1月20日、大阪・関西万博の会場となる夢洲を訪れたのは、立憲民主党の岡田克也幹事長と安住淳国対委員長。晴れた寒空の下、パビリオン建設に向けた基盤整備工事を熱心に視察した。

(立憲・岡田克也幹事長)
「万博は国家的な行事なので一度ぜひ現地を見たいと思って参りました。ここまできたらぜひ成功してもらいたい、しっかり後押ししていきたいと思います」

去年の臨時国会に続き通常国会でも協調関係を継続する維新・立憲の関係を象徴するような出来事だが、ベテラン立憲議員からは「共闘は国会内だけにして、地方に持ち込まないでほしい」という冷ややかな声も聞かれた。

春の統一地方選を抱える大阪の地方議員の状況はより深刻だ。その複雑な心境を聞くと次のように話した。

(立憲・地方議員)
「党も共闘は考えがあってやっていることだと思うので、後ろから鉄砲を撃つことはしたくないです。ただIRのカジノについては、維新と立憲は本来考え方が大きく違うので、距離が近くなったことにより"カジノ賛成"となっていってしまわないか?という不安はあります。選挙ではカジノ反対を訴えますから」

維新に急接近。立憲けん制する自民だが...
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一方、この2日前、自民党の茂木幹事長も夢洲を視察していた。その傍らには、松井市長と吉村知事。国会ではこの前日、自民党の茂木幹事長ら幹部と維新の馬場伸幸代表らが会談し、
憲法改正やエネルギー政策などのテーマを通常国会でともに進めることで一致していた。視察後、茂木幹事長は維新と立憲の関係について、チクリ。

(自民・茂木敏充幹事長)
「自民も維新とは完全には一致していないが、国の根幹となる政策、憲法や安全保障、エネルギーでは一致していると思っている。どちらかというと、立憲と維新の方が、国家観が問われる問題については若干隔たりがあるのかなと」

通常国会の主導権を握るために、維新との連携を進めたい自民党だが、幹事長の夢洲視察に、大阪の自民党地方議員からは厳しい声が上がった。

(自民地方議員A)
「政府として来るならわかりますが、自民党は維新と一線引いてもらわないといけないですよ。それなのに党幹事長の方から寄っていくなんて絶対あかんですよ、許されへん」

先の衆院選で、自民党は大阪の小選挙区で擁立した15候補全員が落選し、比例代表で復活できたのもわずか2人だった。統一地方選でも厳しい戦いが予想される。

(自民党地方議員B)
「このタイミングでの維新との協調路線や増税発表。岸田総理や茂木幹事長は統一地方選挙のことが頭にないのかな?と思います。大阪の厳しい逆風を、全く党本部は理解していないですよね。今回の統一地方選挙は党として戦う選挙ではなく、個人として戦う選挙。個人の実績を訴えて戦うしかないと思っています、厳しいですよ」

「ありえない」自民地方議員の嘆き
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18日の夢洲視察で、茂木幹事長が維新幹部らと会食をして東京に戻ったことについても嘆きの声が上がっている。

(自民党地方議員A)
「夜は維新と幹事長がご飯食べて帰っている、なんでそんなことするかわからないです。そこは大阪府連を立ててもらわないと。ほかの地域だったらこんなことありえないですよ」

一方、与党の自民党と野党第一党の立憲民主党、そのどちらとも国会で協力する異例の対応について、維新・馬場代表は次のように話しました。

(維新・馬場伸幸代表)
「政治を前に動かしてほしいと。思っておられる国民の方がほとんどだと思います。ですからそういう意味で是々非々。いいことはいい駄目なことは駄目。それは今後、自民党さんに対しても、立憲民主党さんに対しても、我が党の態度は変わらない」

あたかも二股のような状態の維新だが、地方議員からは不満の声はあまり聞かれない。去年9月、臨時国会で立憲との共闘が報じられると、維新府議団は一時、「有権者が選挙協力すると勘違いして不満の声が上がっている」などと共闘に反対する声を上げたが、今回はー。

(維新府議)
「大阪の有権者は国のことは国。大阪のことは大阪と有権者は切り分けて考えてくれていると思います、たまにはこことくっつくなというお叱りの声もありますけど、政策で是々非々でやっているんですと説明すると概ね理解してくれます」

国会でいびつな三角関係となる自民・立憲・維新の3党。国会内での協調は、来たる統一地方選挙にどう影響するのだろうか?

MBS東京報道・尾藤貴裕