ちしんぷらざ
-
BLOGお天気キャスターブログ
2019.02.04
雪景色をもとめて
京の街に雪が降り積もりました。浄土宗総本山知恩院の三門。静かに雪をたたえ、いつも以上に凛として見えます。1月最後の土日。今季最も強い寒気が流れ込み、京都市内中心部でも7㎝の積雪を観測しました。雪化粧した寺社仏閣の景色は、その地で幾度もの冬を超えてきた威厳を感じさせ普段以上の感慨を胸に呼び起こしてくれるような気がします。京都では、そうした雪景色とどれくらい出会うことができるのでしょうか。1年のうちに京都の街中で雪が積もる日数は、平均で9.3日(1980~2010年)です。2011年以降でいうと7.8日とやや少なくなってきているのですが、隣県の大阪市の平年値が1.5日であることを思うと、差は歴然。「京都って割とよく雪が積もるのね」という印象ではないかと思います。さらに、同じ京都市内でも、山深い貴船では、降り方も積もり方も全く異なります。夏には川床がしつらえられ、避暑地ともなる京の奥座敷。そんな地にある貴船神社では、1月から2月にかけて、積雪した土曜の夜限定で幻想的なライトアップが行われます。水神を祀る貴船神社。冬の間に積もった雪は、やがて雪解け水となり、大地や生き物を潤します。灯りに照らされた白雪が、神聖で尊いものに思えてきます。この時季限定の特別な景色とだけあって、すごい人出でした。その中でも外国人観光客の多いこと!ライトアップは当日の午後3時に初めて開催の有無が発表されるのですが、境内のそこここに溢れる外国語に「どこで情報をキャッチしてきているのだろう?!」と、驚くばかり。アグレッシブに冬の京都を堪能しようとする外国人旅行者の、雪をも解かすような情熱に何とはなしに、「負けてられへんなぁ...」と思ったのでありました。
前田智宏
気象予報士
-
BLOGお天気キャスターブログ
2019.01.21
「上ル」ごとに寒くなる
こんにちは。気象予報士の前田智宏です。ここでは、京都出身、京都在住の私が感じる、京都の天気や季節について綴ってゆきます。これからよろしくお願いします!寒の内となり、1年の中でも一番冷え込みの厳しい時季を迎えています。盆地の京都は寒気がたまりやすく、放射冷却現象が起こるよく晴れた朝は、体の芯まで冷えるような寒さ。「底冷え」という言葉がぴったりです。快晴の日、四条大橋から鴨川の上流を眺めてみると北の山だけが雲をかぶっていることがよくあります。雪雲が日本海側から流れ込んできているのです。冬の時季は、同じ京都市内でも北と南でお天気が違うこともしばしば。違うのは天気だけではなく、気温も。京の街を中心部からわずか10km足らず北へ行くだけで、2℃前後も気温が下がることがわかっています。その理由のひとつは、標高差。日常生活の中や、観光をしていても意識することはないのですが、京都市内は北から南に向かってなだらかな下り坂になっています。市内北部にある上賀茂神社の標高は90mほどですが...南部に位置する東寺は標高20mくらい。東寺の五重塔は高さおよそ55mですから、標高と足し合わせても75mほど。ということは、です。上賀茂さんでお参りしているときは、東寺の五重塔の先より高いところにいる...!!と考えるとなんだか不思議な感覚になりませんか。北へ向かえば上り坂、南へ行くと下り坂。北や南へ行くのを「上ル」「下ル」と表現するのに、いみじくも対応しますね。この標高差は、微妙な違いではありながら、確実に南北で気温差を生んでいるのです。京の街は「上ル」ごとに気温は「下がる」、おもしろいところ。とはいえ、どこも寒いことには変わりありませんので...どうぞご自愛くださいませ。
前田智宏
気象予報士