今、人気を集めている「マンホールカード」知っていますか?各地のご当地マンホールがデザインされたカードで、自治体が無料で配布しています。このマンホールカードの転売が相次いでいて、自治体や愛好家が憤っています。取材班は、オークションサイトで転売する出品者に接触しました。

ご当地マンホールが人気上昇中!漫画のキャラのデザインも

 大阪市中央区の大阪城公園。大阪府吹田市在住の森川あやこさんが20年以上愛してやまないものがあります。それが「デザインマンホール」。各地のご当地マンホールを求めて全国を巡っています。

 (森川あやこさん)「これはミャクミャクのマンホール。かわいいし、おすすめです」

 大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が描かれたマンホール。その近くには、大阪市出身の漫画家ユニット・ゆでたまごさんが描いた「キン肉マン」のマンホールもあります。

 写真の撮り方にもこだわりが…

 (森川あやこさん)「回り込んで、(自分の)足先を必ず入れて撮ります。他人が撮った写真じゃなくて、私が撮った!みたいな。芸術です。路上の芸術作品」

 デザインマンホールはここ数年で人気が上がり、外国人観光客にも注目されています。知名度の向上や観光促進などを目的に自治体が制作。10年前からは、全国のデザインマンホールが集まるイベント「マンホールサミット」が年に一度開かれ、例年1万人以上のファンが押し寄せます。そこでは、マンホールの鉄板で焼いたホットケーキも。

全国各地の自治体が制作する「マンホールカード」

 そんなファンの心をくすぐるのが「マンホールカード」です。自治体が配布場所を決め、そこに来た人だけが1人1枚、無料で手にすることができます。現在、全国で724の自治体などが制作し、ファンが集めています。森川さんももちろんマンホールカードを集めていて、約100種類を持っていると言います。

 (森川あやこさん)「(このカードのマンホールは)日本で初めてデザインされたデザインマンホールで、沖縄の那覇のマンホール。プリントが施されたのは那覇が初めてなんですよね」

 しかし、このマンホールカードをめぐって森川さんが許せないことが起きています。
14.jpg
 (森川あやこさん)「転売目的の方が何回ももらって、そして転売しているので、そこのマンホールカードをほしい人が入手できないことがあるのでやめてほしいです」

 無料配布されたカードの転売です。

大手フリマサイトには大量の出品が 1枚「約10万円」のカードも

 取材班が大手フリマサイトで調べてみると…

 (記者リポート)「大阪城のマンホールカードが1枚6万100円で売られています」

 2枚セット6050円で出品され、「SOLD OUT」となっているカードも。

 静岡県富士市の富士山のマンホールカードは10枚セットで8万8000円です。愛知県岡崎市の岡崎城のマンホールカードは1枚でなんと約10万円。

 全国各地のマンホールカードが大量に出品されていて、なかでもアニメキャラクターがデザインされているものは高額で取り引きされていました。

服装を変えて何枚ももらいに来る人も?自治体から落胆の声

 大阪府南部の柏原市もオリジナルのマンホールを作っています。マンホールは4種類で、名産品のデラウェアやシャインマスカット、人気アニメなどがデザインされています。

 柏原市では歴史資料館や文化会館など、市内の数か所にカードの配布場所を設けていて、カード目的で訪れた人がついでに観光することができます。しかし、配布初日から転売され、3枚セットで5555円で売られるケースも。これに対して市は…
23.jpg
 (柏原市役所下水工務課 道原翔太さん)「柏原市に来ていただくとか下水道の役割を知ってもらう目的で制作しております。目的と違う売買で使われていることに対して残念ではあります」

 また、1人1枚までと呼びかけているものの、何枚ももらいに来る人がいるといいます。

 (柏原市役所下水工務課 道原翔太さん)「服装を変えたり、帽子をかぶったり、変装したりして気付かれにくくしている。私たちも2回目3回目を配っている可能性はありえるかなと」

転売する人「欲しい人にあげられるならいいかなと」

 なぜ転売するのか。取材班はオークションサイトに出品している人物に接触し、話を聞きました。

 (マンホールカードを転売している人)「(Qきっかけは?)もともと電車旅が好きで、山口県に行ったときにマンホールカードをもらった。家の片づけをしている時に、もしかしたら売れるんじゃないかと思って、実際に出してみたら売れたので、どんどんやってみようと思った。記念にもらったものをネットで売って、欲しい人にあげられるなら、それでいいんじゃないかなと思います」

 出品の手間賃として1枚150円~約500円で売っているといいます。マンホールカードの転売で自治体が困惑していることを伝えてみると…

 (マンホールカードを転売している人)「自治体によっては、はっきり市役所のホームページに転売禁止と書いてあるんですよ。そういう自治体のところはもらわないようにというポリシーでやっています。何回ももらって何回も出品している人もいると思いますが、自分はルールを守って1種類につき1枚しかもらわないと決めていますね」

 現地に足を運んでほしいと願い、自治体が税金を使って配布しているマンホールカード。ファンの森川さんは出品者だけでなく、購入者も買う前にもう一度考えてほしいと言います。

 (森川あやこさん)「交通費かけたり、時間がないから安易に買って集める方の気持ちも理解できなくはないですが、配布が終了してしまうことにもなりかねないと思うので、やめてほしいですね」