大阪府八尾市の市議会で「居眠りをしている人がいる」と市民から怒りの声が上がっています。その実態を調査するべく、取材班が『居眠り議会』を直撃しました。
「市長の発言中にコクリコクリ…納税者として納得できない」
今年5月、取材班宛てに1通の手紙が届きました。
【手紙より】
『八尾市議会で市長の横で居眠りするオジサンについてぜひ取り上げていただきたくお便りさせていただきました。市長が発言されているのにコクリコクリ。普通の会社ならこんな頻繁に居眠りしていたらクビです。納税者として納得できません』
大阪府八尾市の市民から「議会で居眠りする人がいる」という怒りの声でした。
取材班が手紙に書かれていた八尾市議会の映像を確認すると、去年11月29日の本会議で…。
【去年11月29日の八尾市議会でのやりとり】
(山中宏市議)「市長、何かひとことお願いします」
(大松桂右市長)「先ほどから細かくご指摘をいただいておりまして、ご指摘については真摯に受け止めていきたいというふうに思っております」
市長が議員からの質問に答えている最中に、市長の横に座る男性の首が大きく傾きました。
去年9月7日の本会議の映像でも首が傾く様子が。しばらくするとまた傾きました。
市長の横で目をつぶりたびたび首が傾くこの男性は、八尾市の植島康文副市長、64歳です。議員ではなく副市長という市の幹部職員で、税金から支払われている月の給料は約70万円です。
取材班が八尾市議会の本会議の映像を確認したところ、少なくとも2021年は約5日、去年も約5日、目をつぶって首が傾く様子が確認できました。
市民「聞くたび見るたび腹立つ」「時給いくら?と聞きたい」
この現状について八尾市民に話を聞くと次のような声が聞かれました。
(八尾市民)
「仕事してないんやもんね、はっきり言って。注意する人が誰もいないのかな。こればっかりは聞くたび見るたびに腹立つけどね」
「税金でお仕事をしていただいているので、寝ているなんて、とは思いますけど。そういう姿をニュースとかで見ると子どもたちも大人はどうしているのかなというふうに思ってしまうと思う」
「私も60代で、結構60歳をこえると1年1年の疲れが大きいから、気持ちはわからないこともないけど、その時だけでもしっかりしてくれはったらとは思う」
「時給いくら?って聞きたいですね。時給計算で寝ていたらその分を減給するとかね。立って聞くとか寝られない状態を作った方がいいんじゃないかなと思います」
税金で働く市の副市長。市民からも怒りの声です。
市議会を取材すると…何度も目をつぶりウトウト
実態を確かめるため、取材班は6月15日、実際に八尾市議会を取材。この日は今年4月の統一地方選挙後の初めての代表質問。市長が今後の市の方針を話す大切な日です。
この日も市長の横に座る植島副市長。すると議会が始まって約30分で…。
(記者)「今、議会が始まって約30分です。もうすでにウトウトしかけています」
その後も。
(記者)「あ、目をつぶっていますね。今、市長が大切な答弁をしている最中なんですが、完全にウトウトしてしまっています」
何度も目をつぶってウトウトする様子が確認できました。ただ、この日はたまたま調子が悪かっただけかもしれません。
取材班は翌日も八尾市議会を取材。すると…。
(記者)「腕を組んで目をつぶっておられます。先ほどから頭が落ちてしまうシーンも何度も見受けられます」
1人の答弁が1時間を超えることもありますが、2日間の代表質問の間、何度も目をつぶる様子がみられました。
副市長を直撃「眠っているという意識は全くない」
記者が植島副市長を本会議終わりに直撃しました。
(記者)「本会議でかなりウトウトしていることが多いと」
(植島副市長)「そうですか。あんまり記憶はない。いつも市長が答弁されている時に市長の答弁を全部チェックしているので、ひょっとしたらマスクをしているので、下を向いていることが結構多いので誤解をされたのかなと思いますけどね。私自身が基本的に完全に眠っているとかそういう意識は全くないので」
(記者)「(映像を見せながら)ご覧になられて、頭が落ちていっているような状況ですが?」
(植島副市長)「中で見ているとそういうふうに見えるかもしれないが自分自身は全くそんなことはないです。いろんな形の中の動作なので、それをちょっと寝ているとかそんなことを言われると私もちょっとつらいですよね」
目をつぶって考え事をしているだけで寝ていないと植島副市長は主張しました。市民からの怒りの声が届いていることについては。
(植島副市長)「そう思われていること自体は確かに自分自身も反省しないといけない。きっちり市民に誤解を与えないような形でしっかりやらないといけないのかなとは思っています。そこは当然真摯に受け止めて、これからしっかりやらしてもらわないといけないと思っています」
市議会で横に座っていた『市長』の認識は?
では、横に座っていた市長はこの問題をどう捉えているのでしょうか。
(八尾市 大松桂右市長)
「市民さんからそういった声が届いてるっていうのは非常に私としましても遺憾なことだと思います。本人にはちゃんと確認いたしました。『寝たのか?』と。『寝ていません』と。『目はつぶっていたけど寝ていません』と言われた。(Q市長も気付いているのでは?)気付いていたら正直起こします。起こすって言うたらおかしいけど、今後そういった疑義が生じない所作には努めてほしいということは話はさせていただきました」
実は市議会を取材した2日間で、副市長以外にも職員や議員が目をつぶっている様子が確認できました。居眠り議会と呼ばれないためにも行政や議員は改めて襟を正す必要があるのではないでしょうか。