2020年夏、各地の教育委員会で中学校の教科書採択が行われている。なかでも歴史や公民の教科書に関する議論は熱く、教科書会社がしのぎを削る"主戦場"と言われる。関心を持つ保護者らは情報公開を求めつつ、その行方に注目する。
国の検定を通過した教科書とはいえ、それぞれに特徴や差がある。一つの教科書は日本の国のおこりについて、初代天皇が兵を率いて大和の国を治めたとする神話を紹介、橿原の地に神武天皇陵があることを伝える。その「聖蹟」は戦前、人気の頂点を極めたが、政府による拡張整備の裏で集団移転を余儀なくされた人びとがいた。その「洞村」跡地に初めてテレビカメラが入る。
一方、大阪府枚方市では蝦夷の首長アテルイの処刑地だとされる「首塚」をめぐって論争が起きている。歴史学者が偽史と指摘、関連する記述が教科書から消えたが、市の教育委員会は「伝承」があると反論する。根拠のない"史実"の一人歩きはなぜ起きるのか。
神話と史実のはざまで揺れつつ歩んできた日本。文科省も重視する「多面的・多角的考察」の歴史教育は実践できているだろうか。戦後75年目の節目に採択される教科書の叙述を踏まえ、この国の歴史の地平とその向こうを見つめてみる。
月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、2020年4月で放送開始から40年になります。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。