12月1日に、また145品目が値上げとなりました。「物価の優等生」卵も1パックが200円を軽く超えてしまっています。誰しもがインフレの影響を痛切に感じていますが、困窮家庭におけるその打撃は、もはや看過できません。

11月28日に認定NPO法人『キッズドア』が発表した「2022年物価高騰の影響把握のための緊急アンケート」はその痛みを衝撃的に伝えました。「野菜を減らした」「電気をつけないようにしている」。渡辺由美子理事長は「家庭はもともとギリギリの経済状況で、もう切り詰めるものがないのに」と話します。

【家計維持のため出費を減らしている項目】

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1位は「食費」でした。具体的には「外食を減らした」(67%)「おやつを減らした」(65%)「肉・魚を減らした」(63%)「野菜を減らした」(50%)の順で、子どもの成長に欠かせない食材を減らさざるを得なくなっています。また、「子どもに食べさせるために親の食事を減らしたり抜いたりしている」家庭が49%もありました。

【物価上昇による生活の変化】

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「暖房をつけないようにしている」(73%)、「電気をつけないようにしている」(51%)と光熱費の値上がりが直撃しています。さらに「空腹を我慢している」(27%)「病院に行かないようにしている」(25%)などは、もはや命に関わる問題です。

【高校生への影響】

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子どもたちの人生を左右する教育にも影響が出ています。
「塾や予備校に行けない」(54%)がもっとも多くなっていますが、「経済的な理由で志望校を諦めた」(19%)という回答もあり、胸が締め付けられます。アンケートの自由回答には「進学希望でしたが、家計のこと、これから進学でかかるお金のことを考えて就職に変更し、家に給料を入れるねと言ってました」「お金のかかる私立大学や専門学校を諦め、国公立一本で受験予定。落ちたら浪人しかなく、その場合も予備校に行かせられないかもしれない」など、進学に関わるだけで217件の声が寄せられたそうです。この緊急アンケートは、年末年始の食料支援に申し込んだ1846家庭の回答をまとめたもので、紹介した項目は全回答のごく一部なのです。

「子どもたちは何も悪くない」

記者会見で渡辺理事長は、何度も何度も同じ言葉を発しました。「子どもたちは何も悪くない」。たまたま成長期に物価高騰が起きたという理由で、今この瞬間、たくさん栄養を取り、学ばなければならない子どもたちが、それを得られないのを納得はできないでしょう。

まもなく訪れるクリスマスやお正月。子どもにとって楽しい行事です。キッズドアは年末を楽しく過ごせるよう、お米やクリスマスのお菓子、お餅も入った支援物資を発送するそうです。コロナ緊急支援として2020年に始まった取り組みですが、今年はひと箱あたりの金額が同じでも、昨年と同じ中身にはならないそうです。ここにも物価高騰の影響が、確実に現れていました。

東京報道部  石田敦子