと思います。本当にここからですね。

―今後、新喜劇でやってみたい役柄はありますか?

マドンナですかね。高望みすれば宇都宮まき姉さんみたいに、新喜劇のマドンナ、イコール湯澤花梨みたいな存在になれたらいいですけど。雰囲気的には小寺真理さん寄りといわれてるので、色気系ということで。普通の純粋な女の子の役がこなくて、グレた中学生とか、反抗期の子の役だったり。どっちも出来るようになればいいなと思います。そこがちょっと難しいところですね。

―視聴者の方にメッセージをお願いします。

新喜劇の女子はこんなにかわいいんだぞ、っていうのを見てほしいです!

2024年8月7日談

▼以下は2019年11月18日に伺ったインタビューです。

第93回 湯澤花梨
(ゆざわ・かりん)

お客さんが笑ってくれるのっていいな、って思いました。

―いつからお笑いをやろうと思われてましたか?

お笑いというよりは、女優さんを目指してて、ドラマや映画に出られる女優さんになりたいと思って、お芝居を勉強しようと大阪芸術短期大学へ行きました。事務所とかをいろいろ受けたんですが、卒業の時期になっても、受かるところがなくて、就活もしながら、受け続けていました。そんな時にちょうど母が新喜劇の金の卵のオーディションを見つけてくれて。新喜劇は私も小さい頃から見てたんで、受けてみようとなって、受けたら受かったっていう感じです。あははは(笑)。新喜劇受かったんで、就活も辞めました。
(お母さんが見つけてくれた…)
そうですね。だからメチャクチャ応援してくれてます。
(オーディションでの特技披露は何を?)
私はミュージカルの歌を歌いました。何人か一緒なんですけど、けっこう面白い要素を混ぜて来られる方も多くて。私は歌っただけだったんで、「どうかな?」と思ったんですけど。
(何を歌われたんですか?)
「レ・ミゼラブル」の「オン・マイ・オウン」という歌です。
(歌には自信が?)
あははは。自信というほどのものでもないですけど…。ミュージカルは好きですし、お芝居をやってたというのもアピールできるかな、と。学校の授業でもやってて、ほかにダンスとかバレエの授業とかもありましたし。茶道とか、華道とかも…。
(え!? 何科なんですか?)
メディア芸術学科というところの舞台芸術コースで、選択授業で裏方さんの仕事も学べるし、いろんなことを学びました。
(受かった時は?)
合格の連絡が来るのがギリギリだったんで落ちたと思ってたんです。急に知らない携帯番号からかかって来たんで、出ようか迷って出たら、受かってたみたいな。出てなかったら、もう…。
(何人かそれで落ちてるかも知れませんね)
そうですよ~。ほんとに。急に電話かかって来るんです。「これ、登録しておいてください」とかもなくて。知らない携帯番号なので、どうしよう? と思ったら、「新喜劇の…」って。
(電話に出てない人いますね(笑))
います、絶対います。あははは(笑)

―新喜劇に入ってみて、びっくりしたことは?

稽古の短さにメッチャクチャびっくりしました。大学とかの2時間の卒業公演でも、だいぶ長い間稽古するじゃないですか。新喜劇は45分としても、前日の稽古だけで終わるって、「え!?ウソでしょ?」と。本読みして、立ち稽古して。祇園花月だったら、次の日に舞台稽古なので、立ち稽古したら、「お疲れさまでした~」「え!?終わり?」って。NGKだと、舞台稽古とかもやってしまうので、帰れなくなったり。泊まりかタクシーなんですけど、最初は親もビックリしてました。
(お芝居の面ではどうでした?)
普通のお芝居とは全く違うというか。普通のお芝居も間は大切なんですけど、間ひとつで笑いが起きなかったり、ちょっと間を変えるだけでウケたり、今までやって来たお芝居が通用しないというか。お笑いが入って来ると全然違うんやな、独特やなと思いましたね。
(どんな時に感じられましたか?)
川畑兄さんのレッスンの時に、私が思うお芝居をやったら、「違う、そんなん違う。こういう風にやるんやで」と言われて。それは、本公演に立ってからも思いましたけど…。周りからお芝居をやってたから大丈夫やろ、みたいに言われてたんですけど、「全然無理や」って(笑)。ほんとにゼロからのスタートでした。

―最初に舞台に立たれたのは?

昨年の9月末の金の卵10個目の同期10人と一緒の「お披露目ライブ」でした。私はうどん屋の大将の妹の役で旦那さんがいたんですけど、急に出て行って、それに対して怒ってて…。
(笑いは取れました?)
最初の新喜劇定番のギャグ、「キレイやな~」と言われて、「いややわ~」とお盆で相手の頭を叩くのをやらせてもらって、1発目で笑いが来た時は、「うわっ、楽し~!!」と思いました。大学でお芝居をやっていた時は、特に強いキャラクターじゃないと、お芝居して笑いが来ることはないんですけど。やっぱり、ウケるって、すごい面白い。お客さんが笑ってくれるのっていいな、って思いました。

―初舞台は覚えてますか?

金の卵ライブのその次の週から出させていただきました。川畑兄さんの祇園花月で、オープニングのカップルの役でした。相手役の瀧見兄さんがいろいろアドバイスくださって。私は声が通りにくいタイプで、舞台をやってた時からずっと言われてたんです。緊張もあって、たぶん最悪やったと思います。オープニングは声を上げて高いテンションで入って来ないといけないのに、明るい声がなかなか出せなくて、むちゃくちゃ苦戦しました。今もオープニングはちょっと…苦手です。
(声ってありますよね。瀧見さんは声大きいし…)
そうなんです。差がすごいっていうのを言われて…。舞台って声が届かないとお芝居が出来ても意味ないじゃないですか。私はもう、向いてないとか、辞めようかなとか思いました。でも声って、努力すれば出来るものじゃないですか。だから、頑張ろうと思って。
(先輩に相談したりとかは?)
しました、しました。吉岡友見姉さんと景子姉さんに。景子姉さんは「私もふだん声が低いと言われてて、セリフをしゃべる前に、あ~とか、わ~とか、つけたらいいよ」ってアドバイスしてくださって。やってみたら、皆さん方から、「全然違う」って言ってもらえて、すごいありがたかったです。声楽をやっていた大塚澪姉さんからは、「鎖骨の辺りに力が入ってるから、そこの力を抜いた状態で声を出せるようになれば、軽く届くような声になるよ~」って言ってくださったんですけど、やり方がよく分からなくて…。
(それは難しそう…)

―印象に残っている舞台は?

祇園花月で宇都宮まき姉さんの代役をやらせていただいた時です。1日2回公演だけだったんですけど、マドンナ役で、西川忠志兄さんの奥さん役で、セリフ量も多いし、割と出ずっぱりで。がっつり舞台に出るということがなかったので、動画とかも何回も見て、感情のトーンとかお芝居も全部真似してやってたんです。それでだいぶ分かったというか。どのくらい声を出せば客席に届いているかとか分かって来て。野下敏規さんが同じ公演に出てたんですけど、「全然、越え出てたと思うよ」って言ってくださって。代役って出来上がっているお芝居の中に1人だけ入るんで、緊張するんですけど、先輩がメチャクチャ励ましてくれるんです。「大丈夫、大丈夫」とか「偉いな、ちゃんと覚えて来て」とか。皆さんが緊張をほぐしてくださいますし。舞台上でも忠志兄さんが合図送って下さったりとか。代役でたくさん学ぶことがありました。

―NGKの初舞台は?

川畑兄さんの週で、川畑兄さんが過去の自分と入れ替わるという話でした。私と宮内紀佳さんとけんたくんさんとレイチェルさんのシーンがあったんですが、NGKの方が祇園花月より全然広くて。宮内さんと一緒に歌うシーンの収録を見たら、宮内さんの声しか聞こえないし。私って、こんなに声が小さいんや、ちょっとヤバいなって思いました。今週の舞台も怖かったんですけど、社員さんが「声出るようになったな、前の時と全然違うやん」と言ってくださって。それがメッチャうれしかったです。

―お芝居で難しいなと思うところは?

初めてマドンナ役をいただいたのが、信濃さんのリーダー週の西梅田劇場で、セリフを覚えるのに必死で、感情を作り切れてなくて…。信濃さんから「感情を作ってたら、そんなテンションで言うセリフじゃないよな。その人がどういう感じで生きて来たとか、ちゃんと考えてたら、自然と感情が出てくるはずや」と言われました。出来てなかったなと思って、お芝居に悩んだ1週間でした。
(どんな役だったんですか?)
旅館の仲居さんの役で、先代の父が陥れられて旅館を乗っ取られて亡くなったんですが、私は知らずに陥れた人をいい人やと思ってて。真相がわかって、お父さんが幽霊になって出て来て、私は姿が見えない父に「今まで勘違いしてごめんね」と謝るシーンがあるんです。めちゃくちゃ難しかったです。
(今、聞いただけでも難しそうな…)
あははは(笑)見えているのに、見えてない芝居も難しいですが、これをお姉さん方がやったら、お客さんもメチャクチャ感動しはるやろな、と。私の時は、泣いてる人もいない感じでした。作り切れてなかったかな、と。

―憧れの先輩とか、目指している先輩はいますか?

井上安世姉さんのお芝居がすごいな、って思います。面白いし…。噛んだりされた時も、パッと笑いに変えたりされる。私はアドリブとかにすごく弱いんで、「うわっ」となっちゃうし。初めて辻本さんとご一緒させていただいた時は、ビックリしました。来るかな? と思っていたら、ほんまに来たんで。怖かったです。1週間。楽しかったですけど。
(容赦なく振って来られますからね~)
ネタ作りの勉強しないといけないなと思いながら、難しくて。いつもお兄さんに作っていただいているんで。なんで365日いつもそんな面白いネタ作れるんやろ? 角度が違うなと思います。

―お世話になっている先輩は?

皆さんですね。いろんな方が話を聞いてくださるし、「ご飯行こか」と言っていただくし。私は実家が箕面で、ちょっと遠いので、気にしながら誘ってくださいます。ほんとにすごくいい方しかいないというか。人として尊敬できる方ばっかりです。こんな人になりたいと思います。私も後輩が出来た時に、こういうことが出来る先輩になれたらいいな、と思いながら、後輩が出来て…あはははは(笑)。なれるのか、な。

―これからやって行きたい役柄は?

最初はスタンダードなお芝居だけするマドンナ役をやりたいと思ってたんですけど、祇園でまき姉さんの代役をさせてもらって、まき姉さんって結構、ボケが入るようなマドンナ役なんですけど、それを初めてやった時にすごい楽しかったんですよ。そういうマドンナ役がやりたい、に変わりました。新喜劇に欠かせない存在になれたらいいですけど。おこがましいですけど、マドンナで、「あ、まきちゃんや!」みたいな存在になれればいいですね。新喜劇のマドンナと言えば…という存在に。テレビとかにも出たり、トークとかも磨いて、しゃべるようにもなりたいですね。
(ぜひ、頑張ってください)

―プライベートでハマっていることや趣味は?

最近は携帯アプリで漫画をずっと読んでます。今までは買って読んでたんですけど、携帯アプリが便利すぎて。いろんなのを、ババっと読めるじゃないですか。すごい読んでますね。私、少女漫画も読むんですけど、ボーイズラブが結構好きで。…。
(腐女子?)
(笑)腐女子、ですね。少女漫画とBLをずっと読んでます。
(意外…)
意外に腐女子なんです。だから、岡田直子姉さんと話が盛り上がったり。こそっと「直子姉さん、腐女子ですか? 私もです」と言ったら、「うそっ!?」って(笑)。めっちゃ盛り上がりました。あははは(大笑い)
(ストレスは漫画で解消ですか?)
最近、ストレスが溜まっているのかどうか、メチャクチャ誰かにキレたいと思う時が…あははは。
(ええっ!?)
私が怒る対象の兄が、就職で家まを出て行ったんです。怒ることがあんまりなくなったんで、ブチ切れるでいくことがないんで。たまに「ワーッ!!」って言いたくなることが。
(お兄さんはどんな方ですか?)
年子なんで、あんまり仲良くなくて。兄は私のことが好きですけど、私が兄のことを好きじゃなくて。ドラマを見てる時に、横で兄が母とかと喧嘩してたら、「うるさいっ!」って怒鳴ったり。あんまり言うと、親が悲しむんですけど…。
(その時の声をぜひ舞台で…)
あははは。それこそ、デビューライブの時に、大将の兄役の人に対して、「ちょっとお兄ちゃん、そんなこと言わんといて」って怒るシーンがあったんです。その時は親も見に来てて、「あんた、普通にお兄ちゃんに怒る時と一緒やった。あんたのまんまやったわ」って言われました。あははは(笑)。

2019年11月18日談

プロフィール

1998年3月25日大阪府箕面市出身。
2018年金の卵10個目。

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