京都アニメーション放火殺人事件。9月5日の初公判を傍聴した遺族の1人が、閉廷後、取材に応じました。

「すこしだけでもいいので耳を傾けていただけたら」と前置きして、寺脇(池田)晶子さんの夫は裁判の印象を話し始めました。

「きょう初公判に参加して思ったんですが、検察も弁護側も当然なんですけど、量刑を決めることを目的として話を進めてはるな、ということはひしひしと感じました」

「まだまだ病院で辛い思いをされている方もいらっしゃる。事件も何件か起きてしまっている。これからも起きる可能性も否定できない。量刑だけに興味を持つんじゃなしに、何でこんなことが起きたの?『青葉さん、何でこんなことやってしまったの?』っていうことに、みんな目を向けてほしい」

「動機みたいなのを初公判で聞いたんですけど、残念だが誰にでも、あの心境に陥る可能性はあるのではないか。もっというと今回の事件が起こった原因は、ガソリンでもなくてライターでも着火剤でもなくて、人間だれしもが抱えている心の闇かなって」

事件発生から4年。初公判を迎えた心境については…

「やっと始まってくれたなって。これで判決が出れば、子どもにきちんとした形で説明できるし、子どももけじめがつけられるだろう」

また、事件を起こした青葉真司被告をはじめて見て、どんな感情になったのか聞かれると…

「なぜか、涙が出てきました。なぜかわからないです。悲しいのか、嬉しいのか、わからないけど涙が出てきた。少なくとも、青葉さん(被告)に対する同情という意味での涙ではない。晶子に対して、息子に対して、やっと張本人の顔を拝めたのに、分かんないですけど、ただ涙が」

裁判で被害が読み上げられる中で、辛さがこみあげてきたといいます。

「あまりの被害の大きさに、ものすごくしんどかった。あらためて死因とけがされた方々の名前を出されたら辛かった。それで妄想一言では片付かないでしょ、納得できない。」

寺脇(池田)晶子さんの夫は、被害者参加制度を使って、裁判にも参加する予定があるということです。