京都・鴨川では、夜の河川敷で多くの人が宴会を行ってゴミを残していくため、地元の住民らが頭を悩ませています。それと同様の問題が、神戸を代表する観光スポット「メリケンパーク」でも起きていました。3回目の緊急事態宣言が出されて以降、パーク内では飲酒や集団で飲食する行為は禁止されていますが、夜に取材に行くと、大騒ぎする人たちの姿がありました。そして、夜が明けると取材班が目にしたのは、やはりゴミの山でした。

ゴミが散乱する朝のメリケンパーク

神戸市中央区にある「メリケンパーク」。公園内は4年前に再整備され、きれいな芝生が広がり、昼間は子ども連れやピクニックを楽しむ人などで賑わっています。穏やかな雰囲気が漂う都会の公園。しかし、朝の表情は全く違うといいます。
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6月12日の午前5時、取材班がメリケンパークを訪れてみました。すると、園内ではそこかしこに空き缶やペットボトル、食い散らかされたゴミが放置されていて、ハトやスズメが集まっていました。神戸を象徴するモニュメント「BEKOBE」の周辺にもゴミが散乱しています
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前夜からいたとみられる若者たちが、禁止行為とされているモニュメントに登り写真を撮っている中、その近くでは1人の男性がゴミ拾いをしていました。近くに住む難波久芳さん(52)です。10年前から毎朝メリケンパークでジョギングをしていたところ、ゴミが目に付くようになり、去年9月からボランティアでゴミ拾いを続けています。
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(ボランティアでゴミを拾う難波久芳さん)
「きのういろいろ食べたんだろうなという。テイクアウトしてきた食べ物の容器が多いですね。なんとも言えないですけどね。いつかゴミがゼロになる日は来るのかなと思って」
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少し歩くだけで難波さんのゴミ袋3つが満杯になりました。
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(ボランティアでゴミを拾う人)
「タバコの吸い殻は駐車場が特にひどいですね。これで100本くらいですね。海が近いので大きなゴミよりも小さなゴミが流れやすいので、海洋ゴミにつながるので、それをちょっとでも阻止できたらなと」

ゴミが増え続け…神戸市は臨時のゴミ箱を設置

難波さんらのゴミ拾いはほぼ毎朝行われています。

(ボランティアでゴミを拾う難波久芳さん)
「なんやねんこれって感じ。(Qなんですか?)コーンフレークに牛乳が染みてますね。本当にひどくなったのは飲食店へのいろんな制限が出だした時。それになってからは缶ビールの量が圧倒的に増えましたね」
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難波さんによりますと、メリケンパークのゴミは今年4月ごろから増え始めたといいます。
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難波さんらの声を受けて、神戸市は苦肉の策として、6月から臨時のゴミ箱を設置しました。

(難波久芳さん)
「根本的な解決には全くなってないと僕は思うんですけれども、一歩前に進んだかなぐらいには思っています。ゴミ箱を置いているから『この時期に公園で飲食してもいいですよ』と暗に認めているところもあるし…」

地元の住民の方々の受け止めを聞きました。

(地元住民)「きれいな公園なのに、もうちょっときれいにせんかい、と思いますよ正直なところ」

(地元住民)「神戸はきれいな街やという自信があるので、汚れていくのは嫌やし」
(地元住民)「ゴミを見るのは嫌」
(地元住民)「嫌やなあ」
(地元住民)「捨てているのを見るの」

いたるところで行われている路上飲み

今年4月に緊急事態宣言が出されてからメリケンパークでの飲酒や集団で食事をすることも禁止になっています。そんな中、メリケンパークの夜には、一体何が起きているのでしょうか。

(記者リポート)
「6月11日金曜日の午後8時半です。公園内ではいたるところで路上飲みが行われています」

金曜日の午後8時を過ぎると、海沿いのベンチはほとんどが埋まり、談笑する人たちの姿がありました。そして、若者たちがコンビニの袋を手に持ち、続々と公園内へと入っていきます。
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(公園内にいる人)「全員俺のおごりだ飲んで帰れ!」
(公園内にいる人)「イエーイ!」
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京都の鴨川と同じように、メリケンパークでも“乾杯”の発声があちこちから聞こえてきます。『飲酒禁止』だということを知らないのでしょうか。取材班が直接話を聞きました。

(飲酒する人)
「大学終わりにみんなでご飯食べて、ちょっとだけ飲んで、みたいな感じですね。(Qここもお酒禁止と言われているが?)そうなんですね、知らなかったです。ごめんなさいという感じで、もうやめます」
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(飲酒する人)
「(Q飲酒禁止は知らない?)ちょっとあまり気にせず、きょうは飲んじゃっていますね」

現場では『メリケンパークでの飲酒はおやめください』というアナウンスが15分おきに流れていますが、“飲酒禁止とは知らなかった”と話す人たち。
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(記者リポート)
「花火ですね。いま赤くなりました」

さらに公園内で花火をする人たちも。マスクを付けずに花火を楽しむ3人組。もちろん禁止行為です。

放置される空き缶や食事のゴミ…溢れかえるゴミ箱

6月12日の土曜日の午後8時、公園内で飲酒するグループはさらに増えていました。

(記者リポート)
「手をたたいてかなり盛り上がっています。マスクをしていない状態です」

スピーカーを持ち込み音楽を大音量で鳴らす若者たちもいます。
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深夜11時すぎ、すでに所々でゴミが放置され、空き缶やペットボトルなどがあちらこちらに捨てられていました。

神戸市が設置したゴミ箱はゴミが入りきらず溢れかえっていました。
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そして午前2時過ぎ、取材班の目の前で、こんな光景が…。

(記者リポート)
「ゴミ、持って帰らないですね。置いて帰りました」
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ゴミを放置をして帰ろうとする人たち。取材班が声を掛けます。

(記者)
「そのまま帰るんですか?ゴミそのままだと思うんですけれども。ここはそもそもお酒禁止ですけれども、けっこう酔っていますよね」
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(ゴミを放置していた人)
「すみません。何も考えてなかったです。ごめんなさい、ちょっと自分が…ストレスたまっているとかどうこうとか、言い訳ですよね、ごめんなさい。連れも呼んで片づけます」

最終的にはゴミを持ち帰りましたが、こうした状況はいつまで続くのか。

ゴミを拾うボランティア「神戸市民として恥ずかしい」

翌朝、ゴミを拾うことになるボランティアの人たちは、複雑な思いを抱えています。

(ボランティアでゴミを拾う難波久芳さん)
「やっぱり切ないですよね。自分のゴミぐらい自分で片づけようというのもあると思うし。こうやってゴミがいっぱい落ちているのも、神戸市民としてはとても恥ずかしいと思いますし。よそから来た人が『神戸行ったけど汚かったな』と言われるのはやっぱり心外じゃないですか」
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6月20日に解除された緊急事態宣言。しかし飲食店への制限は続いていて、各地で起きる異変は今後も続きそうです。

(6月21日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)