峯水亮

海洋生物写真家 Vol.1214

202208.21
11:00

異星人のような、宝石のような、
海中漂う神秘の生命に魅せられて…

「海洋生物写真家」と聞けば、多くの人はクジラやイルカ、マンタといった誰もが知っている生き物を撮る写真家をイメージするかもしれない。しかし、峯水亮(51歳)が被写体として追うのは、自ら泳ぐことがままならない"プランクトン"だ。
体長数ミリから数センチの魚や甲殻類、クラゲなどの赤ちゃんを専門に撮り続けている。

誰も気にとめることがないミクロの生命体。その魅力を伝えるため、「Black Water Dive」というイベントを開催している。夜の海に30数基の水中ライトを沈め、一般ダイバーを招いてプランクトンを探す特殊なダイビングだ。真っ暗な海に並べられたライトが輝く様は、S F映画の1シーンを思わせる。
夜の海で出会うプランクトンたちは不思議な姿をしている。あるものは異星人を、あるものは宝石を連想させる。映画「エイリアン」に登場するクリーチャーのモデルになったともいわれる甲殻類『タルマワシ』は、『サルパ』というホヤの仲間を樽のように加工し住処にする。『セミエビ類』の幼生は、クラゲに乗って浮遊生活を送る。『ジェリーフィッシュ・ライダー』とも呼ばれ、クラゲを自在に操縦し、餌まで獲らせて成長する。

肉眼で見つけるのが難しい小さな生き物が、一生懸命に生きている。峯水はその姿を捉え、伝えることが、使命だと考えている。
日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016、第11回ハムダン国際写真賞など大きなコンテストで受賞を重ね、写真家としての実力も評価されている。15年がかりで神出鬼没のクラゲを撮り続けて出版した「日本クラゲ大図鑑」は、研究者からも大評判だ。
さらにクリオネの仲間「ヒョウタンハダカカメガイ」を撮った写真は、70年ぶりに生存が確認されることとなり、新聞に取り上げられた。

今回番組は、沖縄県久米島の海でマンボウの稚魚の動画撮影に挑む姿にカメラを向けた。
体長3メートル近くになるマンボウは、実は謎多き魚。巨体で特殊な体型をしていることから、輸送が困難で研究が進んでいないというのが現状だ。峯水曰く、マンボウの稚魚が海を泳ぐ生体写真は世界中の誰も撮っていないというが、果たして...

RYO MINEMIZU

1970年 大阪府枚方市生まれ。
1990年 二十歳の時、生まれて初めてダイビングを体験。その後、西伊豆大瀬崎でダイビングガイド・インストラクターとして働く。
1997年 写真家として独立。国内外の海でプランクトン(浮遊生物)を撮り始める。
2016年 日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016 グランプリ受賞
2022年 第11回ハムダン国際写真賞1位受賞
著書に「ネイチャーガイド-海の甲殻類」、「世界で一番美しいイカとタコの図鑑」、「日本クラゲ大図鑑」、「Jewels in the night sea」などがある。プランクトンを観察する夜のダイビング・イベント「Black Water Dive®」をプロデュースしている。

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