MBS(毎日放送)

第94回 大塚澪
(おおつか・れい)

いろんな人のド肝を抜きたいです。

―音大でオペラを勉強されていたのに、何故、新喜劇に?

いろいろあるんですけど、私は、楽しいことがしたくて、初めはミュージカルとかオペラの歌手を目指そうと思ってたんですけど、なんか違うな、もっともっと新しいことがあるんじゃないかと考えてて、レッスンでオペラを歌っている時に、「あっ!新喜劇があるかも知れない」って思いついて。私の出身は埼玉の山の方なので、MXの電波も届いてなくて、新喜劇をネット配信で見てみたんです。そしたら、「うわーなんか、すご~い愉快! 面白いかも知れない」と思って、検索したら、金の卵オーディションをやってて、大阪にも遊びに行けるし、これ、応募してみようと。で、受かったので、オペラ辞めました。うふふふ。
(いつから新喜劇ご存知でしたか?)
高校生の時に、友だちから「メッチャ面白いのがある」って。ツイッターとか誰かのリツイートだったりとか、一部だけを見て知ってたんですが、フルで見たのは大学の時に初めてでした。いつも歌う時は別のこと考えながらやってたので、(歌の)練習に集中してなかったです。
(ご両親は驚かれたのでは?)
お母さんは何でもやりたいことをやってみたらいいんじゃない? それが向いているかもしれないし。オペラの道を真っ直ぐ行って向いてなかったら、最悪じゃないですか。だから、思いついたら何でもやってみたらいいんじゃないかって、オーディションの時もついて来てくれたんです。お父さんには、合格してから「来年から大阪へ行くわ」って言ったら、本当に机をガッシャンとひっくり返して怒ったんです。私もお母さんも、「うわ~すごい!こんなアニメみたいな怒り方ってあるんだね~」って、ケラケラケラケラって笑ってて。
(あははははは)
父の反対には耳も貸さずに来ました。でもね、東京で新喜劇をやった時とか、ゴールデンウィークには、お父さんも見に来てくれるようになりました。

―オーディションの特技披露は?

その時、アングラの劇団に出演し終わったところだったので、その時の踊りを踊りながら、オペラを歌うってヘンなことをしました。アングラも結局向いてなくて、ムチャクチャ浮きまくってたんですけど。
(アングラ劇に?)
30年くらいの歴史のある月蝕歌劇団という劇団なんですけど。(※女性のキャストが中心で“暗黒の宝塚”と称されるスーパーアングラ劇団)寺山修司さんとかJAシーザーさんとかアングラ界の人たちが書いた脚本とかやってて、メッチャ面白いんです。血糊とかをいっぱい飛ばすんです。ピュ、ピュ、ピュ・ピュッって…。
(小さい頃から楽しいことが好き?)
めちゃめちゃ楽しいことを探してました。興味と関心がすごく強いので、虫とか研究してました。
(虫?)
ダンゴムシがどういう状況で丸くなるんだろうと思って。ママに聞いても知らないから、一緒にメチャメチャ明るい光を当ててみたりとか。凄い寒いところに置いてみたりしてたんです。アメンボがご飯を食べているところが見たいと思って、アメンボいっぱい捕まえたり。昆虫博士に弟子入りしてもいいよと言われたこともあるんです。カイコも飼ってました。あと、車のボンネットの上で、卵焼き焼いてみたこともあります。夏とか、アチっとなるじゃないですか。「これ、卵焼き焼けんじゃね?」ってなって。なんか、うちの家族みんな変なんです。

―オペラにはいつごろから興味を持たれたんですか?

子どもの時から歌が好きで。ずっと何かの主題歌を歌いたいな思ってたんです。中学生くらいの時に歌を習ってみようと。音楽教室で習うとなると、声楽なんですよ。習いに行ったら、偶然声が出たんです。周りの人に「君には才能がある」とか、「君はこの世界で輝いている」とか言われて…。高校も音楽高校へ行って。大学も音大まで行って。高校から5年間はしっかりやりました。

―新喜劇に入られたのはいつ?

大学2年生の時ですね。3年生になる時に大学を休学して…。
(いきなりの1人暮らし。不安とかは?)
全くないです。何とかなるだろうと思ったら、何とかなったので。
(大阪弁とかは?)
普段の喋りは標準語が多いんですけど、セリフは教えて貰って、音で覚えます。タンタタタタタ…。音の高さで印付けて、ここ上がる、ここ下がる、このくらい下がるとか。で、なんとかクリア! と思ってやってるんですけど…。
(ほおお~絶対音感あるんですか?)
ありません! ないです。絶対音感がつかなかったので、メッチャ頑張って相対音をつけるっていう。学生の時にずっと音叉を持ち歩いて、音が分からなくなったら、音叉で聞いて、そこから数えるんです。
(いまだに音叉を持ち歩いてたり?)
家にありますよ。歌のシーンとかで。今週も歌をやらせてもらっているんですけど、前奏がある時はそれに乗れるんですけど、いきなり歌う時は、音だけ外さないようにしてます。誰が聞いてるかわからないじゃないですか。プロの人が聞いていると恥ずかしいなと思って。
(音叉をどうやって使うんですか?)
音叉を叩くと「ラ」の音が鳴るんです。
(セリフを音符にするのは初めて聞きました)

―新喜劇の練習の短さにはついて行けました?

うーん、何か音大もそんな感じです。楽譜を渡されて、「明日までに歌え」とかあるので。なんか、そんなに衝撃はなかったですね。
(苦労したことは?)
苦労すること、メチャクチャありますよ~。なんせ、頭が悪いんです。頭が悪いから、苦労することだらけですよ。
(例えば?)
お笑いって頭が悪くても、それが個性だとか、ツッコミの方がフォローしてくださって、いいってなるじゃないですか。私はそのままでいいと思ってたんですけど、川畑兄さんにある時、「お前は質の悪いアホやから、アホの質を上げなさい」って言われて…。
(あははははは)
これはどういうことだ!? と思って苦労しました。
(そんなこと言われた人、聞いたことないです)
質の悪いアホなんですって。とりあえず、アホはアホなりに、どこがアホかを考えて。とりあえず、人を怒らせることは止めよう、何事も一生懸命やろうって。川畑兄さんが言ってた「質のいいアホ」というのは、一生懸命やるがゆえに失敗してしまったりとか、そういうのは可愛らしい奴やから、そっちの方へ行った方がいいと言われて。
(今はどうなんですか?
川畑兄さんに聞かないとわかんないですねえ~(笑)きっと言ったことも覚えてないと思います。

―初舞台は覚えてますか?

川畑兄さんが座長の西梅田です。オープニングで大学生の女の子3人が、この辺で映画の撮影があるらしいよ~って出てきて、清水啓之兄さんにいじられて、そこへ川畑兄さんが出てきて、名探偵コナンの友だちのくだりをやりました。
(緊張は?)
しなかったですね。とりあえず、元気よく楽しくやってみよう、って。緊張よりもワクワクが凄くて。自分では1週間終わって、「やり切った~!!」と思って、次も早く出たい、次も早く出たいって思ってたんですけど、1、2年くらい経って、初舞台の時に出番が一緒だった太田芳伸兄さんと話してた時に、「こいつ見た時に、ほんとにヘタクソで、とんでもない奴が入ってきたなと思った」って。元気で声は大きかったけど、ほんとに何にも出来てないしと言われて。私は100点やと思ってたのに。「わ~恥ずかしい~すごい堂々とやっちゃった」って。そこからたぶん成長してないと思います。

―悩まれてることとかあります?

あんまり悩まない性格ですね。でも、あります! ファンが少ない! ファンが少ないことにすごい悩んでます。ふふふふっ。
(まだ3年ですね)
毎日がすごい楽しいです。仕事のない日も楽しいし、仕事のある日はもっと楽しいし。
(舞台のない時は何を?)
遊んだり、遊んだり、遊んだり、バイトしたり、遊んだりです。本とか読んでたり、映画みたり。1人でぷらっと出かけてみたりとか。

―ご自身は歌を武器にしたいと思ってますか?

うーん、武器? オプションくらいですかね。そりゃ武器になれば何よりですけど。歌だけではやっていけない気がします。お芝居もうまくならないと。
(お芝居に関する先輩からのアドバイスとかは?)
アドバイス? あんまりアドバイス受けないタイプです。まだ3年目やし。才能がある子で、この人、育てたい!って言う人がいたら、いっぱい教えてもらえると思うんですけど…。私、新喜劇に入る前、バラエティとか見てたら、「この人にすごい育ててもらった」とか言うのを聞いて、私は誰に育てて貰えるんだろうって、ワクワクしてたら、そんなことはない、自力で頑張れ! って感じで…。
(あははは)
でも皆さん、すごいかわいがってくださいます。その時々、お芝居のことだとか教えてくださるんですけど、もうちょっと自力で上がらないと、とは思ってます。

―これからやってみたいこととかは?

あります。私、すごい真面目な友だちから、私といたら「いい意味でバカになれる」って何人かから言われたことがあって。これは、いいことなんじゃないかって思ったので、全力でバカなことを本気でやって行きたい。落ち込んでる時、どんなに優しい言葉をかけてあげたとしても、それはそれで励ましになるとは思うんですけど、意外に、バカなことをやってる人を見ると、元気になることってあるじゃないですか。そういう人になりたいなあって。だから、単独ライブとかいっぱいやりたいです。でも、私のことを好きになってくれるオタクがいないから、単独ライブといっても、ほんとの単独になっちゃうかも!? うふふふふっ。
(あはははは…)
お客さんが…ファンが少ないのが悩みだから。でも、10年のうちにはちゃんとできるようになりたいです。バカなことをすごいたくさんやりたい。
(憧れている人は?)
意外と隠れて、芸人さんの単独ライブに行ったり、DVDを見たりするのがすごい好きなんです。芸人さんみんなに憧れてます。私はもっとハチャメチャなことやりたいですけどね。いっぱいネタを考えて、いろんな見せ方を考えないと。まだまだですね。頑張らないといけないですね。新喜劇では、宇都宮まき姉さんとか、未知やすえ姉さんとかバラエティにもでられるじゃないですか。新喜劇もバラエティも完璧にこなすというのが、かっこいいなあと思ってます。私は新喜劇は「かわいい枠」で入ったと思ってたんです。審査員の方に「かわいい」って言われたんです。でも後から聞いたら、「君は変人枠で入ったんだよ」って言うから。
(あははは)
あ~そうですか、じゃあ、もっと変人になっちゃおって思って。

―新喜劇の中でやってみたい役は?

見えないですね。今までの役だとほかに素晴らしい先輩がいるじゃないですか。そこで闘うよりは、別のとこ探そ、って感じなので。
(大塚流ですね。でも、のめり込むタイプだから、すごいことになるかも?)
なりたい!! メチャクチャなりたい!! 音楽大学のオペラの師匠がすごいたくさん教えてくださったんですが、急に新喜劇受かったので、大学を休学しなきゃという時に、貴婦人みたいな先生なんですけど、「来年から休学して、新喜劇をやりたいんです」と言ったら、その先生のド肝が抜けたんですよ。ド肝を抜いちゃったので、いろんな人のド肝を抜いて行きたい。お客さんとか、テレビを見てくれてる人とか。これは大きい大きい夢です。

―プライベートでハマっていることや趣味は?

官能小説が好きです。
(官能小説!?)
はい。ハマってて。なんか、ぐーっと、読みこんだら、エロい意味にしか読めないけど、ちょっと離れて上から読んでたら、めちゃくちゃ面白いです。いろんな小説家の方とかいらっしゃるので。いろんな発想を駆使して。でも、やってることはひとつじゃないですか。それをどう表現するか、いろんな方の個性があったり、設定が違ったりとか。それが「ああ面白いなあ」って。Hな目線じゃなくて。
(ものごとの見方が、普通の方とちょっと違う?)
うーん、なんかよく言われるんですけど。わかりません、それは。でも、オペラは今でも好きです。見に行ったりします。大学の先輩たちがちょくちょくミュージカルとかにも出るようになって来ているんです。知らせてもらって行くようにしてます。

2019年11月18日談

プロフィール

1997年3月12日埼玉県出身。

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