お笑いブームが最高潮に達した現代。劇場を埋め尽くすファンたちの視線は、今や芸人のキャラクター性だけでなく、ネタの構造、緻密な計算に基づいたボケ、そして神業のようなツッコミの技術へと注がれている。そんな熱狂的なファンたちの中でも、ひときわ異彩を放つ女性がいた―。主人公・影山幸子(25)。彼女の関心はただ一つ、芸人の魂そのものである「ネタ」。赤いノートを手に連日劇場へ通い詰め、大御所・オール巨人をも彷彿とさせる鋭い視点で漫才を解剖していく彼女は、ネタを見るプロ「ネタジョ」と呼ばれていた―。
実力派芸人たちが本人役で次々と登場し、劇場のリアルなネタを披露。爆笑を誘うステージの裏側で、幸子の脳内では瞬時に分析が開始。彼女独自のロジカルかつ熱狂的な解説が、鮮やかに物語へと絡み合っていく。
幸子がここまでお笑いにのめり込むのには、ある理由があった。それは、幼い自分を捨てて蒸発した母が残した「オール阪神・巨人」の漫才テープ。厳格な大学教授の父からは、会社を辞めてまでお笑いに耽る生活を激しく反対されているが、幸子にとって漫才は、孤独な人生を支え続けてくれた唯一の光だったのだ。笑いの裏に隠された計算と情熱。そして父娘の絆と自立の物語。
「笑い」を論理で紐解き、感情で受け止める。前代未聞の“漫才エンターテインメント・ドラマ”が幕を開ける!