ルール無用、注意も無視…。45万人が来場した8月5日(土)の「第35回なにわ淀川花火大会」の裏側を取材しました。縮小開催だった去年、立ち入り禁止区域での観覧などマナーを守らない人たちの姿が多くありましたが、“フル開催”の今年も、迷惑行為があちこちで起きていたようです。
コロナ禍前とほぼ同じ規模で開催 会場でのアルコール販売も解禁
8月5日に行われた夏の風物詩「なにわ淀川花火大会」。大阪の真夏の夜空を大輪の花火が彩りました。今年のテーマは「希望」です。
(子ども)
「楽しいです」
(カンボジア人)
「めちゃめちゃいいですね」
「楽しいです。めっちゃきれい。初めて見た」
(浴衣姿の女性たち)
「最高ー!大阪最高!」
去年はコロナ禍だったため規模を縮小して開催されましたが、今年は屋台の数や規模もコロナ禍前とほぼ同じに。去年は禁止されていた会場でのアルコールの販売も解禁され、大勢の人が詰めかけました。
(店の人)
「アルコール販売がやっぱり久々やから『うぉーいいなー』とか『冷えてるなー』とか言うてくれるのでいいですね」
(ビールを飲む人)
「炎天下で飲むビールが一番おいしいですから。あと5本くらいはいきたいですね」
午後3時ごろ、打ち上げまで4時間以上あるにもかかわらず、阪急十三駅前は浴衣を着た人らで人だかりができていました。警備にあたる警察官の緊張も高まります。
マナーの悪い客も多いことから、周辺では、トイレの貸し出しはしないと宣言するお店も。さらに…。
(記者リポート)
「花火会場の目の前の家では、人が入ってこられないようにフェンスが設置されています」
車道にまで人があふれる 車は大渋滞
地元の願いはただ1つ、「まわりに迷惑をかけず、マナーを守って楽しんでほしい」。ところが午後5時ごろ…。
(記者リポート)
「人が広がっていて車が通れないような状況ですね。車が人の間をぬうように走っています」
時間がたつとともに車道にまで人があふれ出し、車が通行しづらい状況に。さらに…。
(記者リポート)
「車の大渋滞が起きています。救急車が渋滞に巻き込まれ、進みませんね」
この救急車は警察の誘導により、なんとか間をすり抜けていくことができました。
立ち入り禁止エリアに座り込む人、フェンスを跳び越える人…
そして残念ながら、今年もやっぱりルールを守ることができない人々の姿がありました。
(記者リポート)
「危ない。信号はないのですけれどもどんどん人が渡っています。1人が渡るとどんどん人が渡っていっています」
少しでも良い場所で花火を見ようと、車が走っているにもかかわらず横断歩道のない道路を平然と渡っていきます。
渡った先の歩道に当たり前のように座り込んでいますが、実はこの場所、立ち入り禁止エリアです。
横断歩道のない道路を渡る人の中には、小さな子どもを連れた人も。
(記者)「危なくなかったですか?」
(子連れの人)「そうですね、すみません」
(記者)「お子さんもいらっしゃるので、できればマナーは守って…」
(子連れの人)「ごめん、もうやめます」
また外国人も…。
(記者)「この道は危ないですが?」
(外国人)「どうもすみません。問題ないです」
そして、打ち上げの時間が近づくと、観覧エリアを仕切るフェンスにのぼる大勢の人々が。すると…。
(記者リポート)
「あっ、今、跳び越えました、跳び越えました。柵を跳び越えて中に入っていきました」
観覧エリアの入り口まで行くのが面倒なのでしょうか、フェンスを跳び越える人がいました。
危ない!高さ2mのブロックをよじのぼる人たち…注意するも「どいてほしい」
そして午後7時半、いよいよ花火が打ち上げられました。近くの道路からは目の前の土手で花火がきれいに見えないため、大勢の人が土手によじのぼっていました。ブロックの高さは約2mあるのですが、無理矢理のぼっているのです。
(呼びかける警備員)
「危ないので土手の上に上がらないでくださいね」
もちろんこの土手の上も立ち入り禁止なのですが、注意を無視してのぼる人が後を絶ちません。
(記者リポート)
「鉄柱の上にのぼっている人もいますね。非常に危ないです。しかもタバコを手に持っています」
ガードレールの薄い板の上に立って写真を撮る人も。もし足を滑らせ転落したら大けがにつながりかねません。
取材班が傍若無人にふるまう人々を注意すると…。
(記者)「危なくないですか?」
(見物客)「大丈夫です、どいてほしいです」
(記者)「危なくないですか?」
(見物客)「はい、大丈夫です」
(記者)「マナーとしては良くないと思うのですが?」
(見物客)「いやー、まぁ、わからないです」
“罪の意識”は無いのかと尋ねてみると…。
(記者)「危なくなかったですか?」
(見物客)「危なかったよなー。みんなが上に上がってたから」
ルール違反は淀川にかかる橋の上でも。橋の上は花火がよく見える“特等席”なのですが、人が滞留すると雑踏事故に繋がりかねないため、立ち止まるのは禁止です。ところが実際は多くの観覧客で埋め尽くされています。
すると、もっと良い場所で花火を見ようと、またフェンスを乗り越えていく人たちの姿が。
マンションの敷地内にレジャーシート広げて食事 話を聞くと…
会場周辺にはこんな人たちも。マンションの敷地の中でレジャーシートを広げ、食事を楽しんでいる家族がいました。当然、このマンションの住民かと思いきや…。
(記者)「みなさんはこちらのマンションにお住まいですか?」
(家族連れ)「違います、違います」
(記者)「どちらにお住まいなのですか?」
(家族連れ)「八尾です」
八尾から花火見物にやってきた全く関係のない家族でした。
(家族連れ)「ただ歩いていていい場所を見つけたっていう感じで。言われたらどくけどみたいな感じやんな」
“酒に酔いしれ”植え込みで眠る人も
今年は去年と違い、アルコールの販売がOKになりましたが、花火ばかりでなく、酒に酔いしれてしまったのか、植え込みで気持ちよさそうに眠ってしまっている人の姿も見られました。
(記者)「花火終わりましたよ。ちょっと飲みすぎちゃいました?」
(眠っていた人)「若干ね」
(記者)「花火どうでした?」
(眠っていた人)「きれいかったです」
そして、宴の後にはやっぱり、無数のゴミが散乱していました。
翌朝…会場でゴミ拾いをする地域住民たち
翌日の午前8時、花火会場へ行ってみると、朝早くからボランティアや地域の住民らが観覧エリアや会場周辺のゴミ拾いをしていました。
(ボランティア)
「花火を見るだけじゃなくて意識して花火を見ようとか、花火を見終わった後に自分も地域に貢献しようみたいな人が1人でも増えてくれたらいいなと思っています」
コロナ禍前の活気が戻り、各地で花火大会が開催される今だからこそ、1人1人のマナーについて改めて見直す必要がありそうです。