1959年から1984年にかけて北朝鮮政府の働きかけのもと約9万3千人の在日コリアンたちが渡航。うち約6700人(日本人妻は約1800人)は、日本国籍だったといわれています。当時、北朝鮮政府や朝鮮総連は、北朝鮮が「地上の楽園」だと流布し、日本の政治家や日本赤十字社、大手メディアは嘘の情報を見抜くことなく、帰国事業を後押ししました。
大阪・八尾市で暮らす斎藤博子さん(85)は1961年「豊かな生活ができ、日本人妻は3年たてば日本に帰れる」という嘘の誘いを信じ、夫と長女とともに北朝鮮に渡ります。その後の生活は、筆舌に尽くしがたく、まともな医療どころか、食べることにも苦労する日々。夫は病死、6人いた子どもたちのうち4人は病死や餓死で相次いで亡くなります。斎藤さんは、単身で2001年に中国を経由し脱北しました。いまは脱北した娘がひとり近所で暮らしています。北朝鮮に残る子どもや孫たちとは、連絡がつきません。
斎藤さんたち5人は2018年8月、嘘の勧誘をした北朝鮮政府に対し損害賠償を求め東京地裁に提訴。東京地裁は2022年3月、除斥期間であることを理由に請求を退けます。ところが、東京高裁は2023年10月「事実と異なる情報を流布して北朝鮮への帰還を呼びかけて、日本から北朝鮮に渡航させ、渡航後は出国を許さずに在留させることにより、居住地選択の自由を侵害し、事前の情報と異なる苛酷な状況下で長期間生活することを余儀なくさせたという継続的不法行為の客観的事実関係の証明があるといえる」とし、東京地裁に審理を差し戻す判断を下します。そして今年1月、東京地裁は原告の訴えを認め北朝鮮政府へ賠償金の支払いを命じました。
番組では、長きにわたる裁判の経過を追うとともに斎藤さんの過酷な人生を具に浮かび上がらせ、当時なぜ日本の政治家や日本赤十字社、大手メディアは北朝鮮の嘘の宣伝を信じ、帰国を促したのかを明らかにし、判決後も何ら謝罪することのない「国家の罪」の重さを伝えます。
国策の果て~脱北日本人妻の85年~
2026年10月25日(日)放送
10月25日(日) あさ 5時00分放送
国策の果て~脱北日本人妻の85年~
番組について
真夜中のドキュメンタリズムから黎明のドキュメントへ
映像’26は1980年4月に放送を開始した関西初のローカル・ドキュメンタリーです。
月1回、深夜の放送から日曜あさに移動し再放送やネット配信も充実させながらテレビドキュメンタリーの発信を続けていきます。
