兵庫県の姫路バイパスの途中にある「姫路サービスエリア」。休憩場所として多くのドライバーが利用するこのサービスエリアでは、長年“ある問題”に悩まされています。

「相乗り行為」が常態化したサービスエリア

 兵庫県姫路市を横断する姫路バイパスは地域の大動脈として欠かせない無料の自動車専用道路です。今回の憤マンの舞台はこの道路の途中にある「姫路サービスエリア」。10月12日(水)の昼過ぎ、駐車場は大混雑していました。

 (利用者)
 「一回で置けたのが珍しいなと思って。いつも2周ぐらいはまわるんやけど。なんでこんなになってもうたんやろうね」
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 いつも混雑しているという駐車場。確かに大型トラックと乗用車用で計約130台分あるスペースはほぼ満車状態でした。その割にはトイレやコンビニエンスストアなどを利用している人は少ないように感じます。いったいどういうことなのでしょうか。
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 さかのぼること8時間、まだ夜明け前のサービスエリア。

 (記者リポート)
 「午前5時半です。駐車場には車を止めて仮眠をとる人などがいますが、埋まっているのは3割ほどでしょうか。まだ空きスペースが目立ちます」
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 しかし午前6時をまわると様子が一変します。

 (記者リポート)
 「駐車された車から作業着姿の男性が出てきました」

 車から出てきた男性はすぐ近くに止まった別の車に乗り込みます。

 (記者リポート)
 「こちらの男性は車のトランクからヘルメットを取り出すと…止まっていた別のトラックに乗り込みました」
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 これはいわゆる「相乗り」です。それぞれが乗ってきた車をサービスエリアに止めて、1台に乗り合わせて、仕事やレジャーなどに向かっているとみられます。

 (サービスエリアの清掃員)
 「(Qここは相乗りが多い?)ほとんどちゃいます。ほとんど。そのへんなんかいつも同じ車が止まっています」
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 サービスエリアを管理する姫路河川国道事務所によりますと、こうした相乗り行為は15年ほど前から常態化しているといいます。

 (国交省姫路河川国道事務所 竹田佳宏副所長)
 「相乗りをしている乗用車がいまして、大体1日40台~50台という状況になっています。(乗用車用105台分のうち)半分ぐらいが長時間駐車になっている割合かと思います。(Q長時間駐車が多い理由は?)一つは、このサービスエリアは一般道からも入れる、あわせて上りと下りが分かれていないということもあります」
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 相乗りが多い理由として考えられるのが立地です。2000年にバイパスが無料化されたことに加えて、バイパスの上りと下り、そして一般道路からも入れます。なおかつ駐車料金もかからないことから、合流場所として重宝されているのです。

満車で“駐車スペース外”に止める利用者も

 3時間、定点観測してみると、画面右側の列に駐車している車はほとんど変わりませんでした。
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 (国交省姫路河川国道事務所 竹田佳宏副所長)
 「(この車は)8月から警告を出しています。こっちは7月ですね」

 中には1か月以上放置されている車もあり、駐車場不足に拍車をかけています。
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 お昼時になるとほぼ満車になりました。空きスペースを探して駐車場内を何周もする車も多くみられます。

 (利用者)
 「(Q結構待ちました?)待ちました。たいていここを利用する時は困っています。やはり長いこと止められるのは困りますね」
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 このサービスエリアを週4回利用するというトラック運転手は次のように話します。

 (トラック運転手)
 「トラックのところに普通車が止めてあったりとかで困りますね。眠たい時にどうしてもドライバーが使ったりもするので、その時に止められなかったら路上駐車になったりするので、事故の原因になると思うので。長時間駐車を無くしていかないとトラックドライバーにはしんどいですね」
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 待ちきれないのか駐車スペースではない場所に止める車も…。

 (国交省姫路河川国道事務所 竹田佳宏副所長)
 「今、手前に止まっている車なんですけれども、本来の駐車スペース以外のところに止まっていまして、真ん中から出てくる車が通る時に少し邪魔になる状況になっています。曲がる時に本来内側を回ってこられるのが、ずっと外に大回りしたりだとか、本来通る走行ルート以外を通るので、事故が起こる危険性は高まると思います」

 (駐車スペース以外に止めようとする車に注意をする竹田副所長)
 「駐車スペースじゃないですよ。ここ駐車スペースじゃないので危ないですよ」
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 いつ重大な事故が起きてもおかしくない状況ですが、そもそも駐車場であることから、長時間駐車を取り締まることはできません。このため相乗りをやめるよう呼びかけるぐらいしか対策は取れないのです。

相乗り行為をする人『別になんとも思わない』『他に止めるところがない』

 日が傾き始めた午後5時すぎ、相乗りで帰ってきた人を取材班が直撃しました。

  (記者)「どこから帰ってきた?」
 (利用者)「相生です」
  (記者)「お仕事ですか?」
 (利用者)「仕事ですね」
  (記者)「なんでここで相乗りするんですか?」
 (利用者)「僕ら仕事上、車は一台しか行けないので。相方と合流できるのがここ以外ないので。たぶんほとんどの人がそうだと思うんですけどね」
  (記者)「車が止められなくて困っていると話を聞いたのですが?」
 (利用者)「別になんとも思わないですけど」
  (記者)「どうしてもここに止めたい?」
 (利用者)「そうですね。他に止めるところがないですし。止めるところがないからここに止めるしかしゃあないです」

状況悪化すれば“一般道から入れなくする”など強い措置検討

 他人の迷惑をまったく顧みない身勝手な人たち。姫路河川国道事務所は、今後状況が悪化すれば、一般道からサービスエリアに入れなくするなど、より強い措置を検討するとしています。ただ、長距離ドライバーの仮眠や体調不良時など様々な理由での利用があるため、『杓子定規にルールを決めるのは難しい』とも話しています。

 (国交省姫路河川国道事務所 竹田佳宏副所長)
 「こちらの駐車スペースはドライバーのための休憩施設になります。相乗りをすることによって駐車スペースを長く占有されますと、必要とするドライバーが使えないということになりますので、使い方を少し考えていただければ、我々はうれしく思います」

 また兵庫県警は、サービスエリアの駐車場は『道路ではないので駐車違反としては取り締まれない』としていて、ルールは管理者が決めるものだと説明しています。