頂点へ― 「点を取れない理由はない」
言い訳を嫌う、世界基準の“得点王”
日本サッカー界が待望してきた世界基準のストライカーが、上田綺世だ。強豪ひしめくオランダリーグの名門・フェイエノールトで攻撃の中心を担う27歳は今季、25ゴールを決めて得点王に輝いた。もちろん、日本人選手としては初の快挙だ。
ゴール前ではいつも泥臭く、シュートの弾道は鮮やか。取材に訪れた去年12月の試合では、前半だけでハットトリックを決めると、後半にも追加点。ときに相手の背後に抜け出し、ときに屈強なディフェンダーに競り勝つ。まさにエースと呼ぶにふさわしい決定力だが、「たまたまですよ。無双感とかは感じない」と冷静だった。それは、立ちはだかる壁を何度も乗り越えてきたこれまでがあるからだろうか。
サッカーを始めたころからフォワード一筋。Jリーグのユースチームに昇格できず進んだ高校は、補欠スタートから這い上がる。鹿島アントラーズで頭角をあらわすが、最初に海外移籍したベルギーでは慣れないポジションに苦労する。そこも克服しオランダへステップアップ。任されたのが、今では上田の代名詞ともいえる「ポストプレー」だった。ここが転機になる。当たり負けしない体づくりが攻撃の起点となるプレーの安定を生み、より得点を求められるようになった今シーズンの躍進にもつながった。
リーグ後半、コンスタントに重ねていた上田のゴールが止まる。急遽、オランダに飛んだ我々に語ったのは、「ズレはあるが、焦りはない」という繊細な感覚について。言葉通りにまた壁を乗り越え、そこから得点王までは一直線だった。
大食漢で知られ、カメラの前でも妻の料理に箸が止まらない。今年生まれた娘の写真に目を細める心優しいパパでもある。
だが、「点を取ることは究極の目標なのか?」と投げかけた時、その毅然とした答えにストライカーとしての誇りがにじんだ。
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