MBS(毎日放送)

第86回 川筋ライラ

俳優の染谷将太さんに憧れて、お芝居をしたいと思って…。

―NSC37期ですが、もともとお笑いを目指されていたんですか?

もともとはお芝居がしたくて、15歳でNSCに入ってたんです。お芝居がしたいと親に言って、事務所とかよくわからないから、取りあえず「吉本でええわ」ということでNSCに入りました。それで漫才をしてまして、新喜劇を受けられる年齢になったんで、金の卵のオーディションを受けました。
(NSCってそんなに若くても入学出来るんですね)
全然OKみたいですね。一応、ジュニアコースというのがあって、そっちも紹介されたんですけど、「NSCに行きます」って。
(ちなみに学校は…?)
高校には行ってなくて。中学校を卒業して、バイトしだした時に、親がNSCに、半分思い出作りみたいな感じで入れてくれたんですけど。ここまで続くとは、たぶん誰も思ってなかった、と(笑)
(差し支えなければ、高校に行かなかった理由を聞かせてください)
ほんまによくある、「学校が好きじゃない」っていうだけ、ですね。
(小さい頃から好きじゃなかった?)
思えば、保育園の頃から好きじゃなくて…。
(保育園から!? 筋金入りですね)
集団行動が苦手で…。ふふふ。今、メチャメチャ団体ですけど(笑) 何でかわからないんですけど、同い年とか同級生の子とあんまりうまく行かなくて。1つ上のお姉さんとか先輩とか、年下の後輩とかは仲良かったんです。
(学校の代わりにご両親がNSCへ?)
そうですね。「礼儀だけでも教わって来なさい」みたいな感じで。
(周りは年上の方ばかりですよね)
メチャメチャ甘やかしてもらって、それで結構好きになりましたね。学校とは違う世界を初めて見たんです。学校が全てやと思ってたんで。

―お芝居をしたいというのは、どんなお芝居を?

ほんまに全然ちゃうやん! と思うんですけど、染谷将太さんという役者さんが大好きで。染谷さんに憧れて、お芝居をしたいって。で、漫才を3年間やってたんですけど、漫才をしながら、帽子屋・お松さん(NSC26期タレント・作家)という方の小劇団に所属させてもらって、そこで、メチャメチャお芝居を教えていただいて。ちょっと自信ついて、新喜劇に入る時もお松さんに相談しました。
(ちなみに染谷将太さんの何を見て、憧れたんですか?)
映画の「ヒミズ」(2012年公開)という作品です。ものすごい感銘受けて…。メチャメチャ、良くて。何回も見ました。すっごい好きなんです。全然、新喜劇と違うんですけど…。
(「ヒミズ」ですか~渋いですね。何か、重たい作品でしたよね)
重たい作品はあんまり得意じゃないんですけど、染谷さんの芝居が重たく感じなくて…。この人、スゴ~いって。
(どういうところに感動されたんですか?)
メチャメチャ細かい話になってきますね(笑) 普通と違うお芝居してるところ。お父さんを殺すシーンがあるんですけど、お芝居が想像していたのと違って、死んだことにビックリする芝居をされてたんで。自分で殺しに行ってるんですけど、自分のなかで絶対死なないと思っていた、まさか、自分の父親が死ぬなんて!? っていう感じで嗚咽して、「ぐわーっ」ってなってて。「あ~凄いなあ。自分がお父さん殺したら、こういう反応になるのかな」と思って。
(う~ん…そういうところに憧れて…)
それで、いろいろとお松さんからこういう芝居もあるんやと教えてもらって。染谷さんの驚きの芝居に圧倒されました。

―漫才コンビを組まれたきっかけは?

コンビを組んだのは、どっちかというと、しょうがなく組んだんですよ(笑)NSCに問い合わせの電話をした時、本当はタレントコースに入りたかったんです。でもタレントコースは30人集まらないと開校しなくて、結局、その年は開校しなくて。じゃあ、お芝居は教われないんやなと思ってたら、その時、電話に出た社員さんが、「いや、お笑いコースも変わらないから、入ったらどうですか?」と言われて、「あ、変わらないんや」と思って。
(だまされてますよ~(笑))
そうなんです。入ってスケジュール渡されたら、ネタ見せの嵐で。「あかん、これは誰かと組まな、やって行かれへん!」ということで、すっごいあぶれてた、はみ出しもんが1人いて。7歳年上のその人と組んで。その人が面白いネタを書いてくれてたんですが、自分が全然出来なくて。舞台に立つのが怖いっていうのがありました。でもメチャメチャ仲良かったし、すごい勉強になりました。相方には「いつか新喜劇に行くよ」とは、言ってたんです。新喜劇でお芝居のなかでお笑いをしていきたいというのがありました。自分は一発ギャグというタイプじゃないので。でも、漫才も自分の中では本気でやってたので、すぐには辞めなかったです。

―小劇団に行かれるようになったのは?

オーディションメールが来たことがきっかけだったと思うんです。同期がけっこう出てたんで、その話とかを聞いてて。オーディションを最初に受けた時に、ロボットの台本を渡されたんですが、ロボットをやれということかなと思って、「ウィ~ン、ガシャン」みたいな。マンキンで(※本気で。全力での意味)やったんですけど。他の人はみんな「人」でやるんですよ。「え? ロボットやのに?」と思って、赤面してたら、1回目は落ちて…はははは(笑) で、2回目の時は、お松さんメチャメチャ優しくて、緊張してるのが分かったみたいで「出身地、一緒だよね」と声かけてもらって。2回目は何とか通りました。それから1年のうちに5、6回くらい出させていただきました。
(小劇団のお芝居はどうでしたか?)
お松さん自体がアテ書きをする(※俳優に合わせて台本を書く)方だったんで、ずいぶん楽しくやらせて頂きました。セリフの言い方とか気にせず、「気持ちで喋って」という人だったんです。それしか言わないくらいなので、染谷さんみたいなことしてみようかな~って思いながら(笑)
(印象に残っている役はありますか?)
いろいろさせていただいたんですけど、最終的に一番褒めていただいたのは、ドラキュラの話でバンパイヤ役で、自分(見た目は)こんな感じなんですけど、目が、怒ったらけっこう怖いタイプやと思うんですね。気性荒くて…。
(気性荒い?)
ヤンキーとかにも果敢に行ってしまうぐらい、性根の気性が荒いんで。それを何故か見抜かれてて、一番強いバンパイヤにブチ切れて立ち向かう役でした。あれが一番、すっごいやりやすかったです。こんなキレ方する? みたいな。
(ヤンキーに立ち向かったことがあるんですか?)
ニコニコしてるのが、ヤンキー腹立ったみたいで。中学生の時に、何もしてないのに、何か嫌われてて。ある日、みんなの前でイチャモンつけられたんで、恥ずかしいし、何かもう、プツッ…となって。「おい、こりゃ~!! 何じゃ、こりゃ~!!」ってなって。あはははは(大笑い)
(きゃはははは~)
こんな小さいのが向かって行ってヤンキーを追い払うっていう。メチャメチャびっくりしてました。ヤンキーが(笑) 内心バクバクでしたけど。
(すごいな~最終兵器ですね。新喜劇でも出来そう)

―新喜劇に入られたのは、漫才コンビを解散されてから?

そうですね。いろいろありまして…。(解散の)理由は愛犬が死んだことですかね。愛犬が死んで、その時に相方とも喧嘩してしまって。結局、解散して。新喜劇を受けたのも、愛犬が死んだからです(笑) ほんと、メチャメチャヘコんで…。もう家族全員ヘコんでて。親が、ずっと新喜劇に入って欲しいと言ってて。
(あ、そうなんですね!)
自分ももちろん、新喜劇に入ると言ってたし、愛犬が死んでから、ちょうどオーディション情報が来て。このオーディションに受かって、ちょっとでも母親のことを笑顔に出来たらっていう、ヘンな親孝行の気持ちで…。
(愛犬が大きなターニングポイントだったんですね)
オーディションでも、「愛犬が死んだんで、受かって笑顔になりたいんです」って言いました(笑)
(愛犬ってツイッターの画像に出て来る犬ですか?)
あの犬です。トマトっていう名前なんで。だから、背景がトマトなんですよ。

―新喜劇のオーディションはいかがでした?

まず、書類審査で落ちると思っていて、2次の面接とネタ披露も「落ちるやろ。ええわ、何もないし」と思って緊張してなかったんです。が、オーディションの部屋に入った瞬間にメッチャ緊張し出して、考えてたことが飛んでしまって。「すみません、飛んだんですけど、新喜劇に入りたいんです」と言いました。特技披露では、ジャスティン・ビーバーさんが好きで、ジャスティン・ビーバーさんのモノマネをしたんですよ。ライブ中に腰パンしすぎて、「それ、ズボンはいてへんで」って状態で歌うっていう。ブルマーになって踊ったら、「女の子やろ!」ってメチャメチャ笑ってくれて。「あれ? これ、受かる?」と思いました。3次のお芝居は自信あったんで、そこまで行ったら、受かりたくて。みんな結構、「何で私受かったんやろ?」って言うんですけど、自分は受かる気がして仕方なかったんです。でも、入ってから失速しました。
(失速?)
具体的に言うと、もう大人なんで良くないんですけど、すっごい人見知りが出て…。特に周りはテレビに出てる方ばかりなので、緊張してしまって、しゃべれない。しゃべれないどころか、舞台でも人に緊張しすぎてセリフ出て来ないっていうのが続いて…。自分の中にあった、お松さんのところで教えてもらったという自信がボキボキに折れて行った感じでしたね。
(先輩方も心配してくれたのでは?)
心配してもらっても、自分が全然心を開けてなかったんで。半年以上くらい出番がない期間があって、その時は、ほんまに死にそうやったです。もう、考えないようにしました。それが一番ですよね。どうにか自分に言い聞かせて、「これは休憩もらってるんや」って。幸運なことに劇場で口上師(お客さんの呼び込みや相手をして盛り上げる座員)をやってまして。その口上師として来る、お兄さんお姉さんとしゃべれたんですよ。口上師終わりにご飯誘ってくださる方とかもいらっしゃって。そっからだんだんちょっとずつ、みんなそんな自分のこと嫌いとかじゃないんだと思って…。
(嫌われていると思っていたんですか!?)
完全に被害妄想です。こんな知らん小さい女の子入って来て、いろいろルールとかもある中、皆さんが気を使って見てくださっているのを、何か変なことしてるから見られてるのかな、とか。悪い方、悪い方へ考えてしまう癖があって。後輩が出来た今ではだんだんわかってきましたけど。こんなジロジロ見るのは悪い目じゃなくて、「今、大丈夫かな~」って見守る目やったんや、って。
(どちらかというと、ハッキリした、やりたくないことはやらないタイプでは?)
あはははは。実はくそ真面目な小心者なんで。全部が気になってしまうタイプなんです。お姉さんに言われた一言一言とか、舞台でのこととかもムキになって悩んでしまって。今はもう大丈夫ですけど。いらん悩み方をしてました。

―初舞台は覚えてますか?

すち兄さんの週で、子ども役でした。右も左もわからないんで、自分がうまく行ってるのかどうかもわからないというか。新喜劇って、意外と何も言われないんですよ。今までは一言一句、「こういう感情と違う?」とか言われてたんで、「背中見て学べ、方式かな」と思って。「何にも言われへん、どうしよう?」って思ったままの1週間でした。結構ルールも多いんで楽屋でずっとパニくってました。で、すち兄さん、っていう凄い人と間近で喋らせていただいた時に、衝撃でしたね。「自分は半年ぐらい出番ないと思う。でも、みんなないから、気にせんでいいよ」と言ってくださって。予言みたいに、半年間出番がなくて。ヘコみましたけど、その言葉でちょっと楽になりました。
(座長は座員の方をよく見られてますよね)
自分はまだすち兄さんにビビってしまってますね。怪物みたいに見えちゃって。うふふふ。悪い意味じゃないです。凄いっていう意味です。

―今、よくしゃべるお兄さんお姉さんは?

もう、大黒ケイイチさんですね。あははは。
(あはははは)
大黒ケイイチさんが、そうですね、心のよりどころです(笑) 夜中に電話したりします。夜中に電話して、今日の失敗談とかします。メチャメチャ優しいです。後輩に失敗した話ってしたくないじゃないですか。それを「俺はこういう失敗をして来たから、やらんときな」って言ってくれるし。お姉さんたちもみんなメチャメチャ優しいですけど、女性やったら、後輩の方がよくご飯行くかも知れないですね。でも、「仲いいです」と言えるのは、大黒ケイイチさんかな(笑)

―身長147cm、どうしても子どもの役が多い?

多かったんですけど、最近、ありがたいことに、5週連続くらいで出させていただいてて、それは全部子ども役じゃなかったです。最近やっと大人の役が来るようになりました。メチャメチャ難しいです。子どもは見た目で説得力があるんですけど、大人は「妻です」とか言うと、一瞬、笑いが起こるんですね。
(小劇団の芝居を経て、新喜劇のお芝居をどう思われますか?)
全部に理由があるところやなあ、と思うんです。それをする理由がちゃんとある。漫才をやってた時って、何でもありのことが多かったと思うんですけど、間違えちゃったという連続が多いんで。新喜劇はお芝居をやろうとしてるのに、人を笑わせれるところですね。あんまりわかってないですけど…。

―この先、新喜劇でどういう役をやって行きたいですか?

これ、誰にも言ってないんですけど、密かに狙ってることがあって。やすえ姉さんから「私も昔、子ども役やってたよ。男の子とかやってた」って聞いて、「男の子役、やってみたい!」と思って。諸見里さんのキャラクターの諸太郎君の友だちを。男の方に申し訳ないんですけど、密かに男の子役やってみたいと思ってます。でも、まず新喜劇の芝居がうまくなりたいですね。自分の1発ギャグは想像つかないですけど。お芝居からのボケを…。出来ないことばっかりなんで、出来ることが増えて行ったらなあ…と。
(川筋さんはこれまでにないキャラクターのような気が…)
あははは。誰を目指してるとか言われても、浮かばないです。綺麗どころはマドンナ役に行ったりしますけど。
(道なき道を行く…)
カッコいい言い方(笑) そうですね。なったらいいですね。

―最近、ハマっていることや趣味は?

音楽を聴く。服がメチャメチャ好き。あとは絵を描く、ですね。それから動物が好き。猫を3匹飼ってるんです。
(服に力入ってましたね)
オシャレとかじゃないんですけど、着てる服にはだいたいどっかに動物が入ってます。今日の服装、トータルで見たら、ズボンも靴下もTシャツも帽子も全部動物が入ってるっていう。
(こだわり、ですね)
変な話、無地とか可愛くなくて…。人が着てるのは何とも思わないんですけど、無地やったら形が変わっているとか、真ん中に犬載っけてくれよ、とか。今日の靴下はサメなんです(笑)
(ちなみにストレス解消は?)
音楽を聴くとかですね。ジャスティン・ビーバーさんが好きなんですけど、ストレスが溜まりすぎると、音楽も聴きたくなくなります。情報が入りすぎて、わ~っとなったら、顔の周りにぬいぐるみ8体くらい置いて寝ます。あはははは(笑)選抜メンバーで。ぬいぐるみ、いっぱいあって。選抜メンバーに励ましてもらって、眠りにつきます(笑)
(何かまだ正体現してないみたいですね。笑顔の下に何があるんだろ?)
え~っ。何でですか!? それ、すち兄さんに言われました。「お前は、ほんまにいつもニコニコ笑って…思ってへんやろ!」って。あはははは(笑)一種の恥ずかしがり屋なんですけど…。
(いずれキレキャラが花を咲かせるよう、新喜劇の中で新しい道を切り拓いてください)

2019年5月13日談

プロフィール

1998年7月4日大阪府出身。
NSC37期生。
2017年金の卵9個目。

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