沖縄県今帰仁村にある百按司(むむじゃな)墓は海に面した崖の中腹にある。
この墓から研究目的で持ち去られた遺骨が96年ぶりに故郷に戻った。ただし「学術資料」として保存するという条件がつけられていた。
遺骨を巡っては、子孫らが2018年、当時遺骨を保管していた京都大学に返還を求めて提訴。2023年の大阪高裁判決では裁判長が「遺骨は、単なるモノではない。ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」と異例の付言をした。
現在、故郷に帰ってきた遺骨は言わば「モノ」として今帰仁村教育委員会が管理する収蔵庫で眠っている。
子孫らにとって遺骨は敬意や崇拝の対象であり百按司墓に戻すことを求めているが、かなえられていない。
研究目的で収集した遺骨の本来の地への返還は世界の潮流になっている。そこにはかつての「科学至上主義」を反省する研究者らの姿がある。日本はどうだろうか...。
沖縄では先祖の遺骨を神として大切にされてきた。
しかし日本の人類学の研究者らは「古人骨は国民共有の文化財である」と学術的価値を主張する。
遺骨は誰のものなのか。そしていかなる地で眠るべきなのか。遺骨のあるべき姿や研究の未来を問う。
琉球遺骨の行方(仮)
2025年9月28日(日)放送
9月28日(日) あさ 5時00分放送

琉球遺骨の行方(仮)
番組について
真夜中のドキュメンタリズムから黎明のドキュメントへ
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