「地元に根付き、世界に広がる一杯を」
“誰よりも愛す”沖縄そばに人生を懸けて
那覇の中心部。沖縄そば店「EIBUN」は連日、開店とともに満席になる。一見、カフェのようなモダンな店構え。定番の「沖縄そば」や「ソーキそば」に加え、「牛もやしそば」や「まぜそば」など"進化系"と呼ばれるメニューも並ぶ。店主の中村栄文がたどり着いた、沖縄そばの一つの到達点とされる。
東北・岩手の出身。料理人の道に挫折し、職を転々としていた矢先に発生した震災。それを機に一念発起して移り住んだ沖縄で、人生が変わった。
「僕ほど沖縄そばを食べた人はいないと思います」。リゾートホテルで料理人をしながら、食べ歩いた。これまで700軒。味や見た目、住所まで記憶している。その過程で、沖縄そばの歴史や人々の愛着にも気づかされる。自分の店をもちたい。だが、外から来た人間は「人の100倍努力しなければならない」。
開店以来、基本を忠実に守ることを大切にしてきた。当初はお客が10人に満たない日もあった。移住者の沖縄そばを良く思わない人もいた。味の改良を少しずつ重ねながら、地元の常連客からも愛される店に成長した。
「夢は、沖縄そばを世界に」。だが、その認知度はまだまだ低い。県外から訪れるお客の多くは「沖縄そば」と「ソーキそば」の違いを知らず、県内ですら最近はラーメンに押され気味。中村の"新しさ"には、地元の沖縄そば職人からも期待が寄せられる。
「内地の人間がソウルフードを作るプレッシャー」。口癖のように繰り返す言葉だ。それがまた試される場が用意された。4月末、那覇の老舗百貨店内に出店が決まった。地元の人が多く訪れる。自分の味は認められるか。沖縄そばをめぐる冒険の軌跡を追う。
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